メランコリア

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『木靴の樹』(1978)

2011-09-07 21:10:04 | 映画
『木靴の樹』(1978)イタリア
原作・監督:エルマンノ・オルミ

『聖なる酔っぱらいの伝説』を撮ったオルミ監督作品。
カンヌ映画祭のパルムドールやセザール賞の最優秀外国映画賞をはじめ14の賞を受賞した186分の長編。
2部に分かれていて本当に長いけど、誰も席を立つ者はいなかったという。
その後も異例のロングランヒットをつづけた。

19世紀末のイタリア。農民は貧しく暮らしていた。
耕地はもちろん、住居、農具、牛・馬などはすべて地主の所有物で、
収穫の3分の2を納めなければならない。
監督がかつて祖父母から聞いた昔の農民の生活がいかに厳しく、
逞しいものだったかを元に脚本を書いたそう。
オールロケ、しかも自然光のみで撮影。
出演者は全員、実際の農民を起用している/驚

story
バティスティの息子ミネクは勉強ができるため、「学校に通わせるべき、それが神の意思だ」と牧師に言われる。
近々また子どもが生まれる予定もあり、家族を食べさせるだけで精いっぱいのバティスティにとって、それは大きな決断だった。

牧師はルンク未亡人も訪ね、「今のままでは家族共倒れになる。下の娘2人を孤児院に入れなさい」と勧めるが、相談した一人息子には「僕が夜も働く。妹たちもすぐに家を手伝えるようになる」と止める。
そんな時にまた一難。牛が病気で立ち上がれなくなってしまった。
獣医からは「早く殺して売らないと、病死した牛は売り物にならんよ」と言われる。
未亡人は教会で一心に祈り、脇の小川から汲んだ水を飲ませて様子を見ていたら、牛は回復する。

美しいマッダレーナが好きなステファノは、彼女の後をついてきて、
「ひと言こんばんわと挨拶させてください」と言う。
次に会った時には「キスしたい」て大胆!
2人の結婚式は早朝行われ、その足で母の妹のいるミラノの修道院を訪ねる。
馬車に揺られ、船に乗って着いた都会は、人込みと暴動の騒ぎ!
叔母から1人の赤ん坊を里子に渡される。
15歳までの養育費、衣装代、交通費は若い夫婦を助け、
赤ん坊には両親の愛情が与えられるというシステム。
美男美女のカップルで映画にはおあつらえむき。
堅苦しい中にも、素朴で敬虔な夫婦の姿が初々しい

ケチなフィナールは、祭りの晩、1枚の金貨を拾って、馬の蹄鉄に隠し、
毎日のようにコソコソと確認していた。
ある日、見てみるとない!「この泥棒馬め!」と激怒して気が違ってしまい、祈祷師が呼ばれる。
「これは虫の仕業だ」と怪しげな治療法を伝授される(蟲師か?

ルンク未亡人の父は、トマトの肥料にちょっと工夫をして、
土を温めることで収穫が1ヶ月早まるという。
「きっと皆ビックリするぞ!朝市には一緒に行こう!」と孫娘を連れて行く。
予想通り、早採りで熟したトマトは評判となる。
孫娘はウィンドウに並んだ菓子パンに目が釘付けになる。

ミネクの木靴が壊れてしまい、困った父は、夜中にこっそり街路樹を切って新しい靴を作ってあげるが、それが地主にバレて、一家は追い出されることに。
「死ねと言われたようなものだ」と同情する隣人。だが、誰も助けるほどの余裕がない。
馬車に乗るだけの荷物を積んで、一家5人は夜中にひっそりと村を出るのだった。。


知能障害風の男性が家々を訪ねるシーンもある。
「笑ってはいけないよ。貧しい者ほど、より天国に近いのだから」と母が言う。

年に一度の祭りはかなり盛大!
メリーゴーラウンドが周り、様々なゲームや見世物、怪しげなクスリが売られたりw
服や布を売りにくる行商人もいる。「本場パリ仕立てを大安売りだよ!」てw

ハレの日には、飼っているアヒルやブタをしめる。
本来「いのち」を食べるってことは、「死にたくないいいい」て泣き叫ぶものをムリやり殺すってことなんだ。
とてもじゃないが直視出来ずに、耳をふさいでしまった。

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