サッカー・アジア杯2011
日本 1対1 ヨルダン
日本 2対1 シリア
(NHK-BS1で観戦)
◆目だった長谷部と吉田
日本代表の2試合を見て、印象に残った選手は、キャプテンの長谷部誠とセンターバックの吉田麻也だった。よかった点、悪かった点を含めて(だからMVPではない)、第1戦のヨルダン戦は吉田の日だったし、第2戦のシリア戦は長谷部の日だった。
第1戦は、吉田のA代表の本格デビュー戦と言えるもの。中沢、闘莉王に代わって、今野とともに最終ラインに立った。
そのプレーぶりは落ち着きもあり、これからの日本代表の守備の要をまかせるに足る働きだった。前半終了間際、ヨルダンの選手のシュートがブロックしようとした吉田の足にあたりオウンゴール(公式記録はヨルダンのアブデルファタの得点)になってしまったのは不運だった。
1点がなかなか取れない日本代表を救ったのも吉田だった。後半ロスタイム、長谷部のクロスに高い打点でヘディングシュートを決めて同点に追いついた。ヘディングの高さ、迫力は闘莉王の後継者にふさわしい。まさに、吉田デーだった。重要な戦いの中で派手なデビューとなったが、それも、何か「持っている」証ではないか。中沢と闘莉王にまかせきりだった守備陣に、心強い選択肢が増えたと言える。
◆主将らしくなった長谷部
南アフリカW杯で、本大会になってから中沢に代わってゲームキャプテンになった長谷部が、この大会ではいちだんと頼もしくなった。
プレーにおいては、第1戦の決勝点のアシストをし、第2戦では何人もでボールをつないでつくったチャンスに、冷静にゴールを決めた。ボランチの低い位置から、トップを追い越す動きまで、広範囲を精力的に動き回る。
第2戦の後半、自らの中途半端なバックパスから不運なPKを与え、同点ゴールとされたが、チーム全体が判定への怒りで熱くなっていいるなか、抗議をするだけでなく、冷静に、ときに笑みをもって主審とコミュニケーションをとっていた。つい、前々回アジア杯のヨルダン戦のPK戦のときの宮本キャプテンの振る舞いを思い出した。
◆香川は爆発するか
注目の新10番、香川も、イマイチな感じは否めないが、第1戦よりも、2戦目のほうがだいぶよくなっていた。第2戦の先制点もシリアのGKの好守備がなければ、香川のシュートが決まっていたかもしれない。シュートにいたるまでのスピードとシャープな切り替えしは、香川ならではのもので、今後に期待をつなげるものだった。
第2戦では、攻撃的中盤を攻勢する香川、本田、松井の動きもダイナミックになり、それぞれの持ち味が発揮されるようになってきた。決勝トーナメントまで進むことで、試合を重ねながら、チーム力は整っていくことだろう。
ただし、2戦続けて前田遼一をトップとしたが、3戦目は変更すべきではないか。前田はチャンスをつくるものの、なかなかゴールを決められない。GKに阻止される以前に、ゴールの枠にシュートを収められないのが気になって仕方がない。
フォワードとしては、前田、岡崎、李がすでに出場しているが、回りとのコンビネーションやペナルティエリア内での強さという点で、岡崎に一日の長があるように思う。
日本の第3戦は、すでにグループリーグ敗退が決まっているサウジアラビアである。その実力はあなどれないが、モチベーションは下がっているはずだ。決勝トーナメントへのステップとして、第2戦を超えるパフォーマンスを楽しめることを願う。
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