
「まことは、うつし心かとよ。戯れにくしや。いで、この直衣着む」
とのたまへど、つととらへて、さらに許しきこえず。
「さらば、もろともにこそ」
とて、中将の帯をひき解きて脱がせたまへば、脱がじとすまふを、とかくひきしろふほどに、ほころびはほろほろと絶えぬ。中将、
つつむめる名や漏り出でむ引きかはしかくほころぶる中の衣に
上に取り着ばしるからむ
と言ふ。君、
隠れなきものと知る知る夏衣着たるを薄き心とぞ見る
と言ひかはして、うらやみなきしどけな姿に引きなされて、みな出でたまひぬ。
源典侍という五十を越えた人と密会してた源氏が、頭中将に踏み込まれ、ちょっと服を着るから離せお前こそ離せ、帯をほどくぞこのやろ脱がすなおらっ、破けた服の中からプレイボーイの名前が出てしまうぞ、この夏服じゃ薄すぎでもう漏れてるわお前の浮き名なぞっ
とかなんとか言いながら、二人ずたぼろになって女の所からでてくるのである。紫式部は「この御仲どもの挑みこそ、あやしかりしか。 されど、うるさくてなむ」と言っているが、全く遠慮がちなお人である。次の日に、この出来事を思い出してにやにやしているこの二人に近代人のわたくしが一言
GO TO HELL
この二人に言いたいのは、とりあえず、歌のやりとりしていたらやっちまいましたみたいなケモノみたいなあり方の代わりに
正月の青空を見て決めた
といった村山首相みたいな境地にはやいことたどり着いてほしいということであった。