メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

絵本『とおいとおい北の国のちいさなほら話』 ピーター・シス/作 BL出版 2000.2

2021-12-19 14:35:41 | 
「作家別」カテゴリー内に追加します


ピーター・シス その他の著書
『星の使者』 徳間書店 コールデコット賞受賞
『夢を追いかけろ』 ほるぷ出版 など


ここでは「極北」と書かれているけれども
北極といえば私の大好きな写真家・星野道夫さんを思い浮かべる

本書は絵が素晴らしいのはもちろん
冒険家ヤン・ヴェルズルの物語がとても魅力的で引き込まれる

シスの生まれ故郷チェコスロバキアと
ヴェルズルの生地はそう遠くない場所とのこと

エスキモーやカリブーが出てきたり
不思議な神話の世界も描かれる


「まえがき」に
この本の絵はカラーインクと水彩絵の具
アクリル絵の具、ゴム印を用いて描いた、とあり

前回、スタンプじゃないかな?と思っていたのは当たっていた

いろんな動物をリアルに彫っていて
手描きと変わらない絵でびっくり
中でもシベリアンハスキーがペタペタ押されているのがとても可愛い!






この本を作るために兄、妻、父の助力があり
娘マドレーヌが励ますために
遅れることなくこの世に生まれてきたことにも
感謝の気持ちが述べられている



【内容抜粋メモ】

「プロローグ」
ヴェルズルはシベリア鉄道の敷設工事で働いたお金で馬と荷車を買い
地図を持たずに旅をして
ベーリング海とセントローレンス島に到達



「エピローグ」
ヴェルズルは極北で30年間過ごし
アラスカ、北カナダ、シベリアを旅した


名もない錠前師だったが
名高い漁師になり、商人になり、裁判長にまでなったと書いている

エスキモーから多くのことを学び
ゴールドラッシュと毛皮取引でやってきたよそ者の収奪から守った

エスキモーの友人と一緒に貿易会社を始め
毛皮をどっさり積んでサンフランシスコに向けて出航したが沈没してしまう

怪しげな英語と身分証明書がなかったことで
母国モラヴィアに強制送還される
そこはチェコスロバキアの領地になっていた

彼は再び何年もかけて極北へ帰るためのお金を蓄える
ヨーロッパで彼の波乱万丈の物語を聞きたがる人々がいて何冊か本を書き
『黄金の北国で暮らした30年』という本を私は愛読した

「彼はミュンヒハウゼン男爵(ほらふき男爵)」のようなものだという人もいるし
「実在も疑わしい」という意見もある

私は自分の記憶にあるヴェルズルの回想録に基づいてこの絵本を書いた

幼い頃の私が彼の冒険のどこに魅力を感じたか
それは人生の好奇心、勇気、気高さ、極北への愛

ドーソンにヴェルズルの亡くなった日付1951年が刻まれた墓石がある
生まれたのはモラヴィアの1868年



【ストーリー】




私はまだ若かったが何もかもがつまらなかった
どこかにきっともっと違う暮らしがあるはずだ
それを探しに行けばいいんだ!


馬と荷車などを準備して旅立った






いよいよ北の国に入り
3年も一緒に旅をした馬と別れる時はとても悲しかった
凍りついたベーリング海の上をトナカイのそりで走った






運良く素晴らしい洞穴を見つけて
ダイナマイトでさらに広い穴を開けて
そこに暖炉やベッドを作って暮らし始めるが
獲物をとるのは至難の技






吹雪がなぜか猫の顔のように描かれているのはなぜだろう?






ある日、金色に光る塊が見えて
金かもしれないと近寄ると、全部ピタッと張り付いてしまう
これは磁石岩だと気づくが張り付いて眠くなってくる







気づくとエスキモーに救われてカヤックに乗せられ
地面に掘った穴を通って地下のすみかに運んでもらう
(この原画も展覧会で観た






息を吹き返すまでの間
耳元で物語が囁くように歌われる






物語:
1本の草は他の草が刈り取られるのを見て
自分も危ないと思い薬草になる

薬草も摘み取られるのを見て木の実になる

木の実がネズミに食べられるのを見てネズミになる

ネズミはテンに追いかけられたのでテンになる

テンはキツネに狙われたのでキツネになる







キツネはオオカミに狙われていてオオカミになる

オオカミはワシに捕まりそうになりワシになる

1本の矢が飛んできて
人間の狩人になりたいと思い人間の男になる

草で服を作り、薬草や木の実を食べて
カリブー、アザラシ、クジラ、クマとも戦ったが
冬の寒さには敵わなかった

毎日が危険との戦いだった
それは全ての生き物にとって同じだということをようやく悟った


(長い長い物語が1匹のヘビのように描かれているのかすごい面白い



エスキモーの人達は心からもてなしてくれる
この巨大な骨はクジラだな






彼らは知っていることをすべて教えてくれて
厳しい寒さの中での暮らしを少しずつ覚えていく






そのお礼に自分の知識も教える
彼らは春は北極鳥という魔法の鳥が運んでくると信じていたが
自然の仕組みを説明する
(鳥が運んでくれるほうがいいな








(こうして西洋化したために、若者の自殺率、アルコール依存症が増えたと
 星野さんも危惧していたな



エスキモーは周りの自然と本当に仲良く暮らしている
だが彼らは知らない人間を簡単に信用してしまう
(それは美徳だ


ある日、エスキモーの土地から金が出るというニュースが広がる
よそ者は銃と酒を持ち込んできっと揉め事を起こすに違いない













そうだ
連中にあの金色の塊のありかを教えてやろう








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