穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

明日の競馬は馬丁組合のストにより中止

2016-06-24 08:09:06 | 宮本輝

宮本輝「優駿」の良い所、悪い所 

現在上巻の終わり当たりです。進行形書評を。

競馬サークル(生産者、馬主、調教師、騎手、馬丁<差別用語かな>、競馬記者)を描いたところはいい。あたしがアウトサイダーだから真偽は判定出来ないが、いかにもありそうに書いてある。面白く読める。

一方興ざめなのが青少年婦女子を描いた部分である。恋愛とか色事のところですね。著者はあまり得意とは思えない。描写に艶がない。

それに比べて、競馬サークルを描いた所はツヤがある。イギリスの騎手あがりのディック・フランシスという推理作家・冒険小説作家がいるが、勿論描いている国が全く違うが、描写にツヤがあると言う点では宮本氏の方が優る。岩波剛さんもドストとの見当違いな比較をするなら、ディック・フランシス作品との比較をすべきだったね。

ポリフォニーというが、それなら青少年を描いたところも水準に達していなければならない。ドストにも妙なところはあるが、力量の差は比較を超えている。

前回、当時の世相を知るために小説を探していたと書いたが、そのころ馬丁から厩務員という言葉に変わったわけだ。正確な年月は不明だが。あたしも競馬をやるが時々長い中断がある。勝(的中)が不自然に続きすぎたときと、負け(外れ)が不自然に続きすぎた時はしばらく馬券を買わないのである。いつかアタシの競馬哲学でも書こうかな。

そんなある中断のあとで久しぶりに競馬を再開したら競馬新聞に厩務員なんて言葉がある。長い間意味が分からなかった。

馬丁は差別用語だというので馬丁組合が騒いだらしい。それでこの「非日本語」に変わったようである。「優駿」に書いてある。馬丁組合は戦闘的で左派勢力が浸透していたらしく昔から何かというとストライキをした。競馬場にいくと「馬丁組合のストライキにより本日の開催は中止」という立て札があったりした。中央競馬でですよ。

昔競馬開催が中止になるのは大雪と馬丁ストに限られていた。大雨の時には中止にならないのだね。大雪だと地面が見えなくなるので、馬がおびえるせいかもしれない。雪だとすべるから? それならどろんこの不良馬場も同じだからね。そうそう、一度新潟だったかな、台風で開催中止になったことがあったっけ。

 続く予定(最後まで読めれば)



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。