このブログの書評の一つは感傷的再読論であることは再三述べた。私が再読するものは限られているから、あらかた出尽くした。
そこで書評のメタ評論的なものを試みてみよう。私の再読の対象になるのは、顧みると、二種類あるようだ。
一つ目は歯ごたえのあるもの、あるいは腹持ちのいいものとでもいうか、要するに迫力のあるもの、力のあるものである。
二つ目はのど越しのいいもの、言い換えればうなるような名文であること。
これを要するにビフテキと銘酒ということになろう。
言い忘れた、もう一つジャンルとして旬のものであることである。小説というジャンルではそういう時期は非常に限定されており、明確である、私にとっては。
具体的に言うと、イギリスでは18世紀、19世紀の小説、フランスでは19世紀の小説、ロシアでも19世紀の小説、アメリカでは19世紀後半から20世紀前半のものということになる。
日本では?? 難しいね、ま、いずれにせよ小説という言葉が出来たのが明治だからそれ以降となる。平成は除きたいね。安心して推薦できるのは永井荷風だけだが。