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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



全日本柔道選手権大会
2008/4/29 日本武道館

北京オリンピック柔道100kg超級の代表は、全日本柔道選手権大会で優勝した石井慧に決まった。

しかし、大会を見たファンにとって、十分予想できたことだが、納得できない面もあるのではないか。それは、この日の石井の試合内容が、代表の名にふさわしいものだったかどうか疑問だったからである。

石井の柔道は、講道館が目指す「一本」を取りに行くというよりも、攻撃を仕掛けながらも、うまく逃げ、ポイントを稼ぐパターンが多い。別の言い方をすれば、自らの得意技で勝利することよりも、相手の技を封じ込めることを優先するような戦い方か。だから、見ていてあまり面白くないし、フラストレーションもたまる。

たしかに、この日は、井上康生が準々決勝で敗退したあと、残るライバルで最有力候補と見られていた棟田康幸との直接対決(準決勝)を制したのだから、代表に選ばれたことに文句はない。しかし、その試合も、完全なこう着状態のなかでの指導の差で制した、内容の乏しいものだった。

さらに言えば、6分間で決着がつかず判定となった、3回戦の高橋和彦戦は、明らかに分が悪かった。結果は、2対1でかろうじて石井が勝ったが、その判定に対して、武道館中から大ブーイングが起きたほどだった。

決勝の鈴木桂司戦も、序盤に有効、技ありをとって、有利になったものの、中盤以降は、鈴木に押され、反則気味の頭、からだの使い方でどうにか、かわしきったものだった。勝者として称えられる内容ではなかった。

生田秀和、高井洋平らがはつらつとした戦いで会場内を沸かせたのとは、対照的だった。もし棟田との直接勝利がなければ、選考結果は違っていたかもしれない。

しかし、石井は北京オリンピックの代表に選ばれた。日本柔道界の代表として、100kg超級に挑む。

今や、日本の国技・柔道だからと言って、内容も結果も、と言うほど世界は甘くないのは十分に承知している。しかし、あえて、石井には、オリンピックの舞台で、石井の代表に疑問符を抱いた人々を見返すような、内容のある柔道で、頂点に立ってほしいと思う。


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ビバ!サッカー研究会の4月度の月例会のゲスト講師は、読売新聞運動部デスクの川島健司さんだった。川島さんは、1997年から2001年までロンドンに駐在していた。この日のテーマは「イングランドのサッカー」だった。

川島さんによれば、プレミアリーグの特徴は「フェアであること。激しいが、汚いプレーがない」ということだった。全く同感である。

しかし、とくに上位のクラブでは、選手だけでなく監督さえも外国人が多くなった今、そのプレミアリーグらしさがなくならないのはなぜか。

川島さんの見解は、サポーターやメディアの力が大きいということだった。汚いプレー、怠慢なプレーに対する、ブーイング、バッシングは、本当にしつこく、執拗におこなわれるそうだ。当然のごとく、選手はサポーター、ファンに応えるようなプレーをせざるをえない。そこでは、英国人も外国人も関係ない。

それに、選手は外国人が増えているが、スタジアムに通う観客のほとんどは、英国人であり続ける。英国人がフェアプレーを求める限り、厳しい監視の目が絶えることはない。

また、イングランドのスタジアムは、サッカー専用であるだけでなく、観客席とピッチが異常に近いことも、いい意味で選手にプレッシャーをかけているとも言えるだろう。

英国人の観客と選手が一体になって、フェアプレーを志向する。プレミアリーグの最大の魅力である。

反則のたびに、審判を取り囲む極東のリーグに、今、一番欠けているのが、フェアプレーの精神ではないか。まして、下着泥棒なんてのは、もってのほかである。

母国に学ぶべき点は、まだまだ多い。


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