ドイツW杯の8強が出揃った。出場した6つの優勝経験チームがすべて残る豪華な顔ぶれになった。しかし、優勝経験チームとはいえ、決勝トーナメント1回戦を勝ち抜くのは、そんなにたやすいことではなかった。
ホストのドイツは、スウェーデン相手に序盤で2点を取り、その後も猛攻を重ねたものの、追加点を奪うことができなかった。せめて1点でも追加できたら、気持ちよく準々決勝を迎えることができただろう。
グループリーグで好調だったアルゼンチンは、巧者メキシコに苦しめられた。メキシコに終始、試合を支配されながら、延長の末、アルゼンチンらしくない、ミドルシュートによる得点で、なんとか突き放した。
もっとも苦労したのはイタリアだった。2002年大会で苦杯をなめさせられたヒディンク監督率いるオーストラリアが相手だった。いやな予感は、後半5分、DFマテラッツィの退場というかたちで現実のものとなった。あとは防戦一方で、ロスタイムに奇跡的にPKを奪って、ヒディンクに雪辱した。大番狂わせ寸前だった。
ルーニーが復帰したと思ったら、オーウェンがケガで帰国してしまったイングランド。エクアドル相手にアディダスの新型ボールと相性のよさそうなベッカムのフリーキックであげた1点をどうにか守りきった。
3対0という得点からは快勝に見えるブラジルだったが、実際はガーナが溌剌としていた試合だった。ブラジルがサッカーをしていたのは、ほんの数分間だけだった。日本戦をきっかけにペースアップしてくるかと思ったたが、まだまだのようだ。こうなると、本当に、これ以上のパフォーマンスが期待できるのか、ちょっと疑問に、そして不安になる。
フランスはベテランががんばった。スペインに先制されたが、ジダンを中心にビエイラ、アンリらの勝利への執着心が逆転に結びついた。しかし、全盛期の見る影もないジダンの姿に痛々しささえ感じてしまうのはぼくだけか。
優勝経験チームが苦戦を強いられた決勝トーナメント1回戦だった。しかし、だからこそ、優勝という経験がいかに大きな財産であるかということがわかった試合ばかりだった。W杯で優勝するためには、優勝経験が必要なのだ。新参者には厳しい現実かもしれないが、それがW杯の重みでもあるのだ。
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