わたしは、大好きで、大絶賛を繰り返しているジョナサン・ノットですが、
ただ一つ、欠点があります。
「ブラームスの1番」や昨日の「ブルックナー5番」で顕著なのですが、
休止の問題です。
楽譜通りの正しい休止のほかには休止がないことです。
それでは、すべてが一続きになります。それが欠点にならない曲もあれば、欠点になる曲もあります。
止まる、スキをつくることで、大きく呼吸ができ、音楽世界は深みと広がりを露わにします。音楽が深く落ちる・沈むので、大きくなるのです。
それは音楽に限らず何事でもそうです。
余るほどの能力を持ち、優しく豊かな人間性で、エロースあふれる音楽を次々と生みだす稀有な人物であるジョナサン・ノットを、わたしはとても敬愛しています。
彼が、もし、この休止=スキをつくることの重大さに気づき、成功すれば、21世紀のもっとも優れた指揮者(音楽家)になると思います。
頑張れ!ノット。
写真は、2016年10月15日 サントリー・ホールで、
見事な「ショスタコーヴィチ10番」演奏会終了後、
わたしのブラボーに応えるノットさん。
武田康弘