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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



北京五輪ハンドボール競技アジア予選
再試合 女子 日本代表 21対34 韓国代表
2008/1/29 代々木第一体育館

女子の日韓対決は、韓国の圧勝に終わった。日本は韓国のスピードとパワーにまったく歯が立たなかった。アテネ五輪銀メダルの韓国に対して、昨年のアジア選手権で1点差ながらも日本が勝利していたので、もう少し接戦になるかと予想していたのだが……。

大差の要因は、五輪への思いが、韓国はプラスに、日本はマイナスに作用したことにあるのではないか。

韓国の五輪への思いは、まず、積極的な守備に表れた。ゴールエリアの外側から日本選手に圧力をかけ、パスミスやコンビの狂いを誘う。そうしてボールを奪うと、すぐさま速攻を仕掛ける。スピードに欠けるという下馬評を聞いていたので、これもまた予想外だった。

ホームで戦う日本は、五輪への思いがプレッシャーになってしまったのではないか。序盤から韓国にリードされたこともあるのだろう、イージーなパスミスがあまりにも多かった。また、韓国の守備の圧力に屈したかたちで、外側から放つシュートも力なく、また不正確だった。前半、谷口の連続ゴールで波にのるかと思われた場面でも、ミスによって、自ら流れを断ち切ってしまった。

残念ながら、日本はこの大会で北京オリンピックの出場権を獲得することはできなかった。しかし、日本選手のがんばりや韓国選手のスピード、パワー、テクニックによって、ハンドボールの魅力を十分に味わえた試合だったのではないか。この試合を見て、ハンドボール・ファンが増えたとすれば、女子日本代表の敗戦も無駄ではないと思う。



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日本代表 0対0 チリ代表
2008/1/26 東京・国立競技場

岡田監督率いる新日本代表の初試合は、まるで日本代表の新しいユニフォームのお披露目試合だった。

アディダスが日本サッカー協会の公式サプライヤーであることは認識しているが、ここまでやるか?

まず会場に入るときに、選手入場時に掲げるための青いシートが、この試合ではユニフォームの絵と形になっていた。

選手入場のアナウンスでは、わざわざ「新しいユニフォームをまとった日本代表と……」という念のいれようだ。なお、このコメントは、テレビの実況アナウンサーも使っていたが、どれほど意識をしていたのかは不明だ。

そして、選手の入場のときには、電光掲示板があるホーム側のゴール裏席に、先々代と先代の大型ユニフォームがスルスルと掲げられた。なぜ新しいのが出てこないのかな? と思っていたら、その2枚に代わって、登場するという演出だった。

さらに、試合後に気がついたのだが、普段広告など掲示することのないスタンド裏側の通路の柱に、無数の新しいユニフォームの広告ポスターが貼ってあった。

これらを実施するためにアディダスもずいぶんとお金を使っていると思うが、一方で、日本サッカー協会の心遣いもずいぶんと手厚いものだなと思う。

1月の大会なのに、試合が極寒の夜におこなわれるのも、また、テレビ中継=スポンサーのためであろう。

主催者の心配りの先がスポンサーばかりに偏っているのだから、岡田さんの代表監督再出発を見守る観客が約3万7000人と、代表戦にしてはかなり少なかったのも、十分にうなずけるわけである。



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ハンドボールの北京オリンピック・アジア予選を日本で開催することに関して、アジア・ハンドボール連盟が、日本協会に制裁を加えるらしい。やり直し予選を主催したり、その予選に参加した場合、連盟から除名するという通告が届いたとのことだ。

「アジア連盟から除名される」ことが、具体的に何を意味するかわからないが、これを機会に、日本、韓国など東アジアの志ある国々は、アジア連盟を自ら脱退し、オセアニア連盟に移籍したらどうかと思う。

サッカーにおいて、2006年にオーストラリアがオセアニア連盟からアジア連盟に移動したのと逆のケースである。

そうすれば、もう「中東の笛」に悩まされることはないし、時差との戦いも解消される。とくに、時差が小さくなるということは、選手の負担を減らすことができるし、テレビ観戦にも都合がいい。

世界を大陸という地形で区分けすることから、時間(時差)という枠で区分するほうが、メディアスポーツの時代といわれる今に適しているのである。

今回のハンドボールをきっかけに、他の競技でも真剣に検討されるべきことではないか。

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全日本卓球選手権大会・第5日
女子シングルス7回戦 福原愛 3対4 樋浦令子
2008/1/19 東京体育館

北京オリンピック出場が内定している「愛ちゃん」こと福原愛がベスト16で個人戦を終えた。福原にとって、この大会のシングルスは「鬼門」のようで、なかなか上位に勝ち進むことができない。

ベスト8進出をかけた女子シングルス7回戦、福原は樋浦と対戦した。4ゲームを終えたところで福原が3対1とリード。しかし、バックハンドのミスが多いのが気になる。案の定、続く2ゲームを落とし、試合は第7ゲームへ。

最終ゲームの立ち上がり、福原は4点を立て続けに奪った。ポイントをとったときの「サーッ!」の掛け声も、このときばかりは、「サーッ! サーッ! サーッ!」と、大きな声での3連発。気合を入れて、さぁ、一気に勝負というところで痛恨のミスが生まれた。

天井サーブをしかけた福原が、サーブを空振りしてしまったのだ。信じられないミス。力み過ぎなのはあきらかだった。

2008年1月の世界ランキングで日本人最上位の10位だった福原は、北京オリンピック日本代表に内定した。ちなみに、新聞などで「北京オリンピック出場決定」と報道されているのは間違いで、本当に代表として認められるのは、7月になって日本オリンピック委員会(JOC)による決定をみてからである。

この大会、福原は、女子ダブルス、混合ダブルスは優勝したことがあるが、女王を決めるシングルスではベスト16の壁を越えることができないでいる。

だからこそ、北京オリンピック日本代表になった今年こそ、その壁を破り、一気に女王の座を、という意気込みはあったはずだ。それが、最終ゲームの大きくなった掛け声になり、そして痛恨のサーブミスとなった。

その後、福原はリードはしているものの、樋浦に徐々に追い込まれ、9対9の同点にされる。そして、あっさりと2点を奪われ、敗れ去った。

北京オリンピック代表に内定した後のやりにくい環境のなかで、気持ちばかりが先走ってしまった福原だった。2月下旬からの世界卓球で、名誉挽回をはかってもらいたい。


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高校サッカー・決勝
藤枝東 0対4 流通経済大柏
2008/1/14 国立競技場

準決勝に続いて、流経大柏の大前元紀が爆発した。2得点1アシストに加え、4点目の起点となったCKも含めると、全4得点にからむ大活躍だった。

最初はアシストだった。前半6分。ペナルティエリア内の右サイドでボールを受けると、藤枝東のDFを3、4人とひきつけてから、フリーで駆け上がったきたMF村瀬にパス。村瀬はゴールに向かって蹴りこむだけだった。

試合開始1時間前に当日券が完売したほどの超満員の観客が、あっけない先制点に、そして大前の鋭い身のこなしと鮮やかなラストパスにどよめいた。

しかし、本当の大前劇場は後半だった。まず3分に、シュートを防がれたこぼれ球からの折り返しを左足でボレー。ゴール左サイドからのほとんど角度のないところから、GKとゴールポストのボール1個分の隙間を抜けた信じられないゴールだった。藤枝東の選手たちを呆然とさせ、国立の観客を大前のとりこにした強烈な一発だった。

その次は、カウンターからの速攻。流経大柏3人に対して、守る藤枝東のDFは2人。左サイドを駆け上がっていた大前は、センターからのパスを右足でダイレクトでゴールの右隅に突き刺した。三度国立をどよめかせた鮮やか過ぎるゴールは、惜しくもオフサイドとなった。

後半17分には、左サイドからのクロスにゴール前であわせて、難なくゴールを決めた。

その後は、足をつったような素振りをみせ、運動量が落ちてしまったのが残念だった。しかし、近年、国立で、これほどまでにインパクトのあるプレーを披露した選手はいなかったのではないか。

小柄ながら、スピードがあり、しかもそのスピードに鋭い変化をつけられ、右足でも、左足でも、頭でもゴールを決めることができる。ゴール前でのポジショニングもいい。味方とのパスワークのなかで、ワンタッチで、味方のテンポを変え、相手のリズムを狂わせるすべを持つ。

ちょっと大げさかもしれないが、大前の国立での2試合は、マラドーナをほうふつさせるプレーぶりだった。高校サッカー選手の憧れの舞台、国立競技場は、結局、大前元紀の独り舞台となった。

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全日本総合バスケットボール選手権・女子決勝
富士通 80対70 JOMO
2008/1/13 代々木第2体育館

全日本総合・女子決勝。3連覇を狙う富士通と、現在Wリーグで首位にいるJOMOの対戦は、富士通がエース矢野良子と6番目の選手名木洋子の活躍で接戦をものにした。

点の取り合いとなった前半のポイントは、第2ピリオドの立ち上がりだった。JOMOが速攻を交えて4連続ゴールで7点のリードを奪った。これで、一気にJOMOのペースになるかと思われたが、富士通矢野良子が3ポイントを2連続で決め、さらに三谷がゴールを重ね、きっちりと追いすがる。このピリオドでJOMOのセンター山田が3ファウルとなりベンチへ退き、結局、富士通が逆転して前半を終えた。

続く、第3ピリオドでは、山田がいなくなったゴール下で、矢野がたくみなポジションどりからゴールを重ねる。外角、ゴール下、ときに速攻と、第2、3ピリオドでの矢野の存在感が際立った。

そして、もう1人富士通3連覇に貢献したのが、ベンチプレーヤー名木洋子だった。高校卒業後Wリーグ(日立戸塚、シャンソン)でプレーした後、大学にいき、今季から富士通に入った「新人」である。

第2ピリオドの途中から出場し、地味ながらもいいつなぎのプレーをした。第4ピリオドでは、JOMOを突き放す3ポイントを決め、その初々しい喜び方が、優勝が見えてきたチームをさらに活気付けた。

昨年、富士通が大会2連覇をしたときにも、6番目の選手今美春(引退)の活躍があったことを思い出した。

富士通の優勝は、6番目の選手が先発選手以上の活躍を見せたとき、そのチームは勝利に大きく近づくということをあらためて教えてくれた。

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高校サッカー選手権・準決勝
津工業 0対6 流通経済大柏
2008/1/6 東京・国立競技場

まるで、国立競技場は自分たちのホームだと言わんばかりだった。高校サッカー準決勝、第一試合は、流経大柏がいきいきと、のびのびとプレーをし、津工業に圧勝した。

この大会、これまでPKでの1得点しかなかったエース大前が、4得点1アシストと、目を覚ましたかと思ったら、いきなりの大暴れとなった。しかし、エースの大活躍も見事だったが、この試合の流経大柏は、フィールドプレーヤー10人の攻守にわたる鋭い出足が出色だった。

津工業が最終ラインから繋ごうとするパスに対して、前線の選手がコースを制限し、中盤あるいは最終ラインがことごとくインターセプトしてしまう。そして、その勢いのまま前線にボールを運び着実にシュートにつなげる。ボールを奪う位置が高いため、ゴールが近い。プレスディフェンスの手本のようだった。

試合後のインタビューで、流経大柏の本田監督は、「(流経大柏は)出来すぎ。津工業は、疲れもあり、途中で(気持ちが)切れてしまった」と言っていたが、確かにそうかもしれない。しかし、この試合のようなサッカーを見せられたら、いやがおうでも決勝戦にも期待したくなる。

えてして大勝の後の試合には、厳しい結果がついてくるものだ。しかし、今年の大会は準決勝と決勝の間が1週間以上も空いている。流経大柏は、もう一度気を引き締めなおして、決勝に臨むことができる。

高円宮杯ユースに続く2冠が見えてきたのではないか。

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箱根駅伝・復路
2008/1/3 NTV

2日間にわたって、約15時間、往復200km以上をカバーしなければならない箱根駅伝のテレビ生中継が、いかに困難であるかを、あらためて感じたシーンだった。

最終10区。駒澤大学がトップでゴールした後、東洋大学と日大による来年のシード権(10位以内)争いの中継に切り替わったときのことだ。

11位の日大が10位の東洋を追い抜こうとしたまさにそのとき、実況をしていたアナウンサーが、その前を走っていた東海大学の選手が倒れていることにはじめて気づいた。カメラが東海大学の選手を映したときには、監督が選手を抱きかかえ、医務車に乗せるところだった。

棄権するまでには、スピードが落ち、立ち止まるといった変調があるはずだが、そのときまで、東海大学の選手に関する情報はまったく放送されていなかった。5区順天堂大学、9区大東文化大学の棄権のシーンはしっかりと追っていたが、最終区の東海大学はノーマークだった。

3台の中継車と1台のバイクカメラで、20人のランナーを追い続けるのに限界があることは十分に理解できる。まして最終区となれば、先頭から最後尾まで10分以上、4、5kmの差がある。しかし、シード権争いに絡んでのシーンだっただけに、なぜ、それまでわからなかったのか不思議だった。運営車や沿道からの情報はなかったのだろうか。

棄権する選手については、あえて悲惨なシーンを映し続ける必要はないという意見もあるかもしれない。しかし、競技の経過を伝えるという点では、東海大学の変調に気づかなかった中継には不満が残った。

1区の大混戦から始まり、学連選抜が上位に入り、前年度優勝の順天堂大学を含む3校が棄権した激戦に、中継スタッフも翻弄されてしまったのだろうか。

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サッカー天皇杯・決勝
広島 0対2 鹿島
2008/1/1 NHK総合

他力で、2007年Jリーグの王者となった鹿島アントラーズが、広島に完勝して、王者の実力を証明した。とくに、小笠原が十二分にその存在感を示した試合だった。

好守の両面で完全に試合をコントロールしていた前半はもちろん、やや広島ペースになった後半も、鹿島の攻撃には緩急のテンポがあり、鹿島の守備はほぼ鉄壁だった。その中心には、常に小笠原がいた。試合後のインタビューへの応対も含めて、この試合で、あらためて小笠原の成長を感じた。

鹿島の攻撃に多く見られた大きなサイドチェンジには、必ず小笠原がからんでいた。先制点のきっかけとなったサイドチェンジを受けたのは小笠原だった。この試合、小笠原にボールが渡ると、鹿島の選手が瞬時に攻撃モードに切り替わった。ゴールに向かって動き出せば、小笠原から好パスが来ると信じていた。一方、前線からの積極的な守備網をはってボールを奪う場面や、逆襲狙いの広島の速攻の芽を摘む場面には、ほとんど小笠原がいた。

2007年シーズンの最後の試合となる、天皇杯の決勝で、シーズンを象徴するサッカーを見ることができた。それは、若手とベテランと、イタリアから戻ってきた小笠原がうまく調和したサッカーだった。勝ち続けることで、自信を膨らませたサッカーだった。

一方、来季J2が決まっている広島は、決勝進出におおきく貢献してきたエース柏木を出場停止で欠いていた。広島の、そして北京オリンピック代表の核である、王子・柏木なくして、王様・小笠原が君臨する鹿島に勝てるはずはなかった。


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