思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

東大による支配で、日本社会は硬直化し、不幸に沈む。「東大―東電―官僚」

2011-04-21 | 社会批評

受験知の絶対化という不幸な日本の知の現状は、「東大病」ないし「東大教」という言葉で表せますが、これが、日本社会の様式主義・権威主義・上意下達という守旧的で非人間的な社会をつくっています。

柔らかさ・しなやかさに欠け、豊かな人間性とは無縁。形式的で、内容のよさ・面白さ・有用性は二の次になる。このエロースに乏しい社会を生むのは、答えの決まっている知=「受験知」の支配(客観神話)にその究極の原因があります。豊かな人間の主観性・生活世界につく有用な知が育たないために、固く緻密な形式が偉いものと思い、中身・内容が後景に退くという逆転が生じてしまうのです。

こういう知の構造をもった社会に生きる人間は、自分の心の内側からという生き方が出来ず、外なる価値を追い求めるほかありません。そのために、強迫神経症者やその予備軍の人間ばかりとなるのです。

原発事故で誰の目にも明らかになったのは、まさしくわたしの言う「東大病」でしょう。愚かしい事態の連続です。
上位者は、安全地帯にいて、右往左往するだけ。実際に頑張って支えるのは、現場の下請け労働者と現場の技術者(専門家)。長年にわたりウソや言い逃ればかりしてきた上位者は、実力もないのに学歴だけで驚くほどの高給を取り、何があっても安泰。
許し難いことです。



武田康弘


以下は、東洋経済オンライン


東京電力・清水社長がリーダーシップを発揮できないワケ
(東洋経済オンライン 4月20日(水)11時12分配信)

東大偏重が目立つ東電

東京電力の清水正孝社長が、4月7日、ようやく業務に復帰した。東日本大震災から1カ月が過ぎたが、清水社長がリーダーシップを発揮することができない背景には、体調面の不安ばかりではなく、社内派閥の影響力が強いために身動きが取れなくなっている可能性が高い。

東電は東大文系が歴代社長を独占、10電力会社の歴代社長の学歴一覧

 東洋経済が毎年7月、全上場会社を対象にアンケート調査を行っている『役員四季報』から役員の出身大学を1989年から2010年調査までの過去21年分にわたって分析、さらに各社の有価証券報告書から電力10社社長の職務経歴をまとめたところ、東電は東大、文系、間接部門出身が力を持つ、硬直的な人事となっていることが分かった。

 歴代東電役員の学歴を見ていくと、東大派閥が非常に大きな力を持っていることが見て取れる。89年には38人のうち26人、7割ほどを東大派閥が独占していた。10年には44.4%に低下している。ただ、会見に登場していた武藤栄副社長はカリフォルニア大バークレー校工学部を修了しているが、東大工学部も卒業しているので実質的には役員27人中13人、2人に1人が東大卒だ。ちなみに清水社長は慶応大学出身だが、私立大学出身の役員が社長となるのは東電では初めてのケースだ。

 次に歴代東電社長の出身学部を見ると、社長の椅子は法学部、経済学部と文系出身者が独占してきたことがわかる。取締役会の構成は文系63%、理系37%と文系が優位で、工学部など理系出身役員は副社長止まりが「お決まり」だ。『役員四季報』89年調査時点以来、理系トップが1人も見当たらないのは電力10社のなかでも東電だけ。

 さらに、有価証券報告書から東電歴代社長の職務経歴を調べた。84年、93年は2代続けて総務部出身、99年、02年は企画部出身、08年から就任している清水社長は資材部出身だ。また、他の電力会社と比較してみると職務経歴の少なさが目立つ。歴代東電社長は5人中3人が1つの部門の経験のみ。最も職務経歴の多い勝俣恒久会長も3部門にとどまる。一方、関西電力の場合は5人中4人が3部門以上を経験、中国電力は特に人事交流が盛んで、山下隆社長は8部門も経験している。

 他社をみると、関西電力は京大が89年も10年も最大派閥。東大と置き換えれば、東電と変わりない。2社とも取締役会の構成は文系63%、理系37%であることも東電と同じだ。ただ、90年代は文系社長だったが、01年から3人連続で理系出身の社長が就任していることが大きな違いだ。

 中部電力は、89年調査時は29.7%と3人に1人が東大派閥だったが、10年調査では9.1%にまで低下。代わって名大比率が36.3%で最大となった。ただ、特定の大学に偏らない役員構成であり、かつ社外役員として女性を登用するなど風通しを良くしようとする意欲が感じられる。理系出身役員が54.5%と文系を上回っていることも特徴的だ。つまり、他社では東電ほど1つの大学の派閥に偏っていない。文系・理系の昇進区別も見当たらず、特定の部署の比重が高いわけでもないのだ。

 東電の清水社長は出身大学、職務経歴から見て、社内に強い基盤を持っているとは考えにくく「強いリーダー」とは言い難い。そもそも、02年に辞任した南直哉元社長は柏崎刈羽原子力発電所のデータ改ざんを隠ぺいしたことが発覚しての辞任だった。それを受けて現在指揮を取っている勝俣恒久会長が02年に社長に就任。さらに柏崎刈羽原子力発電所の運転再開のめどが立たないなかで08年2月に勝俣会長も社長を辞任したために、清水現社長が引き継いだ経緯がある。

 東電トップは3代続けて地震と原発問題に翻弄され続けている。トップがリーダーシップを発揮することが難しいばかりでなく、一刻を争う非常時の対応がまずいという弱点も改善されないままだ。東電にとっては企業体質の改善もまた、大きな課題だ。
(『役員四季報』編集部・山本亜由子 =東洋経済オンライン)

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