スピードや加速を問題とし、まったく不要な高性能のクルマを求める男性の心には、なにか不気味で危険な臭いがします。それは、欧米の乾いた強権文化の象徴のようです。
クルマには、安全性の高さや燃費のよさ、小ささや軽さが必要とされます。たくさんの重たい金属部品を使うクルマは、資源を浪費するだけです。
道路を走るのに必要のない高馬力や超加速は、無意味なだけなく、環境を悪化させます。
スポーツでもそうです。気持ちよく美しく泳ぐのは、心身の健康にプラスするでしょう。走るのも同じことです。
しかし、勝ち負けに拘り、メダルを取ることを目標にする過剰な身体の酷使は、健康を害し、時に死亡します。
人間の自我主義がつくりだすさまざまな場面での闘争や戦いは、健全・健康・愉快の楽しい世界ではないと思います。エゴイズムは過剰を生みます。
適度な運動、適度な学習、適度な仕事、適度な活動、適度な論争、適度な費用、適度なスピード、適度な祈り、適度な儀式・・・・・・
よかったな、気持ちいいな、楽しいな、嬉しいな、という状態が、「適度」ということです。
無理のない自然な幸福感が得られるように生きること、それが一番です。
頑張るのも充実で楽しいですが、頑張りすぎるのは、苦痛であり、心身を壊します。
幼児の活動を見ていると、よい生き方が分かります。元気溌剌、でも、過剰や過激ではなく、面白原理で生きています。
大多数の人の人生をダメにする元凶は、勝ち負け主義です。自分の充実・自分の納得・自分の気持ちよさを基準にするのが何より大事と思います。
一番を目がけるのをやめた時、生の果実が豊かに実るでしょう。
武田康弘