今年も、クラブ・ワールドカップは、横浜で行われた準決勝と3位決定戦、決勝の3試合を見た。準決勝はチェルシー対モンテレイ、3決はアルアハリ対モンテレイ、決勝はチェルシー対コリンチャンスだった。それぞれ見所はそれなりにあった。国内のJリーグや日本代表戦にはない面白さがあった。
準決勝、チェルシー対モンテレイ。1回戦で蔚山を一蹴したモンテレイが、まるで蛇ににらまれたカエルのようにおとなしく、なにもできなかったのに驚いた。序盤からチェルシーに支配され、まったくいいところがなかった。アジア(蔚山=韓国)と北中米(モンテレイ=メキシコ)、そして欧州というよりも多国籍軍(チェルシー)との差はこれほど大きいのか。
もうひとつの驚きは観客が少なかったことだ。昨年はFCバルセロナの登場で、平日の夜にもかかわらず、準決勝でもほぼ満員だったと記憶する。しかし、今年は、スタジアムに入って愕然とした。値段の安いカテゴリー3と4が占めるゴール裏は満員なのだが、バックスタンドはガラガラだった。名門チェルシーではあるが、スーパースターの不在は否めない。
ちなみに、この試合のチケットは、定価9000円のカテゴリー3を8000円でダフ屋から買った。ほとんど交渉せず、ダフ屋側の言い値で買ったのだが、粘れば5000円ぐらにはなっただろう。ダフ屋にとっても、渋い試合だったようだ。
3位決定戦、アルアハリ対モンテレイ。チャンスを確実にものにしたモンテレイが2対0で勝利。アルアハリも決定機を何度も作っていたのに、モンテレイのGKの好守備に阻まれた。もう一度アブトレイカを観たかったが、3決には出場しなかった。残念。
決勝、チェルシー対コリンチャンス。売店のスタッフに聞くと、コリンチャンスのサポーターは、朝からスタジアムの正面階段に陣取り歌いっぱなしだという。ブラジルから、日本の各地から、大勢のコリンチャンス・サポが集結した新横浜。同じブラジルのクラブでも、昨年のサントスとは大違いである。この違いは何なのか?
決勝には、ミスター・チェルシー、ランパードがスタメンで登場したが、これがチェルシーにとってはマイナスとなった。ランパードのキャプテンシーはチームにとって大きいだろうし、何度か鋭いパスも配球していた。しかし、相手が違うとはいえ、準決勝でボランチをつとめたダビド・ルイスを、同じポジションで起用すべきだったのではないかと思う。準決勝でのダビド・ルイスの存在感は図抜けていた。チェルシーのベニテス監督は戦術よりも温情を優先させてしまったのではないか。
後半25分ごろ、コリンチャンスが先制点を挙げた。ここからのチェルシーのあわてぶりは何だったのだろうか。冷静にみれば、まだ残り時間は十分にある。それまで、チャンスだって何度も作っている。あわてる必要はない。しかし、チェルシーは急におかしくなった。攻め急ぐようになり、守備は荒っぽくなった。挙句の果てに退場者も出す始末。そして、最後の最後にフェルナンド・トーレスが決定機を逃す。
コリンチャンスのホームと化した横浜国際総合競技場に歓喜の声が響き渡り、今年のクラブワールドカップは幕を閉じた。来年、再来年はモロッコで開催される。欧州、北中米、南米の代表にとっては、移動が楽なので、コンディションを整える苦労は少ないだろう。日本開催よりも、レベルの高い試合を観ることができるだろうか?
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