桃と菊
江嵜企画代表・Ken
亡父の月命日には、阪神電車御影駅北にあるお馴染のフラワーショップTANAKAを尋ねることが習いとなっている。
この日は、若奥さんがお留守で、若旦那が、いつもどんなお花でしたかな、と言いながら、あれこれ混ぜた後、最後に、桃の枝を入れておいてもいいですか、と声がかかった。前々から桃の花をスケッチしたいと思っていたので、二つ返事で、おねがいしますと答えた。
神戸では、今、梅が盛りである。桃はあとしばらくかかる感じであるが、花屋さんには一足早く、桃の枝が、店の土間一杯に並べてあった。
お寺さんのお参りは毎月4日と決めている。当日は、つぼみばかりだった桃が、4日経った3月8日、急にほころび始めた。ころは良しとばかり、桃の枝に色違いの菊を一本ずつ組み合わせて花瓶に生け、軽いタッチでスケッチした。
(了)