
やないあつ子腹話術教室発表会風景
江嵜企画代表・Ken
腹話術師の柳井篤子さんから3月17日(日)午後1時から「やないあつ子腹話術教室」、第4回The腹話術発表会を西宮夙川公民館で開催する。時間許せばいかがですかと案内があり楽しみにして出かけた。会場の様子をいつものようにスケッチした。
「トラブル社39」の旗を片手に、大きな黒縁の眼鏡を付けたバスガイドスタイルに扮したやないあつ子さんが、会場入り口で来訪者、一人一人に声をかけ、ある人には握手したりなど、丁寧に出迎えておられ、強く印象に残った。
第1部7人、休憩20分はさんで、第2部、特別ゲスト、村岡清さんによるマジックのあと、7人、合計14人の生徒さんの熱演の後、真打、やないあつ子さんが登場した「かんちゃん、野菜が嫌いなの?」では、人形との当意即妙のやり取り、さすが先生、やんやの喝さいを浴びて、午後3時過ぎお開きとなった。
ご自身の演技を終えたあと、やないあつ子さんは挨拶の中で「一人5分間でピタリ演技を終える。これがなかなかむつかしい。そのため心痛で入院した生徒さんもおられた。いやいや、実は、これは、冗談なんですが、時間内に収めるために生徒は一生けん命頑張りました。」と話した。
やないあつ子さんは、腹話術を是非始めてみませんかと会場に呼びかけた。「第1部で「わらべ歌はいかかが?」で出演したYさんは「舞台に立つなんてとんでもない。人前に出るのさえ苦手な方でした。ところが、腹話術を始めてから人ががらっと変わった。なんとご主人の人柄も変わられました。」と話し、挨拶を終えた。
この日14人が熱演を披露した。第1部には、腹話術を習い始めて1年半の方もおられた。第2部はベテランの方だろうが、大きな声で演じられた方が多く、良かった。
正直、今回、地声は聞こえるが人形の声が聞き取りにくい方もおられた。腹話術だからこそ大声も許される。僭越ながら、舞台では、思い切って大声を出してほしいと思った。
テーマではお医者さんやおまわりさんとのやりとり、認知症が進んで行く老親へのやり場のない気持ちなどは、腹話術ならではの格好のテーマであろう。良しも悪しも、笑い飛ばしてしまうことが出来る腹話術の効用は見逃せない。
日本でも認知症が年々急増していると伝えられる。一方、生身の人間でありながら、スマホが一番のお友だちという人も増えているようだ。
「思しきこと言わぬは腹ふくるるわざ」と吉田兼好は徒然草に書き残した。家庭内でも言葉を交わすことがないという話もよく聞く。
言わずもがなのことであろうが、やないあつ子さんは、腹話術の時代がまさに日本にもやってきたと、密かに自負しておられるに違いない。(了)