甲子園ナイター:阪神VS中日
江嵜企画代表・Ken
前夜いやな負け方をしたにも関わらず、甲子園には4万人の大観衆が詰めかけた。あと攻めの地元阪神タイガースが、初回、三番の鳥谷が今シーズン初めてという2ランホームランを打って試合の主導権を握り、中日の追い上げを振り切って、4-3で辛勝した。
ペナントレースはまだ10試合を消化した段階である。しかし、この試合を落とせばタイガースは最下位転落が決まっていた。ヒーローインタービューに立った鳥谷は、「金本さんにつなぐことだけ考えた。ホームランになってよかった。」とにこりともしないで神妙に答えていた。
今年のタイガースは投手力で柱になる男がいない。真弓新監督が抑え酷使を避けたいとの方針で、先発を出来るだけ引っ張る。その結果、交代のタイミングがずれる。ランナーを背負っての登板で、プレッシャーもきつい。肝心の抑えの藤川にも、今年は往時の冴えがない。昨晩も中日の森野に9回、センターにライナーのホームランを打たれた。
抑え3本の内の一本の久保田は傷がいえない。残り一本のウイリアムスも素人目にもはっきりと衰えを感じる。先日もリードして、さあ、これからというときにリリーフに出て打たれ、傷口を広げた。野球の要はなんといっても投手力である。今年のタイガースを予見するようなスタートとなった。
タイガースの難点の一つに高齢化が挙げられる。投手は37人いる。若手が全く育っていない。野手も高齢化が進んでいる。40歳トリオの一角の金本ひとりが頑張るが、その金本が信じられない落球をするとそれまで好投していた40歳の下柳が別人のように崩れた。もう一人の40歳の捕手矢野の傷の回復が遅れている。捕手では加納と昨晩出た岡崎が頑張っているが力不足は否めない。
タイガースの現状は、日本経済を象徴している。企業の経営も国の運営も軸となる商品、格となる産業不在では負け戦を強いられる。明らかに打たれるとわかっていながら中古の投手を登板させている。これという革新的な商品を持ちあわせていない企業と同じである。鮮度は商品の命である。板前がいくら優秀でも、素材に鮮度がないと客にすぐに見破られてしまうから怖い。
「甲子園球場には駐車場は、ありまへん。」とタイガースで昔活躍したオマリーがコマーシャルでしゃべっている。ただ、大型バス専用の駐車場は結構充実している。電車は奈良行きが誕生したが、バスは近くでは、宝塚、三田方面や奈良、和歌山など遠距離の直通バスも出しているようだ。
宣伝をしなくても客のほうから甲子園へ足を運んでくれる。2年かけての改装もほぼ終わった。球場の様子をいつものようにスケッチした。
あらためて気がついたことだが、ご婦人客が非常に多いことだ。子供連れも今年は増えたような気がする。新装甲子園では、特にトイレがきれいになったことが、ご婦人や子供に人気が出るポイントのひとつかもしれない。ご婦人と子供がこれからの日本の生命線を握っている。国の胃袋もご婦人と子供の数で決まりである。
GDPの70%は個人消費が占める。人が集まってなんぼの世界である。4万人を超える大観衆を目のあたりにして、街づくり、国づくりの原点を見た思いである。(了)