メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

揺れる“超大国”アメリカはどこへ@NHKスペシャル シリーズ激動の世界 第3回

2019-11-30 12:59:52 | テレビ・動画配信
予録したまま観ていなかった番組
これはまだトランプ大統領になる前の番組


【内容抜粋メモ】

過激派テロ組織に連れ去られる人質
救出作戦を展開する各国軍

アメリカとヨーロッパ諸国の合同軍事演習です






圧倒的な軍事力で各国を主導してきたアメリカ
その姿に変化が表れていました

アメリカ軍の役割は空爆のみ
地上の作戦には加わりません




テロリストの拠点を包囲したのは、スペインとドイツの地上部隊
最前線の先頭にはチェコやスロベニアなどの部隊が投入されていました




アメリカは今自ら担ってきた負担を各国に求めようとしています
これから世界をどうリードするのか模索を続けています

東西冷戦の終結から四半世紀余り
世界は超大国アメリカを中心として秩序が形作られてきました

しかしテロとの戦いでアメリカの威信は失墜
国家の野望がむき出しになっています

ロシア プーチン:新しい秩序か ルールなき世界か



新たな脅威の出現と混乱の連鎖、難民問題、、、

世界はどこへ向かうのか

シリーズ最終回は揺れる超大国アメリカです


各国から軍を撤退させ、「アメリカは世界の警察官ではない」と宣言したオバマ大統領

その空白をついて大国復活を目指すロシア
海洋進出の動きを強める中国
そして過激派組織ISの脅威




アメリカの影響力が低下し、世界の混迷が深まっています

国際政治学者:アメリカが社会で築いてきた全てが崩壊しようとしています

アメリカはどこへ向かうのか

その模索を見つめ、激動の世界を展望します



ここホワイトハウスの主 大統領は
アメリカだけにとどまらず、いわば国際社会全体の舵取り役もになってきました

テロとの戦いを全面展開し、多くの血を流すことになったブッシュ政権時代




その痛手に懲りてオバマ政権では、穏健な路線に転じました
しかし世界の地位は後退

超大国の睨みが効かなくなった中東などでは
新たなテロや紛争などが広がる事態となっています

アメリカは今世界が激動していく中で
自らがどう振る舞うべきかその答えを探しています


大統領選候補者討論会
今年はポストオバマの大統領選挙一色に染まります
アメリカの今後を左右する大統領選挙




話題を集めているのが、移民や難民などの問題で
過激な発言を繰り返しているドナルド・トランプ候補です




トランプ:
イスラム教徒のアメリカ入国を完全に禁止する
私が大統領になったらシリア難民を全員を送り返す


極端な主張にも関わらず、なぜ共和党でトップの支持率を維持しているのか集会を訪ねました
氷点下9° 開場までまだ1時間ぐらいありますが
たくさんの人がトランプ候補の集会を待っています

ひときわ歓声が高まったのは、トランプ氏がスローガンを訴えた時でした
トランプ:偉大なアメリカを取り戻す



(トランプコールが起こる


Q:なぜトランプ氏を支持しているのですか?

40代ぐらいの男性:
トランプ氏の発言はとても力強い
多くの人々が強い大統領を望んでいます 

アジア系の男性:ロシアや中国の強さに押されてアメリカは弱くなっています

30代ぐらいの女性:アメリカが強くならなくちゃ アメリカの復活よ!


偉大なアメリカはどこへ行ったんだという喪失感と焦り
それがトランプ人気の背景にあります

大統領選挙の大きな焦点 それは世界を主導してきたアメリカの役割です

ヒラリー・クリントン(前国務長官 民主党候補):
今アメリカの指導力が求められている
世界を率いてISを倒せるのはアメリカだけです



(毎回敵を作って、ロシアがISに変わっただけじゃないか?


共和党候補 ジェブ・ブッシュ(元フロリダ州知事):
オバマ大統領はアメリカの指導力を弱めている




国際社会での指導力を問われているオバマ大統領
就任以来重い課題と向き合ってきました


15年にわたるアメリカにとって最も長い戦争 テロとの戦い

デラウェア州ドーバー空軍基地
アフガニスタンで戦死した兵士6人の遺体が帰還しました




テロとの戦いでの死傷者はおよそ6万人
今も増え続けています

戦闘で負傷した兵士への支援も大きな課題になっています




強く偉大なアメリカを求めながらも
これ以上の犠牲は耐えられないという声が高まっています

退役軍人:軍事力で世界の問題を解決できると考えるのは間違っています

退役軍人:
海外に派遣され、十分尽くしました
でもこの国は大変なことになっています
28歳の息子は戦場には送りません


アメリカが背負ってきた二つの戦争
ブッシュ政権はアフガニスタンに最大3万人
イラクには17万人の部隊を展開させ、戦費は年間13兆円を超えていました




戦争の終結を約束したオバマ大統領は、イラクから軍を完全に撤退させる決断をします
ところがこれが思わぬ事態を引き起こします

圧倒的な力が失われたことで起きる「力の空白」
中東に再び混乱が広がり、オバマ大統領は試練に直面します
シリアの内戦です




「アラブの春」
中東 北アフリカで起きた民主化運動




シリアでも強権的なアサド政権に対する反政府運動が広がります
アサド政権は力で市民を弾圧し、衝突は内戦へとエスカレート

(街中に爆弾が落ちる映像




政権側が化学兵器まで使用するのではないかという懸念が高まります

国際的な人道危機に、オバマ大統領はシリアへの軍事介入を示唆します
オバマ:化学兵器が使用されるかどうかがレッドライン(軍事行動)に踏み切る一線だ

しかしアサド大統領は市民への攻撃を強めます




ついに化学兵器が使用されたという情報が明らかになり、アメリカは岐路に立たされました




その直後の会見で、オバマ大統領は軍事介入するかどうかの名言を避けます

記者:昨日の化学兵器の使用で一線を越えたのではないですか?

オバマ:次の行動については話せない 情報収集が必要だ


その後も化学兵器が使用されたという報告が相次ぎます

オバマ大統領はそれでも動きませんでした
この時ホワイトハウスでどのような議論が交わされていたのか

その現場にいた政府高官の一人が取材に応じました

オバマ大統領の安全保障政策のアドバイザーを務めた元国防次官補デレク・ショレ氏
アメリカ政府は、シリアの化学兵器工場に対する空爆など
軍事介入の具体的な計画を検討していたと言います

ショレ氏:
我々は化学兵器の使用を食い止めようとあらゆる軍事作戦を検討しました
しかし難しい選択ばかりでした

シリアの内戦が悪化する中で国際社会では
アメリカがアサド政権を倒すべきとの声が高まっていました
しかし政権が崩壊した後の混乱をどうするのか その答えがなかったのです


「イラク戦争(2003)」
オバマ大統領が介入をためらった理由
それはイラク戦争での苦い経験でした




イラクではアメリカがフセイン政権を崩壊させた後、混乱が全土に広がりました

フセイン政権崩壊後
それを収めるためにアメリカ軍は駐留の継続を強いられ
およそ3万5000人の死傷者を出したのです

自らのの軍事介入によって泥沼にはまっていったアメリカ
これが重い教訓となっていたのです

デレク:
オバマ大統領は大規模な地上部隊を再び中東に派遣することだけは避けたいと考えていました
イラク戦争の教訓がアメリカを軍事介入に対して極めて慎重にさせていたのです


再び中東に軍を派遣するかどうか揺れ続けて1年
オバマ大統領はシリアへの軍事介入を見送ることを決断します

オバマ:
アメリカは世界の警察官ではない
悲惨なことは世界各地で起きる
そのすべてに関与する力は我々にはない


アメリカの力に限界があることを認めたのです
しかしこの決断がシリアで予期せぬ事態を招きました


過激派組織ISの台頭




アメリカの影響力が低下する中、シリアでは内戦が激しさを増します
その混乱に乗じてISが急激に勢力を拡大し
アサド政権、反政府勢力と並ぶ勢力となっていったのです




「ISがこの油田を制圧した IS万歳!」(車がトヨタだ

油田地帯を次々と制圧し、それを資金源に組織をさらに強大化させます


2014年6月 イラク モスル制圧
一方的に国家の設立を宣言

イラクでアメリカの領事館や企業が集中する北部の都市アルビルに迫りました

「ISの活動地域」




「世界の警察官ではない」と宣言してから1年
アメリカの権益が直接脅かされたことでオバマ大統領は空爆を決断します

オバマ:
アルビルに駐在する外交官や軍関係者を守るために軍に出動を命じました
アメリカ国民を守るため、あらゆる措置を取ります


2014年8月 空爆開始




ISが支配地域を広げるイラク、そしてシリアで軍事行動に踏み切ったアメリカ
空爆を主導する一方で大規模な地上部隊は派遣しないという戦略をとります


「イラクでの訓練施設」
地上戦は地元の軍や義勇兵を育成し、戦わせることにしたのです
しかしこの戦略はその後揺れ動いていきます




シリアの隣国トルコ
アメリカはここで地上部隊の育成計画を進めていました

アメリカは自由シリア軍を反政府勢力の中でも穏健派と位置付けて
対IS戦略の要にしようとしていました

アメリカに協力していたシリアの反政府勢力 自由シリア軍の幹部 アンマル・アーウィー氏:
アメリカからは15000人の部隊を作る計画だと言われました
十分な数の志願者を集めて欲しいと頼まれたのです

大量の戦闘員が必要だとして協力を求めてきたアメリカ軍関係者
しかし厳しい書類審査と面接、さらに嘘発見器まで使って兵士の選別を行ったと言います

アーウィー氏:
面接では名前や家族関係にとどまらず、過去に過激派組織と接触したことがあるか
共に戦ったことがあるかなど事細かに質問されました
アメリカは我々の中に過激派が紛れていると疑っていたのです

さらにアメリカは攻撃の対象はISだけだとして、アサド政権との戦闘を禁じようとします
実際に面接を受けたこの男性は強い反発を感じていました

自由シリア軍 ハマド・アハメド氏:
アメリカの協定書では訓練の目的がISとの戦闘に限られていました
部隊の中からはこんな条件は飲めないと反発する声が相次ぎました

我々は反政府勢力です
ISとの戦いが終われば、当然アサド軍と戦います


全ての審査を通り、訓練を受けても渡された武器は小型銃機だけでした
自らの身を守れず、他の武装勢力に拘束された事態も起き
地上部隊として投入されたのはごくわずかだったといいます

拘束された自由シリア軍とされる映像




対IS戦略の行き詰まりはアメリカ国内でも大きな問題となりました


「上院議会軍事委員会」




フィッシャー上院議員:訓練を受けてISと戦う戦闘員は合わせて何人ですか?

オースティン将軍:人数は少ないです 戦闘を行っているのは4、5人です(4、5人て

マケイン上院議員:私は30年近く委員を務めているが、こんな話は聞いたことはない


460億円を投じたとされるこの計画は事実上失敗に終わりました


なぜオバマ大統領の戦略は迷走していたのか?
オバマ政権で軍の情報機関のトップを務めたマイケル・フリン元国防情報局長官は
迷走の背景には反政府勢力に過激派が紛れ込むことへの強い警戒感があったといいます

フリン:
ホワイトハウスは混乱していました
訓練した戦闘員がテロリストになるのではないか
政権を転覆し混乱を招くのではないかと恐れ
どう関与すればいいのか分からなくなっていたのです


アメリカが地上部隊の育成に失敗したシリア
その間、隙を縫ってISは首都ダマスカスのあるシリア中部にも勢力を拡大します

ロシアのプーチン大統領はアサド政権への支援を宣言
大規模な空爆に踏み切りました




プーチン:
シリアは我々の友好国であり、ロシアはあらゆる措置をとる用意がある
テロとの戦いだけではなく、政治的な支援も行なっていく

ロシアの専門家は、プーチン大統領はアメリカの隙を見逃さなかったと指摘します

ヒョードル・ルキヤノフ氏(政治学者):
プーチン大統領はアメリカが世界において絶対的な権力を持つ時代はもう終わったとみています
ロシアはその機会を見逃しませんでした

アメリカが引いていることで中東には力の空白が生まれています
その空白をロシアが埋めているのです


混迷が深まるシリアでは一般市民の犠牲が増え続けています
(未だに SNS にアップされていて、市民、とくに子どもたちが巻き込まれている映像は心が痛む


「シリア人権監視団」
シリアの人権団体は、これまでに少なくとも7万人の民間人が犠牲になったとしています

「この子達がISだというのか?! この子は頭を撃たれた!」




シリア人権監視団 ラミ・アブドゥル・ラフマン氏:
我が子を失った母親のことを考えてください
その悲劇を自分のこととして受け止めて欲しいのです

私たちシリア国民は、国際社会から見捨てられていると感じています


フリン氏は、かつてのような力をアメリカが発揮できなくなった今
その「力の空白」がもたらす混乱はこれからも起きていくと警告しています

フリン氏:
アメリカが世界で指導力を発揮できなければ、これからも「力の空白」が生まれ
そこに台頭する勢力が出てくるでしょう

アメリカが世界から引いた時に何が起きてしまうのか
シリアはその現実を私たちに突きつけているのです


ウォルター・ラッセル・ミード氏(政治学者 バード大学教授 アメリカの外交政策が専門)は
歴史的な観点からアメリカの覇権のメカニズムを分析し、政府に外交政策を提言しています

ミード:今、最も深刻なのは中東の問題です

Q:アメリカの影響力の低下によって「力の空白」が生まれているのでしょうか?

ミード:
アメリカが中東から引いている
各国がそう受け止めてしまったことが不安定な紛争を生んでいます
そしてアメリカの国民は中東にどう関与すればいいか分からなくなっています

国民はブッシュ大統領のイラク戦争で失望しました
オバマ大統領になっても「アラブの春」で期待したような民主国家は生まれませんでした

何もかもうまくいかないのであれば、何もしない方がいい
そう考えるようになってしまったのです


シェール革命
さらにミード氏はアメリカで起きた「シェール革命」の影響を指摘します
技術革新によってアメリカは、今年約40年ぶりに原油の輸出国となる見通しです




ミード:
シェール革命でアメリカは原油と天然ガスをほぼを自給できるようになりました
中東の原油に依存しなくなったのです

国民は、アメリカが中東に介入しても問題を起こすだけならば
関わる必要はないと考えるようになりました
そのためオバマ大統領が中東から軍を撤退させるときに多くの国民がそれを支持したのです


リーダーなき世界「G0」の到来を予言

Q:
もしアメリカが変われば、日本との同盟関係はどうなるのでしょうか?
日本は新たな道を探さなければならないのでしょうか?

イアン・ブレマー氏(国際政治学者 コンサルタント会社ユーラシア・グループ代表):
今、アメリカの同盟国が揺れています
サウジアラビアやイスラエル、イギリスやドイツ、そして日本などです

アメリカが何を目指しているのか
どこまで責任を持って関与してくれるのか分からなくなっているからです

同盟国は変化を迫られています

アメリカが唯一のリーダーでなくなった世界で何が起きるのか どう対応すればいいのか
日本をはじめとするアメリカの同盟国が最も早くその問題に直面するでしょう


インターネットの思想戦、情報戦
今、激動の世界を加速させているのがインターネット空間です
全世界で32億人が利用し、情報を瞬時に共有できるようになりました

民主化運動「アラブの春」では、ソーシャルメディアでつながった市民が
独裁政権を倒し、国家のあり方まで変えていきました

「国民400万人デモに参加を!」




このインターネットの技術を開発し、Google、Facebook など
世界的な IT 企業を生み出してきたアメリカ
インターネットを開かれた自由な空間として発展させてきました

しかし、その自由な空間を、今過激な思想が侵食しています
インターネットの力が悪用され、アメリカの価値観までもが脅かされているのです

「パリ同時テロ事件」

「カリフォルニア銃乱射事件」



アメリカを支えてきた土台は、自らが世界に広めてきた自由や民主主義といった価値観でした
その大事な価値観が軽んじられ、神通力を失ってきているのではないかという懸念が広がっています

その象徴が若者に対する過激な思想の拡散と浸透です

そこでアメリカ政府が取り組んでいるのは、インターネット空間を使った思想戦、情報戦です
自らの価値観が侵食されるのを食い止めようと官民一体での取り組みが進められています


アメリカへようこそ
今、アメリカ国務省は、中東や北アフリカの学生や
市民活動家らを集め、次世代を担う指導者に育てようとしています
若者たちを通じて自由や民主主義といったアメリカの価値観を各国に普及させる狙いです





講師:
ここで指導者となる技術を学び、活動する市民になってください

君たちは祖国では鎖につながれている
自由に意見を言ってください
幸いなことにこの国では言論の自由が保障されていますから

学生:なぜアメリカはこれほど力を入れて中東や北アフリカで民主化を進めるのですか?

講師:中東の民主化ではありません 常に安定を求めているだけです


民主化が進んだのはチュニジアのみ
アメリカがこの取り組みを強化したきっかけは、民主化運動「アラブの春」でした

2011年 中東、北アフリカでは民主国家が誕生するという期待が高まりました
しかしシリアやリビアなどでは過激派が台頭
エジプトでは独裁政権を支えた軍が権力を奪い返します

民主化が進んだのはチュニジア一国だけでした






アメリカはチュニジアを、この地域の安定の鍵を握る重要な国と位置づけています
しかし去年テロが相次ぎ、国の治安や経済が大きく揺らいでいます

アメリカ国務省が次世代のリーダーとして支援している NGO 活動家マライ・ベンフルさん25歳
ベンフルさんは、今、若者の間に過激思想が広まることを防ぐ活動を続けています




ベンフル:
どうして若者は過激思想に染まってしまうのでしょうか?
それが分かれば思いとどまらせることができるかもしれません

ベンフルさんは、イスラム過激派に勧誘された経験がある人たちと対話を重ねています

青年:
チュニジアの若者は仕事がなく、早くこの国から出たがっています
だから誘いに乗りやすいし、お金を見せられたら飛びついてしまう

ベンフル:
今、私たちは瀬戸際にいます
民主主義を守り、社会を安定させていく
道のりはまだこれからです


ITの活用
ベンフルさんのような若者たちの活動を後押しするため
アメリカ政府が広げているのはITを自在に活用するノウハウです

女性:Facebook なら多くの人に拡散できる ゲームのようなもの

ITの持つ力でアメリカの価値観を拡散させる新たな取り組み




国務省 中東北アフリカ担当 ブライアン・アゲラー氏:
若者たちには祖国で指導力を発揮し
政府は市民の意見に耳を傾けるよう力を尽くして欲しいと思います

中東の安定と発展は、アメリカの国益となるだけではなく
世界にとっても大きな利益となるでしょう


国務省のPRビデオ
アメリカはこの取り組みを世界各地で展開
しかし反発も呼んでいます

2014年 ウクライナ政変
ロシア寄りの政権に対する反対運動を引き起こした若者を
アメリカが背後で利用しているとして批判が高まりました

親ロシア派政党議員:
アメリカは最新の技術を使って反政府運動を過激派させる手法を教えていた
若者たちはインターネットを通じて直接世論に影響を与えていた
ウクライナで暴動を引き起こすためだ


この取り組みを始めた国務省の元高官は
こうした批判に対してアメリカが進めているのは新たな外交の形だと主張しています

元国務省 技術革新担当顧問 アレック・ロス氏:
これは新しい外交の手法です
直接市民に関わり、アメリカの国益を実現します

これはプロパガンダではありません
何か特定の思想を広めているわけではないのです


インターネット空間で急激に拡散する過激な思想
アメリカはそれに対抗するための情報戦にも乗り出しています

「過激思想対策サミット」
オバマ大統領は、過激思想対策を会議する初めてのサミットを開き、強い危機感を表明します

オバマ:
今日の会合は、過激思想対策という難題に立ち向かうためです
テロリストの顔は一つとは限らない
いつ誰が過激化するかわからない


オバマ大統領が協力を求めたのは、最先端技術を持つIT企業など民間の団体でした




Google 社のシンクタンク代表:
テロリストのネット戦略はまだ新しく未熟なものだ
我々ははるかに高度な技術と戦略を持っている


アブドゥラ X プロジェクト
このサミットで民間の力を示す実例として取り上げられたのは「アブドゥラ X プロジェクト」です






仮想のキャラクターが若者に向けたメッセージを語りかけます
過激な思想に染まることを防ぐ狙いです

アブドゥラ X:
戦場に行って誰かを殺し殺されることが苦しむ人々を救うと本気で思っているのか?


このプロジェクトでは検索最大手 Google 社などの技術が実験的に活用されました
「ジハード(聖戦)」など過激派組織を連想させる言葉を検索すると
結果の上位に表示されるようにしたといいます




アブドゥラ X を開発したシンクタンク代表:
検索結果の上位に表示させたことで、数ヶ月で視聴者が50人から10万人に増えた
シリアでジハードをしたいという若者たちに視聴させることができた


アメリカ政府は、より効果的なプロジェクトを開発するため
民間の研究機関に資金を投じることにしました




これまでに進められてきた実証実験ではソーシャルメディア大手 Facebook の技術を活用してきました
1ヶ月で対象者を探すには Facebook の分類機能が有効です

「実証実験の報告書」
実証実験は限定された地域で3ヶ月間行われました
過激思想に関心を持つ若者を特定し、個別に説得する試みです

<その仕組み>
まずマーケティングの手法で、こうした若者の間で流行している言葉を抽出
その言葉に強い関心を示している人たちを Facebook のデータベースを使って特定します




彼らの情報は説得役として組織した元過激派のグループに伝えられます
このグループのメンバーが若者たちに個別に接触し
過激な思想に染まらないよう1対1で対話を重ねたのです




過激思想対策プログラム開発者:
若者を過激な思想から遠ざけるためには、1対1の対話に持ち込むしかありません
彼らは信頼できる人物にしか心を開かないためです


元国務省対テロ戦略 コミュニケーション・センター アルベルト・フェルナンデス氏
インターネット空間での過激思想対策での責任者を務め
これからの情報戦では民間のIT企業の技術力が鍵を握るといいます

フェルナンデス:
シリアは世界で初めてのソーシャルメディア戦争です
インターネット上の過激派に対抗するためには
民間企業の力を高め、活用していかなければならないのです


国際社会での影響力が低下する中、新たな時代を見据え、模索を続けるアメリカ
しかし、激動の世界は今も大きく揺れ動いています

中東の大国イランとサウジアラビアの対立




核実験を強行する北朝鮮




そして中国は、南シナ海に建設した人工島で滑走路の試験運用を始めています




これから世界はどうなっていくのか
この激動の時代に私たちはどう向き合っていくべきなのか

ロシアを代表する国際政治学者 ドミトリー・トレーニン氏(カーネギー財団モスクワセンター所長 ロシアの外交・安全保障が専門):
アメリカが唯一の超大国と言われた時代がありました
そして今また過渡期に差し掛かっているように思います

それでも世界で最も強大なのはアメリカです

それに挑戦しているのは、第二の大国 中国
そして第三の大国がロシアです

アメリカ、中国、ロシア
近い将来、この3つのプレーヤーが世界の最高峰リーグを作り
その枠組みの中で競うことになるでしょう


Q:
アメリカは基本的にどう言う振る舞い方をすれば
最も有効な役割を果たすことができるとお考えですか?

トレーニン:
アメリカは我々にとって良いことは
あなたがたや全ての世界にとっても良いことなのだと主張します
自らの国益のために自分たちの主義や原則を押し付けるのです(同意

「地球」という名のグローバル企業があるとしましょう

アメリカにはその最大の株主の責任を果たして欲しい
ただ会社を全て自分のものとは思わないでほしいのです
そうしたアメリカこそが世界にとって望ましいのではないでしょうか


Q:
トレーニン氏は、新たな国際秩序は最高峰リーグで形作られるとしています
その考えをどう見ますか?

リーダーなき時代を予見したブレマー氏:
そうですね もし最高峰リーグができるのであれば、ロシアが役割を果たすでしょう

ただまだそんなリーグはありません
新たな国際秩序はこれから作られなければならないのです

私たちはもうアメリカ一極時代には戻れません
中国は強大になりました
ヨーロッパの力は弱まっています

アメリカは新たな国際秩序でどのような役割を果たすつもりなのか
一刻も早く決断しなければなりません

必要なのはこれからの時代の「ドクトリン(国家の基本原則)」です

来年就任する新しい大統領が、アメリカはこの価値観を
これから掲げ守って行くと世界に宣言すること
それが求められているのです

(トランプ大統領で台無しじゃん


ワシントン郊外の国立アーリントン墓地
この広い敷地の中にテロとの戦いで死んでいったアメリカの兵士たちも埋葬されています




しかしそのテロは、今も容赦なく各地で繰り返され
国家間の一触即発の緊張は絶えることがありません
そうした現状を命を失った兵士達はこの場所からいったいどのような思いで見ているのでしょうか

アメリカ一強の時代はもはや去ったと言えそうです

一方、これに反比例して存在感を示す中国は、地域大国の座から今や世界を伺っています
そしてカリスマ性のあるリーダーに率いられたロシアが大国復活へと邁進しています

世界は力のバランスを失い漂流を始めています
その間にも罪のない人たちの血が流され、多くの難民が生まれています
世界が新しい秩序を作り出すために一刻の猶予も許されないのです

アメリカがそこに大きな役割を負っていることに変わりはありません
依然として世界一の富と先端技術を持ち、世界中から多くの人を惹きつけるアメリカ

国際社会の多様な価値観を受け入れて、グローバルな社会の道しるべとなるような
新しいドクトリンをアメリカ自身が見いだすことが
激動の世界に安定をもたらす最大の鍵となるのです


コメント

柳家さん喬 「船徳」ほか@日本の話芸

2019-11-30 12:59:51 | テレビ・動画配信
柳家さん喬 「船徳」




日本には四季折々の行事がある

浅草の観音様 一年中いろんな行事がございます
四万六千日 7月の9日と10日、観音様にお参りをすると
4万6千日通ってお祈りをしたご利益を頂戴できる
「ほおずき市」と言ったほうが馴染みがある

「どうしても船頭になりたい」という若旦那とくさんは親方に止められるが
あまりしつこくお願いされて仕方なく認める

オタミにみんなを呼びに行かせる
オタミ:小言だって

船頭:
オタミの言うことはアテにならない
きっとシンゾウ?を壊したことだ
間違えて持ってきた天ぷらそばを食べたことか?
オレが謝るから 任せとけ

親方に言うと知らないと言われるw

親方が「これから若旦那を“徳”と呼んでくれ」と事情を話す

どうにか船を動かすようになった若旦那

夫婦で暑い日に四万六千日に船で行こうという夫

女将:もう全部出て、船頭がいない

夫:あすこに1人いるじゃないか

女将:お得意さんだから、こないだみたいに船ひっくり返したらダメですよ

妻は船に乗るだけで酔う

船がやっと動いて、調子よく歌いながら漕ぐとすごい揺れ
竿が流れて櫓にかえるが、石垣に寄りすぎて逆ギレする若旦那

妻は船酔いを抑えるために煙草を吸う

夫:船が流れてないか?! 大桟橋まですぐそこなんだから!

若旦那:もうヤダ…

船が中洲に乗り上げる

夫:オレがおぶっていってやるから(入ると首まで浸かるw

若旦那:すいません 船頭1人雇ってきてくれませんか?



立川談四楼 「柳田格之進」




柳田格之進は、小さい頃から曲がった事が大嫌い

ある日上司が商人からちょっと袖の下をもらって
見過ごすことができず、ひと騒動起きる

始末書を出すと、誰かが改ざんして
柳田が袖の下をもらったことになりお役御免となる

女房を早く亡くして、一人娘の糸がいる 歳は17
親子二人で浅草の長屋に住み始めたのは春先

糸が繕い物で内職をしていたが暮らしの支えにはならず、柳田は私塾を始める
安いのが目玉で長屋衆の子ども達が大勢押し掛けるも
ここでもうるさくして、数人に減る

碁会所があると娘に教えられて外に出かける

相手をする知り合いがいないと言うと、主がちょうどいい人がいると紹介したのは
両替をしている商人のよろずやまんべえ

2人は馬が合い、酷暑の日に行くと碁会所は混雑
よろずやの家に誘われる

夜になると酒が用意され、断れず碁談義+お土産までもらうが
それから後悔して行かなくなった

よろずやは機嫌が悪くなり、下人が「頼むから来てくれ」と長屋まで来たため仕方なく行く

秋の月見の宴を抜けて碁を始める2人

翌朝、番頭から宴の際の五十両のことを言われるが覚えていない柳田は「口は慎め」と怒る

番頭も五十両がないと言いに来たため、柳田は書状を書いて糸に頼むと
糸は「父と離縁したい」と言いだす

糸:
父は私がいない間に腹を切るつもりでしょうが
それはやめていただきたい

まずはお金を返すことが先
女は吉原に行くと金になると言う
どうぞ私を吉原とやらへお連れくださいませ

父はもちろんお金を取っておりません
お金が出てきた暁には、万兵衛、徳兵衛の首をはね
柳田の家名をお守り頂きいただきとう存じます

明け方、女衒と吉原に行き50両をもらう

番頭が五十両を柳田が届けてきたと主に告げると
よろずや:えらいことをしてくれた!

長屋に行くと、もう引っ越した後

よろずや:
金は大事だが、あの世に金を持っていけると思っているのか!?

私の歳を考えろ
これから先、ああいう友達ができると思うか?
早く柳田様を探すんだ!

師走 煤払い 機嫌の悪い主
貞吉が離れの掃除をしていたら、額の後ろから五十両が出てくる

よろずや:
思い出した! あの時、厠に行き、落としちゃいけないとそこに置いたんだ
みんなで柳田さんを探してくれ!

正月は雪 番頭は年始周り

立派な武家の乗る籠が来る
きつい坂になったら籠から降りて一緒に歩き、平らなところになったら乗り直す

立派な侍になった柳田が声をかけられ、事情を話す番頭
柳田:明日、首を洗って待っていろよ!

店をたたむことにしたよろずや
そこに柳田が来る

よろずや:どうか番頭の命は助けて欲しい

柳田:
娘を吉原に送ったが、収賄が発覚し、吉原に駆け込むと
幸い娘はまだ客を取っていなかったが
外出も一切せず食事もせず、日々やせ衰えていった

柳田が斬ったのはよろずやではなく碁盤

柳田:
そのほうを斬るわけにはいかない
これで白黒がついたのだ 達者で暮らせ さらばじゃ

落語というよりも人情話



一龍斎貞山 「竹の水仙」




名工とうたわれている左甚五郎は
現在の岐阜県、飛騨の高山でみっちりと修行をして
あちこちで修行をしたいと飛騨を出て伏見に住んだ

ここでふと竹で水仙をこしらえた
本当の水仙のようにパッと咲くというのが評判になったが
甚五郎は鼻を高くすることもなく酒を飲んでぼーっと過ごしていた

ある日、江戸・日本橋 呉服屋の番頭が訪れてくる
主の八郎右衛門から「甚五郎に会って刻んでも貰ってきてくれ」といいつかってきた

番頭:
手前どもに随分昔から運慶のこしらえた恵比寿様がある
この運慶という方は大黒様にかかる前に亡くなった

恵比寿・大黒は福の神
揃っていなければ面白くない

運慶に勝るとも劣らない名人に彫っていただきたいと常に考えていた
それを持ってきたのでこれと一対になるようお願いしたい

甚五郎:
さすがに運慶だけあって大したものだ
分かった私も大黒様を彫ってみよう

主が金持ちなら300両もらう
まず手付金の30両をもらう

番頭:いつまでに彫っていただけます?

甚五郎:
なるべく早くするつもりだが、仕事なんてものはあんまり急ぐとろくなことがない
だから日を決めることはできない

すぐに仕事にかからず酒を飲んでいるうちに元の木阿弥一文無し
甚五郎:江戸にでも行ってみようか

夏の初め 尾張国 宿屋の大松屋が宿の客引きをしている

甚五郎:
酒があるなら泊まってやる
持ち合わせがないから、主にニ分ほど貸してくれと言ってくれないか
一分はお前の茶代だ
もう一分は店の者への祝儀だ 持ってきな

酒を飲み明かして寝ては起きの日々が過ぎて、ちょうど6日目

おかみさんは勘定のことを心配し始め
主は仕方なく勘定をもらいに行く

甚五郎:
自慢じゃないが逆さに振っても一文もない
お前の家に竹やぶはあるか?

裏庭の竹やぶの中から竹を一本切り落とし
その日は酒を一滴も飲まず、コツコツと仕事を始め
出来上がったのは例の竹の水仙

甚五郎:
これを水に挿して「売り物」と札を付けて出しておけ
誰か必ず買うに違いないから


夕刻 熊本の45万石 細川の行列が通る 江戸に御参勤の途中
大松屋の店の前を通った時、殿様が店先にある竹の水仙を見て
殿様:あれを買い求め、本陣に持参いたせ

家来が買うと言い、驚く主
甚五郎に言うと「相手は細川様だから50両でいい」と言う

「高過ぎてお手打ちになってしまう!」と主は恐る恐る値段を言う

家来:あのようなものを50両とはけしからん
と怒って殿様に告げると

殿様:たかだか50両のものを買わないとは何事だ と怒り、竹の水仙は買われる

甚五郎:
買ってくれてよかった
俺は江戸に行くまでの金があればいいんだから、50両のうち3両だけあればいい
後はお前がとっておけ

おかみさん:
あのお客に1年ぐらい泊まってもらって、毎日竹の水仙を作ってもらったら儲かるね(w

甚五郎は江戸に着き、ようやく大黒様を彫りにかかる


大黒様を彫る話じゃないんだ
以前聞いた飛ぶ鳥を描いた画家の話に似ていた


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