大分前に買っておいたのだが、ある日二ページ読み、一月後に五ページ読み、という調子だったのだが、二十ページあたりから一気に九十ページあたりまで読んだ。その後は惰性で進み今のポジションは百四十九ページ。
文春文庫であるが、巻末の縄田一男氏の解説によると平成十四年直木賞受賞作。解説者は馬鹿に入れ込んでいる。九十ページあたりまではなるほど、と感じた。どうせ職業的書評家は三百六十五日どうにもならない駄作の提灯解説をしなければ生計が成り立たないのだろうから、予想外に良質の作品に出合うと、このように感激してしまうのだろう。
しかし百ページあたりからはよくない。登場人物の過去にバックフラッシュしての挿入がやたらと増えるのだが、これがごつごつしていて感心しない。縄田先生は感心しているがね。
ま、百四十九ページまで読んだから最後の399ページまで読むがね。
過去挿入が全体の流れと粘着していない。粘り気の弱いポストイットをところどころ張り付けたようだ。
全般的に唐突な画面変換も気になる。また、会話の主語がハッキリしない所が多い。おそらく作者はわざとやっているのだろうが、成功していない。
九十ページまで読んだ所では、こう書評するつもりだった、エンターテインメントでもせいぜい三百ページまでに収めるべきと考えているが、この筆力なら四百ページまで破たんが無いかもしれない、とね。撤回だ。しかし百五十ページから三百九十九ページまで読み終わった段階で訂正するかもしれない。
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