穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

著者贅言、ビギナーズラックということ

2018-04-19 09:07:09 | 新屋敷第六氏の生活と意見

 ビギナースラックというのは癖になる。第六は一時占い本を読んだ。といっても書店で売っているような本だ。それが吉方、凶方を和暦で算出するものなのだ。われらが主人公は時々原因不明の突発的な発作に襲われた。朝起きたら金縛りにあったように起きられないとか。もちろんに、二、三日後に医者に行く。なにしろ身動きできないからそうなるのだが、いつでも原因が不明なのである。

  書店でぶらぶらと昼休みを過ごしているときに目についた本なのである。その時、第六はハッと気が付いた。発作が起こるのは必ず旅行中なのである。すると、と俄かに興味を覚えてその本を買い、家でやってみた。そうしたら、金縛りの一回はドンピシャだった。大凶方だったのだ。初めて馬券を買って大穴を充てた時にはああいう気持ちになるだろうな。

  ところが後がいけない。大当たりは一回だけなのだ。あとは日にちを正確に覚えていないということもあるが全然当たらない。大吉方なんてこともある。医者に行ってもわからない。占いでも当たらない。科学でもオカルトでもわからない。じゃあ何なんだ。第六はライプニッツの充足理由率の信奉者である。理由があるはずなのに分からない。