穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

S・キング悪霊の島35キロ付近

2010-10-23 18:58:24 | 書評

マラソンでは35キロ付近が勝負どころらしいが、悪霊の島は35キロ付近からのラストスパートに完全に失敗している。下巻の真ん中あたりから細かいつじつま合わせが始まるがこれが退屈きわまりない。

それまでは奔放に乱暴にキングは書き散らかしてきた。それはそれで読めないことはない。そのままの勢いで押し切ればよかったのだが、長年の濫作で筆が枯れたのかな。

最後に開陳すべきは、お化けパーシーがどうしてデュマ島の住民に取りついたかという説明である。細かい日時や過程が矛盾しないように説明するのはいい。うまく面白く説明できればね。

キングが急に細かいつじつま合わせに汲々としているのを見ると笑えてくる。

散々浪費してきた人間が最後になって帳簿の一円二円の帳尻にこだわりだして脂汗を流しているのを見るようで読者の憫笑をかう。

そして終わってみると肝心のパーシーの存在理由がうっちゃらかしで終わっている。

もうすこし続けるかな、どうしよう。小道具のことでも書くか。