メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

絵本『さあ、羽をあげるよ』 ジャック・タラヴァン/文 ピーター・シス/絵 BL出版

2021-12-03 13:32:33 | 
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2003年初版

ジャック・タラバン
フランスの元外交官
息子ジャン・マリアンの6歳の誕生祝いにこの物語を書いた
後に息子のブルーノが書き直して「ル・モンド」に発表した 1991年没



こんなに生き生きとした物語を書いた人が
もうこの世にはいないことが不思議

とても宗教的な物語
鳥や虫に羽があるのは、男の子からのプレゼントって発想は面白い

やわらかい点描画で色使いも暖色系でまとめている


【内容抜粋メモ】




昔、神様がこの世をお作りになったばかりの頃のお話
どこか遠い国から一人の小さな男の子がやってきた
いつもこんな歌を歌っていた

羽が欲しけりゃこっちにおいで
綺麗な羽をあげるから
空をすいすい飛べるから




男の子はいつも背中に籠を背負っていて
サンタクロースの袋と同じで
決して空っぽにはなりません

中にはいろんな種類の羽が入っていて
ツバメ、トンボなど
男の子は羽根を欲しがるものには誰にでも喜んで羽をつけてあげた





みんなお礼の気持ちを表そうとして
コウノトリは男の子を背中に乗せて空の旅に出かける
てんとう虫は鼻先にちょこんととまって笑わせる






こうして鳥たちはみんな羽根を身につけるようになったのです


古くて使われなくなった風車の近くに来ると

「この中でしばらく休んでもいいわよ
 私も寂しくなくて嬉しいもの」





次の朝、男の子は親切な風車にお礼として
赤、黄、水色、緑色のきれいな羽をプレゼントすると
風車が回っているのを見た粉屋は大喜びで小麦を抱えてやってくる






やがて疲れた男の子は樫の木の根元で眠り込んでしまう





その夜突然嵐がやってきて
まるで悔しくてたまらなかったように
羽を全部海の中へばら撒いてしまう


次の朝、男の子が目を覚まして
カゴがないことに気づいて
心が張り裂けそうに泣きながらさまよう

原っぱの黒い毛虫がそれを見て心を痛めて慰める

「なくしてしまった羽のことは忘れなさい
 それよりあなたがみんなにあげた羽のことを思い出すべきだわ
 私は醜いけど泣いたりなんかしない」


「ああ、君に羽をあげたかったなあ」


話を全部聞いていたひなげしが

「私の花びらを摘み取りなさい
 毛虫さんにぴったりの羽になるはずよ」

毛虫の背中にくっつけると
どの鳥にも負けないくらい美しい姿となって空中を舞った






その夜男の子は小川の辺で深い眠りについた
どんなことをしても目を覚ますことは二度とありませんでした






カササギが偶然男の子のポケットから
鳩の羽を2枚見つけて背中につけてあげると
空の彼方へ昇っていったのです

その姿を見て神様は天使をお作りになることを思いついたのでした








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