Timeless2019
江嵜企画代表・Ken
「Timeless2019伝統の展開とその美意識」展、ギャラリートークが、高島屋京都6階美術画廊で3月24日(日)午後3時から開かれ楽しみにして出かけた。日本画家、岩田壮平、森田りえ子、奥村美佳3人のトークを会場に集まった約50人が堪能した。
この日は難波での日本画教室の日と重なり猪熊佳子先生に了解いただき教室を早退した。実は仕事帰り乗っていた自転車が転倒、脳挫傷で入院中の遠縁の男性(80)の見舞いも兼ねていたので京都へ急いだ。
会場には洋画家6人、日本画家6人、計12人、各2点計24の作品が展示されていた。会場入って正面やや右より、大作の人物と隣に小品の菖蒲、森田りえ子画伯の作品だとすぐに分かった。人物のタイトルに「鷹山」とあり、若い女性が左手に鷹をかざす鷹匠の絵で、足元に犬が描かれていた。
司会者に促されてそれぞれご自分の作品についての解説が始まった。席順で、一番左手の岩田壮平画伯は「真っ赤に咲いた橘の花に、ただただ驚いて描いた。驚いたときの雰囲気が出ました。実物よりも大きな絵になった。」と「朱頂蘭」というタイトルの絵を解説した。
二番手に森田りえ子画伯が立ち、「鷹山」の絵を指さしながら話を始めた。「鷹山は、京都祇園祭の曳山の一つ。応仁の乱の頃から巡行していた由緒ある山鉾です。文化9年(1826年)懸飾品が火災などで破損、以後190年間、休み山でした。ご神体の鷹匠、犬飼、撙負の御三方が鷹狩する場面です。御神体のお祭は、三条通り室町西入りの町家で続けられています。今住んでいる場所に近く、ご縁を感じます。「鷹山は近々復活するそうです。都大路を巡行するその日を心待ちしています。」と解説した。
三番手に立った奥村美佳画伯は「奈良に住み、風景画を描いています。「河岸の花」はスケッチ途中雨が降り出しました。冬から春にかけての植物は萌芽のエネルギーに満ち溢れています。」と話した。
司会者が「絵描きさんはどんな日常を送っておられるかご興味があると思います。お一人づつお話ねがいませんか」と水を向けた。
奥村画伯は「写生にほとんどの時間を使います。何時ごろにどんな光になるかまで考え写生の現場に向かいます。現場では違っていることがほとんどです。風景を描いていると自分が入っていく感じになります。人間は肉の塊ですが虫になった感覚になります。描いているうちに眼と手だけの感覚になります。」と話した。
森田画伯は「雨は好きではありません。絵が乾かないからです。いつもいい状態で描きたいと思います。絵描きは時間があるとお思いですと違います。漫画家と同じです。締め切りに追いかけられて描いています。鷹山の絵も朝3時半まで描いていました。出来上がった時の感激はアスリートと同じだと思います」と答えた。奥山画伯は「締め切りがないといつまでも続けると思います。仕切り時間はありがたいと思います。普段出かけたときに記憶にとどめていたことを描くことがよくあります。岩絵の具を使うときは気を使います。乾いたときに不具合が出る時があるからです。」と答えた。
トーク会も佳境に入ったところで「会場の皆さんからご質問をお受けしたいと思います」と司会者に促され、ある男性が「森田画伯にお聞きします」と手を挙げた。「鷹匠のモデルはいますか」と聞いた。森田画伯は「モデルを必ず使います。この絵のモデルは18歳の女の子です。宝塚の一次試験に合格、今二次試験待ちです。身長163センチ、8等身の美しい方です。鷹匠ということでそのまま描きませんでした。男性でもない。女性でもない。力がみなぎっている姿を出そうとデフォルメしました。甲冑などの衣装は自分の頭の中で仕立て上げました。イマジネーションとクリエイティヴをいつも大事にしながら描いています。」と答えた。二番手に手を挙げた男性は「お酒を飲まれますか」と聞いた。奥村画伯は「ほとんど飲みません」と答えた。森田画伯は「ほどほど、まあまあです」と答えたあと「朝まで飲むこともあります」と付け加えられた。奥村画伯は「お酒は香りが好きですが飲みません」と答えた。
この日は一日3軒梯子した格好になった。京都発新快速電車の中でいつの間にか眠り込んでしまっていた。(了)
森田りえ子画伯と