思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

民主的倫理

2009-08-21 | 恋知(哲学)
何かをした時、
どういう訳で、
どういう経緯で、
それをしたのか?
また、
どのような情報により、
誰に言われて(誰の影響で、誰のアイデアで)
それをしたのか?
を、はっきりさせること。
それが、物事を「よく」進める上での絶対条件です。

そうすれば、間違いの所在や原因がはっきりし、直すことが可能になりますし、また、他人の言説を自分の言説のごとくにする「よこしまな自我」=「反倫理的言動」に陥らずにすみます。

ほんとうに「よい」ことを進める力のある人は、上記のことをきちんとしますが、純粋意識ではなく、自我意識が強い人は、それを曖昧にします。既存の権威や権力や財力に頭を下げる「公正さ」に欠けた人は、他者評価ができませんが、それでは人間失格です。

公正さを示し、そう生きることのできる人=民主的倫理の体現者には、みなが心を開きます。それが、物事を成就させるのです。裸の個人としての品位の高さは、「民主的倫理」の実践の程度に比例します。

端緒を明らかにし、経緯を明らかにし、結果を明らかにし、それに関わる人を明らかにする、こういう民主的言動が民主的倫理を生むのです。意識的にこの課題に取り組み、従来の日本の常識(=上位者や責任者の手柄にし、戦略的に情報を操作する)を破る実践、生き方をしなければ、「人間を不幸にするシステム」を変えることは永遠にできません。

わたしは、かつて、【選挙】に関わってくる左翼的な人々の思想・言動、生き方を見、ほんとうに嫌な気分になりました。社会をよくする運動は、自分自身の中にもある非民主的な想念や行為を変えていく営みと一つにならなければウソです。そうでなければ、深く強い説得力は決して生じないでしょう。

差別や排除をせず、愛の心を持ち、民主的であること、それが物事を正しく進め、人間の品位を高める、そうわたしは思います。


武田康弘
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以下は、コメント欄です。

本来の公共哲学のためには (荒井達夫) 2009-08-23 07:42:15

「端緒を明らかにし、経緯を明らかにし、結果を明らかにし、それに関わる人を明らかにする、こういう民主的言動が民主的倫理を生むのです。」

「関係性のよさという浅い次元を哲学の原理とするのでは、哲学にはなりません。他者の評価に怯えるのではなく、もっと、自分自身の主観性のよさ・面白さに目覚め、自分として生きることが大事です。」

これら「民主的倫理」、「生と哲学の原理」で武田さんが書かれたことは、公務員倫理の基礎になる思想(本来の公共哲学)だと思います。

今日の続発する公務員不祥事を目の前にして、公務員が考えなくてはならないのは、原点に立ち返って「法律を誠実に執行すること」(憲法第73条第1号)です。そのためには、公務員が常に市民の目線に立って、全国民や、地域住民や、一般市民に共通する社会一般の利益を実現するには具体的にどうすべきか、をきちんと議論し考えていくことが必要です。その土台となる哲学思想が不可欠であり、「主権在民」の意識を公務員に徹底させる強い思想でなければならない。それが「本来の公共哲学」である、と私は考えていますが、このような「民主的倫理」、「生と哲学の原理」を欠けば、成立しないと思います。

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何が言え、何ができるのか? (タケセン)
2009-08-23 10:00:12

荒井達夫さん

とてもよいコメント、感謝です。

話はズレますが、倫理のみならず、物事を前に進めるための基本を確認しておきます。


何が言えるのか?何ができるのか?その内容こそが、自他評価の基準であること。

これは、あまりに当然の話ですが、どうもわが日本人(とりわけ公務員など固い組織にいる人)は、この「当然」がなく、形式・肩書きに囚われ、内容の優劣・意味の濃淡を見る目がありません。だから、物事が進まず、新しい世界を拓くことができず、堂々めぐりをするだけです。

それでは、自分にとっても、社会にとっても「よい」ことは何もできず、屁理屈の中で干からびていくだけです。

形ではなく、内容のよさ・面白さ・有用性につかなければ、普遍的な妥当性を生むことはできません。「自分の頭で考える」という基本がなく、パターンの刷り込みと丸暗記の勉学を繰り返してしていると、地頭が悪く、頭の幹が弱い試験秀才に陥ります。

すっかり死語になった感のある(笑)【具体的経験に照らし、自分の頭で考える】ことの練習から始めなければ、何であれ、すべては砂上の楼閣です。それは原理中の原理なのです。





コメント (2)
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