Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「ゴッホは星空に何をみたか」

2025年03月01日 22時01分23秒 | 読書

 本日より3月。最高気温気温が19.6℃と4月半ばの陽気であった。最大瞬間風速も11mの南風。妻は新松田駅ちかくのカワヅザクラの名所に友人に誘われて出かけた。
 午前中は団地でボランティア作業で樹木の剪定。73歳の私にはそれなりに重労働。それでも体を動かすのは気持ちがいい。薄いウインドブレーカーで作業に従事。
 昼食後は午後からはいつものとおり一人で外出。喫茶店では午前中の作業の疲れと、ウォーキングの疲れでウトウト。読書とウトウトが半々。

   
 
 本日は「芸術原論」(赤瀬川原平) は持たずに「ゴッホは星空に何を見たか」(谷口義明、光文社新書)を持って家を出た。
 ゴッホの《夜のカフェテリア》、《ローヌ川の星月夜》、《星月夜》、《糸杉と星の見える道》、《ウジェーヌ・ボックの肖像》の5つの作品に描かれた、星・惑星・月の解明、さらには構図の科学的分析などにも言及している。ひとつの作品ごとに一章を費やしている。
 本日は「はじめに」と第1章「夜のカフェテリア」を読み終えた。
 おもしろかったのは遠近法についての言及であった。《夜のカフェテリア》では一点消失図法で安定した構図で安定した画面を鑑賞者に与える。しかし《カラスのいる麦畑》、《夜のカフェ》、《屋根》、《ファン・ゴッホの寝室》などになるとこの遠近法が崩れ、描かれた空間はいびつになり、見る者に不安などを与える。この空間の歪みは、画家が「描きたいもの」を大きく描くということであると指摘する。
 それはそれでよく理解できるのだが、《ファン・ゴッホの寝室》など描きたかったものは何だったのか、それが何を象徴しているのか、についての言及は読者に投げかけられたままである。
 一般相対性理論まで出てきて「空間の歪み」に言及があり、面白みはあるのだが、投げかけられた疑問はなかなか解けない。それもまた読むことの楽しみということか。今後の展開に期待しつつ読み進めたい。