阪神なんば線:車中風景
江嵜企画代表・Ken
3週間ぶりの猪熊佳子日本画教室が大阪日本橋であり、阪神なんば線に尼崎から乗った。若者4人が乗り込んで来て、たまたま目の前に並んだ。右の二人は、電車に乗るなり手持ちのiPadに釘づけになっていた。
画面左から二番目の女の子は右どなりの男の子と左の男の子にほぼ互い違いに声をかけていた。女の子の右隣りの男の子は彼女の方に向きを変え相槌を打っていた。
ところが、女の子の右どなりの男の子は女の子に生返事しているのであろうが、何を話しているのか、まったく聞こえない。外目から見ていると文庫本と思しき本に夢中になっていた。
見ていて、これは絵になると思いスケッチを始めた。女の子の目線では、スケッチに気がついた気配だったが、委細構わずペンを走らせた。
東北大地震が少なからず影響していると思われる。今朝の阪神なんば線は10時前の時間帯にしては客が少ない。先の4人は、なんばで全員降りたが、他の乗客に邪魔されることもなく、比較的落ち着いてスケッチ出来たのは幸いだった。
通常はなんば駅で降りる。15分かけて日本橋の電気街にある高島屋別館まで歩く。この日は寝過ごして、いつもより2電車乗り遅れたので、隣駅の日本橋まで足を延ばした。
ひと駅の間だったが、携帯メールにくぎ付けになっている男とおそらく母親だろう赤ちゃんを膝に抱えた女性と彼女に話しかけている女性をあわただしく描き込んで仕上げた。
東北地方の惨状から見れば大阪は別天地である。16年前、神戸で地震に遭った3日あと、大阪に初めて出た。その時も震災現場とそうでない場所との余りの違いに愕然とした記憶がいまも鮮明に残っている。
災害は忘れたころにやってくる。いつまた神戸にも大地震が起こるやもしれず、一日一日かみしめて生きていきたいと改めて身を引き締めている次第である。(了)