主観性の豊かな「人間」ではなく、「日本人」という型にしっかり国民を誘導する。
こどもは、受験勉強と部活に集中させる。受験競争を勝ち抜くことで、既成秩序に従い、自分を抑え、耐える人間を育成する。
東京大学を中心とする権威を尊び、日本人にふさわし道徳(=上意下達)を身につけさせる。
難しい丸暗記試験を通った官僚と政治家は国家のために、庶民は地域のために頑張り、その「分」をわきまえさせ、余分なことは考えず、行わない人間をつくる。
天皇・皇室を中心する秩序を身につけさせ、天皇陛下が病気になれば、全国民が「自粛」した生活をする。「日本は天皇を中心とする神の国」なのだから。
国体護持(=近代天皇制の堅持)のために命を捧げた(捧げさせた)兵士を哀悼するために、靖国神社(=国家神道)への参拝と奉仕を欠かさない日本人を育てる。
以上のような自民党政府の本音は、戦前の国体思想そのままであり(実際、戦前の支配階級の子孫が戦後も要職を占めています)、個人としての人間の輝きの前に、権威の輝きを置き、それに従う生き方をつくり出してきました。
皇居のある千代田区に生まれ育ったわたしは、小学生のころから、上記のような歪んだ日本主義の想念に言い知れない不快感を持ち続けてきましたが、今度の選挙が、長いこと続いてきた悪しき日本主義(=様式による意識の支配)を変えていくキッカケになれば、と思っています。政権交代だけではダメですが、しかし、政権交代なくしては何も始まらないことも事実です。
「近代天皇制―靖国思想、官僚主義(キャリアシステム)―東大病」―これが日本主義の正体ですが、わたしは、わたし自身が人間性豊かなエロース溢れる生を歩むと同時に、多くの日本人(とりわけ子どもたち)が、自由で広い考え方と伸びやかな心をもてるような「新たな文化」(=「主観性の知」の豊饒化に拠る)を創造したいと思っています。政権交代は、そのための必要条件なのです。
武田康弘