前回予告通り創元文庫「帽子蒐集狂事件」を読んだ。結論から言うと駄作である。江戸川乱歩「黄金時代のベストテン7位」、戸川安宣氏ご推薦(激賞かな。最近のコピーでいうと)
小説なんだから、エンタメといえども文章が一応水準でないといけない。この要件を満たしていない。これが翻訳のせいか、原著の責任かは不明である。
間違いなく翻訳は原文に忠実に訳しているかどうかに関わらずペケである。これは近頃流行る新訳らしい。50年以上前に別の訳者で出ていたらしい。その訳がどうだったかは論評できない。今回の新訳は2011年のものである。
1頁からpage turnerとしての魅力なし。結末の語り(告白)に盛り上げる所まったくなし。比喩には笑えるものおおし(悪い意味で)。つまり、これは何なの、という処おおし。
巻末に戸川安宣氏の解説あり。これが並の書評屋かと思いしが、創元社の社長まで勤め上げた人という。旧訳に比べて認識を一変したというが、何のことだが。どうかわったか、あるいは改善されたか全く説明なし。