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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



第1試合:鹿児島実業対遠野
第2試合:野洲対多々良学園 (国立競技場)

準決勝の第2試合、野洲対多々良学園は、ぼくの今年の生観戦試合のなかでのお気に入りベスト3に入ることだろう。ワールドカップやトヨタカップや、もちろんJリーグの試合も見ることになるだろうが、たぶん、これほどニヤつきながらピッチを眺めることはないと思う。

次のプレーを予測し、いい意味で裏切られる。その繰り返しが、これほど楽しかった試合は、ここ最近あまり記憶にない。

野洲対多々良学園の試合は、どこか大人の雰囲気が漂っていた。第1試合の鹿児島実業の若さあふれる怒涛の攻撃を見た後だけに、余計にそんな感じがしたのかもしれない。

大人びた雰囲気をつくっていたのは、選手個々のひとつひとつのプレーにほかならない。ボールを保持しているときの相手との間合いの取り方、味方とのコンビネーション、ゴールへ迫るときの創造性。

また、この試合を見ていて、なにより感心したのはファールがとても少なかったことだ。ぼくの記憶では、キックオフから13分過ぎまで、ファールを告げるホイッスルは鳴らなかった。その後も、80分間でほんの数えるほどしかファールはなかった。頭脳を使い、体を使い(手は使わずに)、組織的に相手のボールを奪う。両チームともに、攻撃力以上の守備力も備えていた。

野洲の評判は新聞などで読んでいたが、組織的にも個人的にもこれほど巧いとは思わなかった。相手の多々良学園も野洲のトリッキーなサッカーにあわてることなく自分たちのペースで淡々と野洲のゴールを脅かす。両チームとも、もともと似たようなチームカラーなのだろう。だから、ともに自分たちの魅力を発揮できていたのだろう。

1点リードされた多々良学園は、後半終了間際の攻撃で、野洲のゴールに迫りながら、細かくパスをつなぎ過ぎてチャンスをつぶした。そのパスのつなぎは、まるで野洲のプレーに感化されたかのようだった。多々良学園を自分たちのゾーンに引きずり込んだという意味で、この試合の主導権は野洲にあったのかもしれない。

野洲対多々良学園の試合は、攻撃面でも、守備面でも、体だけでなく、頭脳が汗をかく試合だった。そして、何よりもフェアだったことが、おもしろさに花を添えた試合だった。やはり、今年の生観戦試合のベスト3に入るのは間違いないだろう。新年早々こんな楽しい試合をしてくれた両チームに感謝したい。

さて、決勝戦は鹿児島実業対野洲となった。ともに攻撃的なサッカーが持ち味だが、その中身はまったく違う。はたして、どんな試合になるのだろうか。国立競技場に足を運んだ観客が、両チームの魅力を存分に楽しめる試合展開になるよう期待したい。

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