穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

ミステリーの文体(承前)

2009-04-24 14:04:06 | ミステリー書評

英文並みにコンパクトに書くには、地の文は漢語調で、会話は江戸御家人風にすればいい。答えは簡単なのだが実際的かどうかとなると非現実的といわざるを得ない。

どうしてもウエット、冗長にならざるを得ない。江戸御家人言葉をどこで採取するかという問題がある。わたしは静岡県の一部に絶滅寸前の江戸貧乏御家人の言葉が残っているとめぼしをつけている。

まちがっても現在の落語家のかたりを参考にしてはいけない。あれはもっとも汚らしい在の百姓言葉である。

明治維新で瓦解土崩した幕府武士団が静岡県に移送されたわけだが、そこに居つき帰農した一部に伝承されている可能性がある。

地の文に使うジャパナイズされた漢語については古いところでは成島柳北の戯文、狂文を参考にしたらよかろう。新しいところでは永井荷風だな、断腸亭日乗などがよろしかろう。