★病夫の名負ひをり花も過ぎんとし 加藤楸邨
句集「山脈(やまなみ)」の「山脈抄」(1950~1952)におさめてある句。45歳のときの作。
西行の辞世とされる「願わくは花の下にて春死なんその如月(きさらぎ)の望月のころ」が念頭にあったのだろうか。すくなくとも頭を過ったのではないか。
私は今は入院したわけでもないが、本日検査後に最上階の食堂から、毎年きれいな桜を見ることのできる公園と横浜の港方面を眺めていた。15年も前に一カ月入院したときにさんざん眺めていた景色であるので、懐かしかった。
ここは桜の季節になるとことのほか眺望がいい。病院にいるということを忘れもさせてくれる場所であった。
しかし同時に長期入院をしていると桜の前後の季節は、次から次に花木が移り変わり、季節や時間がどんどん流れていくことを実感して、家が恋しくなる場所でもあると思う。
桜だけをとっても、早咲きの寒桜からソメイヨシノ、そしてヤマザクラ、最後にヤエザクラと少しずつ色合いも変わっていく。
さて同じ「山脈抄」には、
★雪降りつむ音なきものはつひにかなし
★しづかなる力満ちゆき螇蚸(ばった)とぶ
★玉虫はおのが光の中に死にき
などの私の好きな範疇の句が並ぶ。
句集「山脈(やまなみ)」の「山脈抄」(1950~1952)におさめてある句。45歳のときの作。
西行の辞世とされる「願わくは花の下にて春死なんその如月(きさらぎ)の望月のころ」が念頭にあったのだろうか。すくなくとも頭を過ったのではないか。
私は今は入院したわけでもないが、本日検査後に最上階の食堂から、毎年きれいな桜を見ることのできる公園と横浜の港方面を眺めていた。15年も前に一カ月入院したときにさんざん眺めていた景色であるので、懐かしかった。
ここは桜の季節になるとことのほか眺望がいい。病院にいるということを忘れもさせてくれる場所であった。
しかし同時に長期入院をしていると桜の前後の季節は、次から次に花木が移り変わり、季節や時間がどんどん流れていくことを実感して、家が恋しくなる場所でもあると思う。
桜だけをとっても、早咲きの寒桜からソメイヨシノ、そしてヤマザクラ、最後にヤエザクラと少しずつ色合いも変わっていく。
さて同じ「山脈抄」には、
★雪降りつむ音なきものはつひにかなし
★しづかなる力満ちゆき螇蚸(ばった)とぶ
★玉虫はおのが光の中に死にき
などの私の好きな範疇の句が並ぶ。