日本は、「満州国から撤退せよ」との国連決議を蹴り、国連を脱退しました。それによりABCD(アメリカ・イギリス・中国・オランダ)包囲網で窮地に追い込まれ、破れかぶれの対米戦争に突入しました。対米戦争に反対していた近衛首相は辞職し、代わりに昭和天皇のお気に入りだった東条英機(安倍首相の祖父の岸信介とのコンビ)が首相となり、戦争に突入したのでした。
半年してからは、どうにもならない負け戦を3年も続け(生きた神である天皇のいる日本は負けるわけがないので)、ついには、硫黄島玉砕、悲惨極まる沖縄戦(全住民の四分の一が死去した生き地獄)、東京大空襲(1945年の3月10日だけでも死者は10万人以上)、もう手も足も出ない状況でも、白旗を上げることは許されず、「一億玉砕」と言われて戦わされ、ついには広島、長崎に原子爆弾を落とされて、ようやく敗戦に。『ポツダム宣言』(イギリス・中国・アメリカによる)を受諾したのでした。
『ポツダム宣言』には、「日本がまだ戦争を続けるならば、連合国は、日本全土を壊滅させる。」と書かれていました。
いま、北朝鮮は、国連に留まり、どこの国も攻撃していませんが、トランプ大統領は、「北朝鮮の完全な破壊」と言っています。北の独裁政権の悪はその通りですが、しかし、それで破壊や壊滅が許されるわけはありません。
わが国は自身の過去をふり返り、冷静で現実的な対応をとることが必要です。北が攻撃をしないのに、戦争を仕掛けることは絶対悪ですが、そういう行為で一番損をするのは、矢面に立たされる日本です。アメリカは遠いのです。安倍首相らの違憲の安保法案で、集団的自衛権 (米軍が起こした戦争に参加できる権利)を行使できるとなってしまった今、アメリカ軍と自衛隊は一体とみられています(現実にそうです)から、戦争になれば、日本が矢面に立たされるのです。
武田康弘(元参議院行政監視委員会調査室・客員調査員、フィロソフィーの基礎と「日本国憲法の哲学的土台」を国会職員に講義)