★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

信じられないということのあれ

2016-07-11 00:33:41 | 思想


山本和編の『宗教と実存』を読んでいたら、椎名麟三がキリスト教に於ける「信じられないということ」と「信じることの」関係について書いていた。なかなか鋭いと思った。我々の為政者も抵抗者たちも「俺を信じろ」とばかり言っている。信じられないことが辛いからこそそれがそのまま信仰となることがある、こんな常識が戦後はちゃんと生きていたのであった。自民党は案外そういうことが分かっているかも知れない。そういうことすら分かっていない者と圧倒的に分かっている者が、突然「神武天皇は実在した」とか「マルクスはまだ生きている」とか口走ってしまう。

自民党としては、日本の自意識過剰なブルジョアジーが「おわりのない恐怖より、いっそ恐怖で終わる方がいい」(たしかマルクスの『ブリューメル18日』にこんな言葉があった)と思わないようにだらだらやっていけばいいわけだ。