
ShinMaywa株主総会風景
江嵜企画代表・Ken
2020年2月に創業100周年を迎えるShinMaywa新明和工業株主総会が6月21日、本社会議室で開かれ楽しみにして出かけた。当期2019年3月の売り上げ2,173億円、営業利益107億円とまずまず業績は安定している。長年地味な会社で通っていた。
ここ2~3年、成長・拡大志向に転じた。特に目立つのは配当性向の改善である。3月末配当を9月中間18円から27円に増やし年45円に引き上げた点は注目出来る。
2021年3月には売上2,300億円、営業利益140億円、ROE8.0%を目指している。今決算で見ると、売上げ2100億円の20%が航空機、俗にいうダンプ、特装車が40%、産業機械16%、パーキング16% と多岐にわたっている。航空機はボーイング向けの減少が響いて営業利益が前年度比53%減少が目立った。設備投資は58億円、特装車部門の設備更新と合理化に向けた。
今期目立ったのは総額480億円の借り入れである。このうち自己株式を公開買い付け用の400億円が含まれる。質疑応答の中で、五十川社長は「株主還元の強化の観点から実施した。当社の資金状況から全く問題ない」と明言した。
真空事業の収益基盤強化を狙い、昨年12月に真空装置、車両用部品を主事業とするKOREA VACUUM LTDの株式を70%保有した。M&Aに余裕資金を活用したと五十川社長は胸を張った。
型どおり事業内容の報告後、出席株主との社長他役員との質疑応答に移った。5~6人株主が手を挙げた。最初の株主は航空機の営業利益が50%減は問題だと指摘した。社長は一時的問題だとかわした。
2番目に一時話題になったインドへの水陸両用飛行艇のその後はどうなっているかと聞いた。社長は「インド側とはその後も緊密な情報交換を継続している。成約に至っていない」と答えた。
3番目に筆者が手を挙げた。「新明和さんの入社を希望する人は何を
理由にしているのか。100周年を近々迎える。20年先、30年先を描いて入社するケースはあるのか。今一つ外国人雇用はあるのか」と聞いた。
五十川社長は「当社入社動機では、航空機製造に憧れて入社希望する人もいるが当社の事業は多岐にわたっている。入社希望者に特定の理由はない。外国人受け入れは今のところない。100周年を迎えるので次の100年に向けて頑張りたい」と力を込めた。
4番目に手を挙げた株主は「人命救助で世界で活躍している水陸両用飛行艇メーカーであることにもっと誇りをもってほしい。内外に積極的にアッピールする必要があるのではないか」と発言した。「ありがたいエールをいただき感謝する」と社長は答えた。
余談ながら、新明和工業の前身、旧川西航空機はゼロ戦の部品を戦時中製造していた。今は同じ場所で水陸両用飛行艇を製造している。昭和20年3月、米軍の空爆を受け、工場に隣接していた母校本庄小学校が巻き添えを食った。小3までよしず張りの教室、屋根のない校舎で雨の日は傘を差して授業を受けた苦い思い出がある。
株主総会のあと本社前からJR甲子園口駅まで用意された送迎バスで帰路についた。(了)