★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

「Red Dwarf」讃

2011-06-25 07:02:55 | 日記


×川にきてはじめての給料で買ったのは、ゴダールの『映画史』と『Red Dwarf』である。前者で辛うじてけんきゅうしゃのプライドを保てた。

『Red Dwarf』は、もう10年前ぐらい?前に、NHKで深夜に放映されていたイギリスのドラマである。NHKは「コメディー決定版 宇宙船レッド・ドワーフ号」という題名にしていた。確かにコメディーであるが、ほとんどのせりふがブラックジョークと下ネタで構成されるところの、SFのパロディである。これを放送したという一点において、NHKは受信料を日本の人民に請求してもいい。無能リマーの修理ミスで乗組員が全員死亡した宇宙船レッド・ドワーフ号で、たまたま時間凍結室にいたため一人生き残った馬鹿リスターが、ホログラム再生したリマー、リスターの飼い猫から進化したキャット、アンドロイドのクライテンらと共に宇宙を放浪するお話である。ドラマは人気がでて10年近くも続いた。

これを見てしまうと、「スタートレック」とか「スターウォ何とか」が、いかにカマトトぶっているかが分かる。

知らない人に主人公達のキャラクターを紹介すると……

リスター……激辛カレー好き。小太り、杜撰、下品、汚い。
リマー……ホログラム。ほぼ童貞、無能、傲慢、卑屈、権威好き、自虐的ナルシスト。
キャット……猫人間。猫並み頭脳、軽薄、自分勝手、唯のナルシスト。
クライテン……旧型アンドロイド。奉仕第一主義、巨×、気弱、腹黒、毒舌。
ホリー……自称IQ6000の旧型コンピューター(←実はIQ6)。
コチャンスキー……女。

日本での人気はそれほどでもなかったが、世界中にファンクラブがあるらしい。下品な笑いだけの番組なら数多あるが、このドラマはその下品さが知性しか感じさせない(と言うわけではないが)という点で、なかなかありそうもない傑作である。私の見たところ、「モンティ・パイソン」より下品であり、「スター・トレック」より哲学的であり、「ロボ・コップ」より人間主義的であり、「デビット・コッパーフィールド」よりプロレタリア文学的であり、「ミスター・ビーン」より悪意がある。

特に、クライテンが登場するあたりから、第30話ぐらいまでの脚本の出来はすさまじく、ばかばかしく天才的である。このドラマを見たことのない人は、 smeg(ウジ虫野郎)である。