思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

旧社会主義国の崩壊前夜のようです。検察権力の崩壊は、民主主義の始まり。

2010-10-11 | 社会批評

いよいよ、官が治めるという「官治主義」の崩壊が始まったようです。旧社会主義国の崩壊前夜に似てきました。

わが国の形だけの民主主義(主権在官)が、市民主権の民主主義(主権在民)に生まれ変わるのは容易なことではありませんが、その課題をクリア―しなければ、日本の深い不幸の近現代史を変え、未来を拓くことはできません。

そのためには、一人ひとりが真に主体者になるための自己教育と、学校教育のパラダイム転換が必要です。それを準備するのが、能動的・主体的な哲学です。受動的な存在論(=人間解釈)にはもういい加減に退場願いましょう。「客観主義による権威」ではなく、わたしの、あなたの、心身からの出発が必要なのですから。


武田康弘



以下は、毎日新聞ですが、読み物として面白かったので、貼り付けます。

証拠改ざん 「逮捕してください」前部長、覚悟の否認毎日新聞 10月11日(月)2時30分配信


 検察への信頼を根底から失墜させた、郵便不正事件に絡む証拠改ざんと隠ぺい事件。最高検は11日、大阪地検特捜部主任検事、前田恒彦容疑者(43)を証拠隠滅罪で起訴し、犯人隠避容疑で逮捕した前特捜部長の大坪弘道(57)、前副部長の佐賀元明(49)両容疑者の拘置延長を請求する。「検察崩壊」の危機に直面した時、内部で何が起きていたのか。水面下の動きを追った。

 「どうするつもりなんだ」

 10月1日午前、大阪・中之島の大阪高検庁舎内で、吉田統宏・最高検公判部長(57)が大坪前部長を問いつめた。容疑を認めれば逮捕見送りの可能性があることを知りつつ、前部長は言い放った。

 「徹底的に闘う。逮捕してください」

 断続的に行われていた聴取は、6日目になっていた。「刑事責任を認めて謝罪すれば在宅起訴も検討する」。それが検察上層部の方針だった。前部長らに考える時間をもう一度だけ与え、逮捕回避を模索した。

 だが、大坪前部長は闘う姿勢を鮮明にした。佐賀前副部長も否認を貫く姿勢を示し、下着を詰めたバッグを持って出頭してきた。

 「逮捕するしかありません」。午前中の聴取が終わると、大阪に派遣されていた最高検の捜査チームは2人の供述内容を東京・霞が関の検察トップに伝えた。

 大林宏検事総長(63)や伊藤鉄男次長検事(62)らによる協議を経て、逮捕の方針が決まったのは、午後1時半だった。

 ◇「尋常ではない」

 特捜部の検事が証拠品のフロッピーディスク(FD)に保存されたデータを改ざんした--。

 衝撃的な情報が最高検に伝わったのは9月20日夕だった。休日出勤していた最高検刑事部の八木宏幸検事(54)が、一報を伝える大阪高検の榊原一夫刑事部長(52)からの電話を受けた。

 「尋常ではない事態だ」。八木検事が池上政幸刑事部長(59)に報告すると、情報はその日のうちに伊藤次長検事を経由して大林総長に伝わった。

 郵便不正事件で検察側は、厚生労働省の村木厚子元局長(54)=無罪確定=が「04年6月上旬」に元同省係長、上村(かみむら)勉被告(41)=公判中=に偽証明書の発行を指示したとの構図を描いていた。

 FDに保存された偽証明書の最終更新日時は、特殊なソフトを使って「04年6月1日未明」から「04年6月8日」に書き換えられていた。1日未明は検察側が描いた構図と矛盾するが、8日ならぴたりと当てはまる。多くの検察幹部が意図的な改ざんと直感した。

 翌21日。「すぐ大阪へ行け」。午前9時半から約1時間の会議で最高検が捜査に乗り出す方針が決まり、刑事部の長谷川充弘検事(56)が現地に派遣されることになった。

 「ブツ(物証)さえ手に入れば事件になる」。FDを保管している上村被告の弁護人に連絡を取るよう指示が出た。

 長谷川検事が主任となった7人の検事による捜査チームは、FDのコピーの任意提出を受ける一方、ソフトに詳しい専門家から意見を聞き、その日の夜に前田検事の逮捕に踏み切った。

 直後から、今年1月末に地検内で改ざん疑惑が表面化していた事実が明らかになっていく。

 前田検事の同僚たちは「部長や副部長は意図的な改ざんと知りながら調査や公表を制止した」と聴取に証言した。前部長らの刑事責任を見極めるカギを握っていたのは、前田検事の供述だった。

 検察庁が容疑者の供述内容を公式に明らかにすることはほとんどない。24日、「容疑を認める」と一部で報じられると、幹部の一人は「誤報だ」と明言し、事態の鎮静を図った。しかし、実際には前田検事は逮捕当日から容疑を大筋で認め始めていた。

 大坪前部長らの立件を視野にいれながら、長谷川検事のチームはひそかに捜査を本格化させていった。

 ◇「おれを切り捨てるつもりだ」

 東京地検特捜部のOBでもある最高検の吉田統宏・公判部長が、大坪弘道・大阪地検前部長から初めて任意で事情を聴いたのは、前田恒彦検事の逮捕から2日後の9月23日だった。

 「吉田さんは何を聞きたいのかさっぱりわからん。『正直に言えよ』って聞くか、黙っているだけだ」。聴取は24日も続いたが、大坪前部長は親しい知人に余裕すら見せていた。「あんなんが特捜の調べか」

 だが、26日に聴取が再開したころから、様子が変わり始める。「認めないと逮捕になるぞ」。吉田部長の追及は厳しさを増していった。「最高検はおれを切り捨てるつもりみたいだ。信じられん」。前部長は知人に電話をかけ、怒りに満ちた声で最高検を批判した。

 聴取は27、28日も続いた。特捜部長経験者を逮捕すれば大林宏検事総長の進退問題に発展することは必至。一部の法務省幹部からは組織防衛のために強行策を回避するよう求める声があがった。

 ◇「罰金で」の声も

 「本当に逮捕する必要があるのか」。検察内部にも消極的な意見があった。念頭にあったのは、99年に発覚した神奈川県警捜査員による覚せい剤使用の隠ぺい事件。犯人隠避容疑を認めた元県警本部長の逮捕が見送られ、在宅起訴で有罪が確定した。

 「罪を認めて辞めれば、罰金で済ませられないか」。検察首脳からはそんな声も漏れたが「身内に甘い」と批判されるのは明白だった。30日、疑惑が表面化した際に前田検事が大坪前部長らの指示で作成し、パソコンから削除したとされる「上申書案」のデータが復元されたとの報告が検察首脳に上がった。選択肢は「逮捕か在宅起訴か」に絞られた。

 1日午後9時47分。再開された聴取で徹底抗戦を宣言した大坪前部長に逮捕状が執行された。佐賀元明前副部長が逮捕されたのはその1分前。前田検事による改ざんを故意だと認識しながら、過失として説明するよう指示したという容疑だった。

 刑事責任の追及に懐疑的だった検察関係者はつぶやいた。「どちらに転んでも批判されるなら、進むのも一つの判断かもしれない」

 だが、前部長らによる「隠ぺい」を認める供述をした前田検事の同僚の中には、昨年7月に改ざんを打ち明けられながら、その事実を上司に報告しなかった疑いが持たれている検事もいる。

 「保身のために『最高検のストーリー』に迎合した」。こんな疑念の声は少なくない。「自ら描いた構図に合うように証拠品を改ざんした前田検事の供述を信用できるのか」。検察内部にすら、前部長らの無罪の可能性を指摘する声がある。

 「過失だと思っていたんだから、過失で処理するのは当たり前だ」。大坪前部長の弁護人は強調した。「改ざんだと知っていたら、上司に報告しないわけがない」。前部長の意思は「否認を貫くことで確定している」という。東京特捜OBが名を連ねる最高検の捜査チームと大坪前部長らの攻防は、なお続く。

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コメント

検察問題と「公・私・公共三元論」 (荒井達夫) 2010-10-11 20:01:42

郵便不正事件を巡る証拠品改ざん・犯人隠避事件を巡り、逮捕された大阪地検特捜部前副部長が取調べの録音・録画(全面可視化)を求めているとのことです。

検察官対元検察官という取調べのプロ同士の戦いにおいてさえ、全面可視化が求められるのですから、一般市民が被疑者の場合は全面可視化が当然であり、議論の余地がないと考えるべきでしょう。

取調べを受けている元検察官が全面可視化を求めているということは、彼らは被疑者になって初めて一般市民の立場が理解できたということではないかと思います。

また、今回の検察問題は「公・私・公共三元論」が哲学原理にならないことを証明する良い実例であると思います。

「公・私・公共三元論」では、「検察(=官)の公」と「一般市民の公共」が異なる、つまり、「検察の考える正義」と「一般市民の考える正義」が異なる、と元から考えるわけですから、これは非常に恐ろしい結果になることが明らかです。「公・私・公共三元論」では、全面可視化も実現できません。

もちろん、刑事訴訟法は、そのようなデタラメな思想に基づいて作られていません。小林正弥さん(千葉大学教授・公共哲学センター長)等、「公・私・公共三元論」を主張する学者は、今回の検察問題を真面目に議論すべきでしょう。

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裸の個人 (タケセン=武田康弘)

2010-10-11 22:57:07

荒井さん、よいコメント感謝です。

どのような理由にせよ、【特権】が外されたとき、人は、自分自身で立たなければなりませんが、「公権力の傘の下」にいるときは、人は公権力の一部になっているために、「裸の個人」という意味がまったく理解できないのです。

はじめから裸で生きている人にとっては当然のことが、全く見えない・分からないというわけです。

公権力を公共(裸の個人の集合である市民の意思)と別に考えるというのでは、民主主義は原理次元で崩壊してしまいます。民主主義国家では、公共権力以外の権力(国民の常識とは異なる国家権力)を認めてはいけないのです。「検察独自の権力」などあったらたまりません。

武田

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特に今週は国民必読です! (週刊朝日購読者より) 2010-10-12 18:52:28

武田先生
先般、尾崎豊の音楽作品についてのコメントをアップしてくださり有難うございます。さて、この度投稿させて頂いたのは、「小沢起訴は無効である」と特集を組み、郷原氏も登壇されています、本日発売の週刊朝日10.22号を多くの方にご一読していただき冷静な視点でいわゆる「小沢氏」問題を考えていただきたいですし、あの堀江氏の「思考停止状態から脱却できない日本人」というコラムに賛同します。
それにしまても、日本を脱出しノルウエーにでも移住したくなります。

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理性と良心 (タケセン=武田康弘) 2010-10-13 10:45:29

真実を伝える姿勢をもつ「週刊朝日」は、いま一番信用のおけるマスメディアです。新聞ならば、「東京新聞」でしょう。

なぜ、大多数のマスコミは、「大本営発表」のウソを流すのか?記者や経営者たちは、人間としての良心を持たないのか?

インチキな仕事=人生を続けても「自己嫌悪」を陥らない図太い人間たちを見ると、わたしは心底悲しくなりますし、怒りが湧きあがります。

ほんとうのエロースと共に、人生を真面目に生きろよ!、と。

お願いですが、名無しのままのコメントへのお応えは、わたしの趣旨に反しますので、ペンネームをお付になってください。できれば、プロフィールを個人メールでも結構ですので、お知らせください。
info@shirakaba.gr.jp


コメント (4)
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