思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

マルクス主義に依拠しないリベラル政党の誕生は、民主性・民主制・民主政の基盤。

2017-10-24 | 社会思想

 明治維新政府の天皇現人神(国家神道=靖国思想=国体主義=廃仏毀釈)という思想に対する自由民権派は、凄まじい弾圧を受け、伊藤博文・山県有朋らの国権主義の政治家により壊滅させられました。

 それに対して、庶民の側にたち、市民精神を育てるために奮闘したのが、白樺派の援助者にして同伴者であった実業家の太原孫三郎(中国電力やクラレの創設者)であり、日本における経済統計学創始者の高野岩三郎(東大教授・後に辞する)やその教え子たちでした。大原と高野は、1919年に官僚政府や既存のアカディミズムに依拠しない民間の「社会問題研究所」(現在も存続)を立上げて、労働問題の研究と改善に奮闘しました。

 彼らは、マルクス主義に依拠するのではなく、主権者を国民とする民主主義思想でしたが、これは今の言葉ではリベラリズム(自由主義)ともいえます。

 一人ひとりの人間につき、公共人=市民としての自覚をもつ人々によりつくられる政治を目がけるのがリベラル政党ですが、遅れた民主主義国である我が国では、それが育たずに、国家神道を是とする靖国主義者の右派とマルクス主義に依拠する社会主義者の左派という両極に分かれてしまいました。

 ある偶然から追い詰められてではあれ、いまようやく市民意識をもつ主権者を基盤とする『立憲民主党』ができました。これは、日本の民主化(正常な理性ある政治)のためには大きな第一歩です。戦前の「日本主義」(明治政府作成の天皇教)やマルクス主義による「共産主義」というイデオロギーによらず、一人ひとりが感じ・想い・考えるところにつき、そこから妥当な線を見出す民主政治のためには、自由と理性を重んじるリベラル政党が大きな力をもたないと困ります。

 みなで応援し、育てていきましょう。
日本の国・社会に、民主性・民主制・民主政を花開かせるために。戦前思想(国体主義)はもうたくさんです。一人ひとりから出発し、一人ひとりによる、一人ひとりのための社会をつくるのです。それがほんとうの公共性。


 武田康弘 (元参議院行政監視委員会調査室・客員調査員。フィロソフィの基礎と「日本国憲法の哲学的土台」を国会職員に講義)

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