坂道と文学… 2013-03-02 12:57:39 | 文学 その青蛙堂からの案内をうけて、わたしは躊躇した。案内状にも書いてある通り、きょうは朝から細かい雪が降っている。主人はこの雪をみて俄かに今夜の会合を思い立ったのであろうが、青蛙堂は小石川の切支丹坂をのぼって、昼でも薄暗いような木立ちの奥にある。こういう日のゆう方からそこへ出かけるのは、往きはともあれ、復りが難儀だと少しく恐れたからである。 ……岡本綺堂「青蛙堂鬼談」