ハイドンの交響曲102番は、「不動の愛らしさ」とでも呼ぶべき健康な明るさに包まれた楽しい曲です。
ハイドン晩年の傑作、「ロンドンセット」と呼ばれる12曲の交響曲のうちの一つですが、愛称がついていないために、あまり有名ではありません。でも、私は、この曲が一番好きです。
演奏は、クレンペラー指揮のものが最高です。比較を絶した名演と言えましょう。メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」や「交響曲3番・スコットランド」と同じく、ゆるぎない安定感と深い呼吸の中に「愛らしい」花が咲いているような演奏です。
悠然としたテンポ、凄まじいほどのエネルギーの中に、巧まざるユーモアがあり、すべての音が生きて輝いています。
第4楽章のユーモラスな愉しさは、格別です。
(東芝EMI-録音1965年ー定価1300円)クリック
武田康弘