穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

ドストエフスキーの子役

2009-07-26 16:03:00 | ドストエフスキー書評

ドストエフスキーのキャラの弱年齢化は作者の加齢とともにすすんでいるようだ。

未成年のアルカージー19歳から最終作カラマーゾフでは、脇役ながら14歳コーリャとかリーザとかだ。ドストエフスキーの特徴はどんなに年齢が若くなっても大人言葉をはなすことだ。

コーリャとかリーザのところは相当なスペースを占めるが、読んでいるとドストエフスキーの実験動物(ラット)を見ているようだ。

あるいはホムンクルスを見ているようだ。ホムンクルスとは錬金術に出てくる小人だ。人造小人である(近世魔術における試験管ベービー)。

年をとるほどこういう実験動物を書きたくなるというのは面白い。