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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



FIFAクラブワールドカップ・準決勝
ACミラン 1対0 浦和レッズ
2007/12/13 横浜国際総合競技場

力の差は明らかだった。

試合開始直後こそ、浦和は阿部や長谷部が積極的にミドルシュートを放ち、意気込みを示した。しかし、前半15分過ぎからは、完全にACミランのペースになった。

ミランは、攻撃では、長短の素早いパスに、カカやセードルフのドリブルを織り交ぜ、じわじわと浦和のゴールに迫る。守備では、前線から組織的に包囲し、個人の技術でボールを奪いに行く。

浦和の選手たちは、守備で、ミランの攻撃に対応することで精一杯で、ボールを奪っても、攻め上がることができなくなっていった。

後半、インザーギが交代出場した直後、素早いリスタートから、カカがドリブルでチャンスをつくり、インザーギの背後から、ペナルティエリアにはいってきたセードルフがゴールを決めた。

結局、ミランは、この1点だけに終わったが、力の差は得点差以上に大きかった。

ミランと浦和の差は、判断力とそれを実現する個人能力にあった。その差が、ミランのサッカーに知性と華麗さをもたらしていた。

ただし、力の差はあったものの、浦和の健闘が、ミランの実力を引き出したとも言える試合だった。浦和が、ベストメンバー、ベストコンディションでなかったことがとても残念だった。

それにしても、ドリブルをしているときのカカの脱力感に不思議な魅力を感じてしまったのは、どうしてだろうか。

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FIFAクラブワールドカップ
エトワール・サヘル 1対0 パチューカ
2007/12/9 国立競技場

パスワークと個人技で攻め込むパチューカ(メキシコ)に対して、組織的な守備網で受け止め、カウンターを狙うエトワール・サヘル(チュニジア)。

ノックアウト方式の大会らしく、互いに相手の出方をうかがいながら始まった試合は、しかし、結局、90分間同じような攻防に終始した。まさに試合前に予想されたとおり、攻めるパチューカ、守るエトワールという展開だった。

終盤、狙いどおりのカウンターからのシュートが、相手守備選手に当たってコースが変わりゴールとなったエトワール。前半、フリーキックのこぼれ球を豪快に決めたと思ったら、オフサイドを宣告されたパチューカ。エトワールのほうが、やや幸運な面があったかもしれない。

しかし、エトワールの勝因は、幸運だけではなく、その堅い守備組織網にあった。10人がバランスよく配置され、前線から追い込みながら、中盤のボランチや最終ラインでパスインターセプトを狙う。90分間ほころびを見せなかったのもたいしたものだった。もう少し粗いチームかと思っていたので、その組織力、持続力は予想外だった。しかし、攻撃は、カウンターのスピードはあるものの、アイデアには乏しかった。このチームの課題である。

準決勝(12/12・国立競技場)で、エトワールと対戦するボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)が、どのようにエトワールの堅守を切り裂いていくのか、楽しみになった。あるいは、エトワールががっちり受け止めてしまうのか。

敗れたパチューカも魅力的なチームだった。今年から、開催国枠が設けられ、参加チーム数が増えたために、5-6位決定戦がなくなった。昨年だったら、パチューカをもう一度見ることができたのに。1試合だけで帰ってしまうのが、なんとも残念である。


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FIFAクラブワールドカップ
セパハン 3対1 ワイタケレ・ユナイテッド
2007/12/7 国立競技場

やや地味だった開幕セレモニーは、主催者が、その直後に行われる「開幕戦」に自信をもっていなかった表れだったのかもしれない。

トヨタ プレゼンツ FIFAクラブワールドカップの開幕戦、セパハン(イラン)対ワイタケレ・ユナイテッド(オセアニア代表、ニュージーランド)の試合は、なんともお粗末な内容に終始した。日本のリーグでいえば、Jリーグの下のJFLあるいは大学生レベルのサッカーが繰り返された。大量の招待券がばらまかれ、大勢のサッカー少年が会場に動員されていたが、参考にすべきものは何もなかった試合だった。

試合がひどかった原因は、ワイタケレの実力不足につきる。優勝するためには、この試合を含め、10日間で4試合を戦わなければならないセパハンが戦力を落とし、気を抜いた試合をしても誰も責めることはできない。

世界の6つの連盟から、公平に1チームづつ集める大会は、クラブワールドカップというよりも、クラブコンフェデレーションズカップというべきだろう。その連盟間の実力格差があらわになった試合だった。オーストラリアが抜けてしまったことによって、さらに実力が低下したオセアニア連盟の扱いは、FIFAにとって大きな悩みのタネとなっている。それが露呈した試合だった。

今月号のWorld Soccerに載っているクラブワールドカップの記事を見ると、セパハン対ワイタケレの試合は、“Preliminary play-off”となっている。「予備予選」という意味だ。つまり、この予備予選に勝ったチームが、クラブワールドカップに出場できるということだ。

12月9日、日曜日。アフリカ代表のエトワール・サヘル(チュニジア)対北中米代表のパチューカ(メキシコ)の試合から、本当のクラブワールドカップが始まると考えたい。本当の開幕からは、ワールドカップの名にはじない好試合が繰りひろげられることを期待したい。

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野球の日本代表が、フィリピン、韓国、台湾に勝ち、北京オリンピック出場を決めた。

台湾で開催されたアジア地区最終予選。初戦のフィリピンにはコールド勝ちしたものの、韓国に1点差、そして台湾には逆転勝ちという、接近した内容の試合をものにしたのは、やはり勝負へのこだわりだった。

韓国に勝った後のインタビューで、捕手の阿部は、心底疲れきった表情を見せた。日本一になった中日の投手陣には、自分の役割を果たせたことへの満足感が満ちていた。

そして、台湾戦。逆転された後、同点のチャンスでのスクイズ。星野監督の北京オリンピックへの思いが表れた瞬間だった。勝つことの難しさを知っているからこその采配だった。そして、試合後の胴上げ、インタビューでの涙。これは、甲子園大会か、日本シリーズか……。

ぼくは、日本代表がこの大会で勝って、オリンピックの出場を決めても、そんなシーンを見ることはないと思っていた。勝って当然のように、淡々としているのではないか、と想像していた。

今回の日本代表チームは、充実感のあった投手陣にくらべ、打撃陣に迫力を欠いた。しかし、それだからこそ、日本的なつなぐ攻撃で勝利をもぎとったといえる。その結果の胴上げや涙も、とても日本的だった。

オリンピックの舞台で、「ベースボール対野球」を見るのも悪くないと思った。そして「野球」が世界を制するのを見るのも。

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横浜FC 1対0 浦和レッズ
(2007/12/1 NHK総合放送)

試合前夜、友人と飲みながら、Jリーグ最終節の話になった。

明日、浦和は、横浜FCに勝って、優勝を決めることができるのか?

ぼくは、いくら浦和が調子を落としているといっても、最下位で、降格が決まり、ほとんどの選手が解雇される横浜FCには、勝てるだろうと、たかをくくっていた。ACLの決勝戦以来、浦和の試合を見ていなかった。ただ、今季の成績と勝手なイメージから、そう予想していた。

一緒に飲んでいた友人は、実は仕事で浦和に関わっている。最近、心臓がドキドキしてしょうがないと言っていた。清水、鹿島、愛媛戦を、スタジアムで見続けていた彼は、深刻そうに、今の浦和を心配していた。浦和と鹿島がともに敗れて、浦和の優勝といった想像もしていた。それだけ、浦和が横浜FCに勝てないのではないかと思っていたわけだ。とくに、天皇杯で愛媛に敗れた試合内容はひどかったようだ。J2のチームに負けるのだから、J1の横浜FCに負ける可能性は十分にある。

果たして、ぼくの友人の心配は現実のものになってしまった。浦和が破れ、鹿島が完勝し、鹿島がJリーグの王者についた。

横浜FCと戦う浦和は、ぼくのイメージにあるものとは遠くかけ離れていた。ACLの王者になってから約2週間。ここまでチーム力は落ちてしまうものなのか。

実際に試合を見ずに、安易に、試合の予想をしたことを反省した。反省しなければならないほどのことではないのだが、きちんと自分の目で見て、ものを言うべきだということを思い知らされた。ただし、実際に見ていても、浦和の勝利を予想していたかもしれないが……。

さて、Jリーグが終わり、天皇杯を敗退した浦和だが、大きな目標が目前に迫っている。今週から始まるトヨタ・クラブワールドカップである。なんとしても、12月10日の豊田スタジアムでの初戦を勝ち抜き、13日には、欧州王者のACミランと戦う勇姿を見せて欲しい。

横浜の無念を、横浜で晴らして欲しいと思う。

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横浜FC 1対0 浦和
2007/12/1 NHK総合放送

J1の最終節、優勝のかかった2つの試合をNHKが生中継した。横浜FC対浦和はNHK総合放送、鹿島対清水はNHK-BS1だった。

ぼくは、主に、NHK総合放送の浦和の試合を見た。浦和が優勝する試合を見ておこうと思ったからだ。そうしながら、BS1で鹿島戦の動向を見るつもりだった。

しかし、試合が始まると、浦和の試合からまったく目が離せなくなった。疲れとプレッシャーで、動きが重く、鈍い浦和に対して、ベテラン揃いの横浜FCが、積極的にしかけていく。その結果、横浜FCが先制。最下位と首位の試合とは思えない面白い展開となった。後半になると、浦和の反撃で、同点、逆転の期待が高まる。

そんななか、浦和の勝利が遠のきはじめた後半40分過ぎ、NHK総合放送の中継が、日産スタジアムからカシマスタジアムに切り替わってしまった。浦和の勝利の可能性がなくなったので、鹿島が優勝する場面を中継することにしたようだ。

鹿島戦は、後半45分ごろからロスタイム3分が終わるまで中継された。鹿島戦が終わった後、まだ続行中の日産スタジアムに再び戻り、ロスタイムの模様が中継された。横浜FCの勝利が決まると、その直後から、歓喜のカシマスタジアムに切り替わった。なお、NHK-BS1では、ずっと鹿島戦が中継されていた。

何のことわりもなく、日産スタジアムからカシマスタジアムに切り替わってしまったことに、ぼくは驚き、とてもがっかりした。

なによりも、横浜FC対浦和の試合をさいごまで見届けたかったからだ。選手の思いが凝縮するさいごの5分間を見たかった。それだけ、この試合に魅せられていた。浦和の選手はどんな表情をしているのか。横浜FCのカズや山口はベテランならではの余裕顔だろうか。

しかし、NHK総合放送は試合中継よりも優勝報道を重視した。当然といえば、当然かもしれない。要するに、試合をきちんと見たいのなら、CS放送を見ろということなのだろう。

このJリーグの試合中継に限らず、今年は、地上波放送のスポーツ中継に不満を感じることが多かった。あえて避けてきたのだが、そろそろCS放送に加入することを考えるべきかもしれないと思った。

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