メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

シャーロック=ホームズ全集1 『緋色の研究』 コナン=ドイル/著 偕成社

2021-06-04 14:51:38 | 
各務三郎/訳 市川英夫&プラスB/装丁 G.ハッチンスンほか/挿絵

「ジュヴェナイル」カテゴリー内に追加します


ホームズの長編4作はこれで全部読み切った
これが最初に書かれた作品とは思えないほど
もう完璧に完成されている

ワトソンは大学で化学実験に没頭する“変人”を知人を介して紹介され
2人がベーカー街で同居する経緯が分かって貴重v

ワトソンはホームズが事件を解決する方法を
逐一冷静に観察し、分析し、尊敬に変わる
他の登場人物よりとても物分かりのよいワトソン氏にも好感が持てる

この次に書かれた作品内でホームズは今作について
ちょっと恋愛話になりすぎていると言った意味もよく分かった

今作も前半は事件のあらまし(冒頭の時点でホームズはもう謎を解いている/驚
後半は事件の背景が描かれ、2本の小説のような構成

モルモン教徒の成り立ち、宗教団体の暗い裏歴史まで描かれていて興味深い

どんな犯罪者であっても、相手が降伏して抵抗しなければ
その言葉を信じて意思を重んじるホームズの精神も素晴らしい

どんどんホームズの世界にのめりこみ
他の短編も長編とどう違うのか時系列に読んでみたい



【内容抜粋メモ】(ネタバレ注意





第1部 元陸軍軍医ジョン=H=ワトソン医学博士の回想録

●シャーロック=ホームズ氏
1878年、ワトソンはロンドン大学で医学博士の学位をとり
すぐ軍医補として連隊に配属され
着任前に第二次アフガン戦争が起きた

そこは不運と災難だけだった
マイワンドの激戦で肩の骨を撃ち砕かれ
陸軍本部病院に移り、腸チフスにかかり生死をさまよう

(他の本には足に怪我を負ったとある
 有名な作家にも勘違いがあるんだな/驚

9か月の静養休暇をもらって帰国し、友も親類もなく
ふらふらとロンドンに来た

金を使い果たして、ホテルを出て、安い下宿を探していると
病院で助手をしていた青年スタンフォードがホームズを紹介する

シャーロック・ホームズという男で
病院の化学実験室にいて割り勘で共同生活する相手を探している
何を研究しているかサッパリ分からないがその道では一流らしい

体が騒音に耐えられないから静かな人のほうが助かると言い
2人で会いに行く

ワトソンを見るなり、アフガニスタンから帰ったことを言い当てて驚かす
水に溶かすと血痕テストが出来る実験に成功して興奮している

ホームズ:
これがあれば、大手を振って歩いている男たちを有罪に出来る
これまでは血痕か果物の汁かも証明出来なかった

スタンフォード:まるで犯罪の生き字引みたいだ

ホームズ:
共同生活を始める前にお互いの欠点を知っておくほうがいい
私は時々ふさぎこんで何日も口をきかないことがあるが
腹をたてているのではなく、放っておけば元に戻る
時々、バイオリンを弾く

ワトソン:私はブルドッグの子犬を飼っている
(初耳! それきり出てこないよね?

帰り道、「人間は人間を研究することが大切だ」
という詩人のポープの言葉を引用するワトソン


●推理学
ホームズと2人でベーカー街に行き、その場で契約し、すぐ住み始める
ホームズの奇妙な行動に惹かれていくワトソン

機敏で決断力のある顔立ち
学者になるための研究でもないのにとても熱心で
観察力にもただただ感心する

逆に現代文学、哲学、政治などにほぼ無知
地動説も知らないってそれは言い過ぎでしょう!

ホームズ:
人間の頭脳は小さな屋根裏部屋で
バカな人はがらくたをどんどん詰め込んで
役立つ知識がはみ出る

腕の良い職人は仕事に必要な道具しか持たず
どこに何をしまったか見極める

ワトソンはホームズの「学識表」までこしらえる

バイオリンでメンデルスゾーンも弾くがほぼ即興の独奏
その時の彼の思いが反映している

貧富の差関係なくたくさんの知人がいて
レストレードという小男はしょっちゅう訪ねて来る
居間を仕事に使っている

新聞記事に丸がしてある所を読むと
かすかな表情から心の奥まで読み取れると書いてある

「人生は1本の鎖 その中の1つの環を見れば、人生の本質が分かる
 推理と分析の科学の道を究めるには人生は短すぎる
 人に会えば、すぐその経歴・職業を見分けられるまで訓練を積む」

くだらないと言うと、ホームズが書いたという(w

ホームズ:
僕には推理の才能がある
世界中で顧問探偵なんて変わった職業なのは僕だけだろう

レストレードは有名な刑事
ここに来るのは民間の興信所の紹介で来た人たち
話を聞いて、解決の糸口を言い礼金を頂く

ワトソン:部屋から一歩も出ないで?

ホームズ:観察は僕の第二の天性さ

ホームズはワトソンが好きなエドガー・アラン・ポーのデュパン探偵や
ガボリオのルコック刑事は劣っていると言い、自惚れ屋だと思うワトソン

メッセンジャーが来て、退役した海兵隊兵曹だと当ててみせ
また驚くワトソン


●ローリストン・ガーデンズの怪事件
彼が持って来た手紙には

ブリクストン街で紳士の死体が発見され
被害者はクリーブランドのイーノック・J・ドレッバー
死体には傷がない とある

グレグスンはロンドン警視庁でもトップクラスの刑事で
レストレード刑事と手柄を始終取り合っている

ヒマなワトソンを連れて現場に行くホームズ
現場の前から歩いて地面など徹底的に観察する

死体の顔には激しい死と恐怖の色が浮かび
血だまりがあるのに死体に損傷がなく、盗まれたものもない

女性の結婚指輪が落ちていて、フリーメーソンの紋章入り
真っ赤な血文字で「RACHE」と壁に書いてある

レイチェルと書こうとしたんだ
と決めつけて得意げになるレストレード刑事

ホームズは巻き尺と拡大鏡で部屋中をくまなく調査する間
ずっと口を動かしている

ホームズ:
天才とは、どんな苦労にも耐える能力を言うのだそうだ
探偵にピッタリの言葉だ

犯人は男 中年で背が高く、被害者と四輪馬車で来た
毒殺です

RACHEとはドイツ語で「復讐」の意味


●ジョン=ランスの証言
驚くばかりのワトソンは推理方法を聞く

ホームズ:
人は壁に書く時、無意識に目の高さに書く
歩幅を測れば背の高さは計算できる
灰を見れば、どのタバコか分かる
血文字は捜査を攪乱させるため

ワトソン:君は探偵の仕事を世界で初めて物理学みたいな精密科学に近づけた

ホームズは仕事ぶりを褒められると
美しさを褒められた女性のように顔を赤らめる
(カワイイ・・・

第一発見者の巡査に金貨を見せて出来事を残らず聞き出す

空き家に明かりがあり不審に思い
呼子を吹いて、マーチャー刑事が駆けつけてくれた

部屋中を歩き回ったことをホームズに指摘されて驚く巡査

背が高く、赤ら顔というホームズの言う特徴と同じ男が
泥酔していたが、事件に忙しく無視した

ホームズ:
君は警察での出世はムリだ
その男こそ事件をカギを握る人物だ

指輪のために戻ったんだ
今回のことを「緋色の研究」というのはどうだろう


●広告を見てきた客
ドレッバーは悪徳が人間になった顔をしていたが
被害者が人間の屑だからといっても正義は行われるべきだ

死体の口元を嗅いで毒殺と推理したホームズに感心するワトソン

ホームズ:
ダーウィンは音楽について
人間は言葉を話すはるか前に音楽を作り楽しんでいたと言った


死体を思い出して顔色の悪いワトソンに
ホームズ:恐怖は想像力のために起きる(なるほど

新聞の「遺失物拾得欄」に
指輪を拾ったから返したいと広告を出したため
男が来る前にワトソンに銃を用意させる

アメリカからの電報の返事が来て、ほぼ謎は解決したと豪語するが
現れたのは、足の悪い老婆でガッカリする
ソーヤーと名乗り、娘サリーの指輪で住所はダンカン街





共犯者に違いないと、指輪を渡して
馬車に乗った老婆の後を尾けるホームズ

馬車の後ろにしがみついたのに
ダンカン街に着くと、座席はもぬけの殻
その辺にソーヤーなどいないと分かる

老婆は運動神経のいい男の変装!


●トバイアス=グレグスンの捜査
新聞には政治的亡命者の犯行などといろいろ書きたててある

アメリカ紳士は数週間前からロンドンにいて
秘書のジョーゼフ・スタンガスン氏とともに
シャルパンティエ夫人の下宿に泊まっていた

リバプール行きの急行に乗る予定だった
スタンガスンの行方も不明

ホームズ:「バカにも、尊敬してくれる大バカがついている」とフラン人が言っている(w

ベーカー街探偵団がどやどやと入って来る
リーダーのウィギンスからは何も報告なし

ホームズ:12人の警官より、あの子たち1人のほうがずっと役に立つ

グレグスンは犯人のアーサー・シャルパンティエを逮捕したと歓喜の報告をする
現場に落ちていた帽子からドレッバーの住所を突き止め
シャルパンティエ夫人から話を聞いた

ドレッバーは娘のアリスに言い寄り
妹思いの兄アーサーとケンカになった後に事件が起きたが
決して息子の犯行ではないと言い切る

次はレストレードが来て、スタンガスンが今朝
ハリデーホテルで殺されたと報告する


●暗闇に光がさした
スタンガスンは主人を2日も待っていたが
行くとドアから血が流れ出していて
内から鍵がかかっていた
壁には「RACHE」の血文字

犯人は窓から入り、胸をナイフで刺殺した模様
牛乳配達夫が男を目撃し、背が高い赤ら顔の男

窓敷居の上に丸薬が2粒入った薬箱があった

ホームズ:これで全部繋がった 事件の謎は解けたよ

丸薬の1つを割って、水に溶かし、毒薬かどうか実験するため
下宿のおかみさんの死にそうなテリアを安楽死させるって・・・/汗

丸薬の1つは猛毒、もう1つは無毒と分かる

ホームズ:平凡に見える犯罪が一番厄介なことはよくある

ワトソン:逮捕が遅れると、次の犯行の時間を与えることになる

ホームズ:
もう殺人はしないだろう
少しでも怪しまれたら名前を変えて
都会の400万人にまぎれこむだろう

ウィギンスが来て、ホームズは旧式の手錠を取り出す
旅行かばんを持ち出し、帯皮に金具をつけたいと御者に頼み
その手に手錠をかけ

ホームズ:
ジェファースン・ホープ氏を紹介します
彼はドレッバー、スタンガスン殺しの犯人です

その後、男は超人的な抵抗を見せるが
とうとう彼の馬車で警視庁に連行される






第二部 聖者の国

●アルカリ大平原
誰も住みつかない、北アメリカの砂漠地帯
キャラバンのルートで悲惨な死を遂げた骨が数キロに渡る

鬼神か悪魔そっくりの男は飢えと渇きで死にかけている
荷物の中から可愛い少女が出てくる
3日も飲まず食わず

男:
川から離れて迷ってしまった
はじめにベンダーさんが死んで
インディアンのピート、お前の母さんも死んだ

少女:
私もおじさんも死ぬのね
母さんは天国の門で待っててくれるわ
おじさんがとても親切にしてくれたって言えば
大きな水さしと、あつあつの蕎麦ケーキをくれると思うわ

奇妙な組み合わせの2人は天に心から祈りを捧げ
そのまま疲労のために眠り込む

そこに西部に向かう大幌馬車隊が通りかかる
なにかの事情で住んでいた土地から追い出され
新天地を目指していた

目のいい若い男がピンク色の布を見つけて山の頂上まで行き
いかつい男と少女を見つけて驚く

男:
私はジョン・フェリア
仲間は21人いたが、飢えと渇きで死に
残ったのは2人だけ
この子は我が子同様
今日からルーシー・フェリアだ

若い男:
我々は迫害された神の子
天使メロナに選ばれた民です
エジプト文字で書かれた文字を信じています
神を信じない人から逃れて安らぎの地を求めています
指導者はブリガム・ヤング
聖ジョーゼフ・スミスの神の声がおっしゃったのです

そのモルモン教徒はリーダーの予言者スタンガスン長老に会わせる
スタンガスン:お前たちが信者になるならついて来るがいい


●ユタの花
彼らはミシシッピ川からロッキー山脈まで不屈の精神で進んだ
野蛮人、野獣、飢え、渇き、疲労、伝染病・・・

そしてユタの谷間が約束の地と定めた

ヤングはそれぞれ地位に応じて土地を分け
森を切り開き、小麦を育て
町の中心に神を讃える寺院を建てた

4人の長老スタンガスン、ケンボール、ジョンストン、ドレッバー

ジョンは高く評価され、12年後にはソルトレークシティーで指折りの富豪となる

モルモン教徒はハレムを作り、息子らと暮らしたが
ジョンはしきたりに従わず、結婚しなかった

ルーシーはここら辺でもっとも美しい娘に成長した
少女から女への変化は緩やかなため
自身も誰かに触れられるまで気づかない

カリフォルニアで金が発見された

ルーシーは牛の大群に囲まれ、落馬しそうになった時
野生的な顔だちのジェファースン・ホープに助けられた
(またこの絵では一番の美人には見えないところが残念





ジェファースンは銀鉱を探してネバダ山脈を歩き回っていたが
激しい恋に落ちた

すぐにジョンにも気に入られ
出発前に2か月したら結婚する約束を交わす


●ジョン=フェリアと予言者の話しあい
フェリアは娘とモルモン教徒を絶対結婚させないと固く決めていた
当時、それは異端者とみなされ、身の危険さえ生じた

かつて迫害されていた者が、今は極めて恐ろしい迫害者になっていた
教会に反対した者は行方不明になり永久に帰らない

成人女性の数が減り、一夫多妻制が難しくなり
集落が襲われ、移民が殺される噂がたつ

長老たちの女部屋に新しい女が現れた
宗教の名を借りて、血の暴力をふるった者は明るみに出ない
誰もが隣人を疑い、考えを口に出さなくなった(『恐怖の谷』みたい

ヤング:
ルーシーが異教徒と婚約したのは大罪だ
我々長老には多くの牝牛(妻!)がいる
息子たちにも与えなければならない

スタンガスンとドレッバーには息子がいる
2人のうち1人を選ばせるのだ
1か月待とう

話を聞いていたルーシーは慄く

ジョン:
ジェファースンはクリスチャンでいい若者だ
明日、ネバダに行く一隊に手紙を渡せばすぐ来てくれる
ユタを脱出するんだ
わしは自由なアメリカ人でこんな生活には馴染めない



●命がけの脱出
フェリアはジェファースンに身の危険が迫っているという手紙を出す
屋敷に戻るとドレッバーとスタンガスンの息子2人が我が物顔で居間にいる

父親に求婚してこいと言われて来た
それぞれ数人の妻がいるが

どちらがより金持ちかでライバル争いの種に
ルーシーを取り合い、出て行くよう言うフェリアに
「天罰を食らえ!」と怒鳴る

これほど公然と長老の権威に逆らった者はいない
地位も財産もある者が何人も行方不明になり
その財産は教会に没収された

翌日からあらゆる所に気づかないうちに
長老が言った1か月のカウントダウンの文字を見て震えあがる親子

数字が2になった時、ドアから腹ばいになってジェファースンが入って来る

ジェファースン:
この家には見張りがいる
今夜出ないとおしまいです

3人は金と食糧を持って窓から出る
大平原で育ったジェファースンの耳はヤマネコのように鋭い

近くでフクロウの鳴きまねがして、合言葉が交わされるのを聞く

険しい2つの峰を越える3人
片側は絶壁で、もう一方も落石がある

その頂上にも監視がいて、さっき聞いた合言葉で
長老会の許可を得てネバダに行くとウソをついて突破する


●復讐の天使
3人は夜通し山道を急ぐ

2日目の昼頃、食料がなくなりかけ
猟師のジェファースンは野生のヒツジを狩るのに夢中になり迷子になる

5時間ほど経ち、ようやく2人の元に戻ると
地面にたくさんの追っ手の馬の足跡があり
フェリアの墓がたてられ、ルーシーは連れ去られた

残る人生を復讐に使うと誓い、イーグル峡谷まで戻る
知人のモルモン教徒クーパーに出会う

クーパー:
親子の逃亡を助けた疑いで長老会から手配されている
ルーシーは昨日、ドレッバーの息子と結婚した

ルーシーはその後衰弱し、1か月も経たずに死んだ
ドレッバーはフェリアの財産目当てだったため気にもしない

葬式にぼろぼろになったジェファースンが飛び込み
ルーシーの指から結婚指輪を外した

山狩りをしたが捕まらず、彼らは用心深くなった
ジェファースンは山で野垂れ死ぬ前に鉱山に戻り
金を作り、計画を練った

ソルトレークシティーでは若い教徒が権威に反逆し
その中にドレッバーとスタンガスンもいたが行方不明になる

ジェファースンは町から町へと探し
敵がオハイオ州に行けば追い、ヨーロッパへも追い
ロンドンでやっと追い詰めることができた


●ジョン=ワトソン博士の回想録のつづき
ワトソンが医者であると知り、大動脈瘤であると教えるジェファースン

ジェファースン:
自分はいつ死んでもいい
奴らの犯罪は昔のことで有罪には出来ない
だからわしが死刑執行人の役目を果たした
指輪を突きつけて思い知らせた

馬を操るのは得意だから辻馬車で雇ってもらった
キャンバウェルの下宿に2人がいるのを見つけ
リバプール行きの列車に乗ると分かった
ドレッバーが用事でスタンガスンと別れた時がチャンスだった

下宿から2人の男が出て来てケンカが始まった
わしの馬車に乗り、ハリデーホテルまでと言ったが
途中で酒場に停まった

アメリカで教授が毒物学の講義をしたのを聞き
アルカロイドを水に溶ける丸薬にした
無毒のも作り箱に入れた

フェリア老人と愛しいルーシーが微笑みながら導いてくれた
泥酔したドレッバーを空き家に連れて行き
わしの顔を見て誰か分かりガタガタ震えた

「きさまは父親を殺し、恋人をハレムにおしこめた
 神の裁きを受けるがいい
 どちらかを飲め 俺は残ったほうを飲む」

奴は死んだ
NYでドイツ人が殺された事件にならって「RACHE」と書いた

馬車を走らせると指輪がないことに気づいた
戻ると警官と出くわし、酔っ払いのふりをした

スタンガスンはホテルから一歩も出なかったため窓から入った
途端につかみかかって来たため、心臓をナイフで刺した

アメリカに戻るため、御者をしていたら
汚い子どもが来て、ベーカー街の旦那がお呼びだと言う
来たら、その人に手錠をかけられた

ホームズは指輪を取りに来た者が誰か聞くと
他の人には迷惑はかけないと話さない


●事件の終わり
判事に呼び出しを受けたが、ワトソンとホームズは証言しなかった
ジェファースンは逮捕された夜、動脈瘤が破裂して死んでいるのが発見された
その顔にはやり終えた仕事を思い起こすような安らかな微笑が浮かんでいた

ホームズ:
世間では、どれだけの仕事をしたかは問題にならない
問題はどれだけの仕事をしたと、世間に信じ込ませることさ


単純な事件だったが、素晴らしい教訓がいくつもあった
総合的推理のできる人と分析的推理のできる人の割合は50対1だ

ロンドンの辻馬車はブルーム型自家用馬車より幅が狭い
足跡も1つ1つが意味をもって見える

毒物を強制的に飲ませる犯行は犯罪史では珍しくない

殺人の動機は強盗ではない
女性がらみで、計画的な復讐だ

ドレッバーの結婚について調べた返事は決定的だった
そして、ロンドンで誰かを尾行するには御者が一番いい

浮浪児探偵団を使い、ロンドン中の辻馬車を調べさせ
目指す男を探し出した

ワトソン:
君の功績を広く世間に知らせるべきだ
君にその気がないなら、私が代わりにやるよ


ホームズ:好きにしたまえ

その日の新聞には
わが国の警察が優秀であると証明された
素人探偵もいくらか役に立った、と書いてある



シャーロック=ホームズを推理する




ロンドンのベーカー街を訪ねる旅行者は絶えず
その日だけでもう12回も説明した受付のアルフレッド

ホームズが実在の人物だとか
今も探偵として活躍中と信じている人が世界中に大勢いる


ホームズ宛ての手紙の返事には
「ホームズ氏はここから転出し、今どこにいるかは不明です」と書いてある

ホームズ物語に嫌気がさしたドイルは、1893年『最後の事件』を書いた
モリアーティ教授と組み合い滝に墜落して行方不明になった

喪章をつけてロンドンを歩く紳士まで出て
世界中で「ホームズを殺すな」運動が起きた

『あしたのジョー』で力石が死んだ時
ファンが葬式をしたのを思い出した

ホームズは『空屋の冒険』で復活する

ホームズ最後の物語は1927年『ショスコム荘』

ドイルは晩年、ホームズはサセックスの田舎で
ミツバチを飼いながら余生を楽しんでいると書いた


その時は「家政婦になりたい」という手紙や
養蜂家の忠告の手紙がどっさり届いたという


「シャーロキアン」
ホームズマニアを「ホームジアン」「シャーロキアン」と呼ぶ

「ベーカー・ストリート・イレギュラーズ」
江戸川乱歩の明智探偵の手足となる少年たちは
ベーカー街特捜隊のマネをしている

会員は、会合の時はドイルの名を出さない
ホームズを実在の人物と信じるフリをするから

『ベーカー・ストリート・ジャーナル』という会報も出版している
ドイルの勘違いで、ワトソンが戦争で受けた傷の位置が違っているとか
ホームズはコカイン中毒ではないと弁護する人もいる

アメリカの各都市にも支部ができた
「バスカビル家の犬」支部などの名前がついている

世界各国にクラブがあり
ロンドンにも「シャーロック=ホームズ協会」がある
ドイルも会員















1968年、ホームズの格好をした40人ほどが
スイス行きの飛行機に乗り、『最後の事件』を再現した





チャンドラーのマーロウ探偵の足跡をたどるツアーもある
ハメットのスペード探偵の足跡を案内する人もいる


「日本のホームズ狂たち」
1975年、小林司、東山あかね氏により設立



作品解説
名探偵の代名詞となったホームズが初めて登場する本作は
ビートン誌に発表され、翌年、単行本になったが大した評判にならなかった

成功したのはシドニー・バジェットの挿絵入りで掲載された
『ボヘミアの醜聞』からと言われる


モルモン教主プリガム・ヤングが迫害を逃れ
大幌馬車隊を編成してユタに着き、ユタの歴史が始まる


モルモン教はキリスト教の一派で、ジョーゼフ・スミスがおこしたもの
天使モロニの導きにより、金の碑文を発見
エジプト語文字を解読し、経典として出版した

4世紀の予言者モルモンと、息子モロニが文書を要約したもので
ユダヤ教、キリスト教の聖書と並ぶ権威を持つ

この宗派は発足当初から迫害され
スミスと弟ハイアラムは暴徒により射殺された

ライス牧師「この地に来た一行は男143人、女3人、子ども2人とあるのが興味深い」


ユタ定住の1年前には、ドナー峠の悲劇が起きている
開拓者が山中で餓死した事件
生き残りは死んだ人の肉を食べて助かった

太古、関東平野より広いその地域は塩湖であり
塩の砂漠となった

グレート・ソルトレークは塩分が高く、人の体が浮く













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