鹿児島実業対野洲(国立競技場)
ベンチの力が勝負を分けた試合だった。
高校サッカーの決勝戦は、延長の末、2対1で野洲が鹿児島実業を破り、初優勝を手にした。
決勝点は、野洲サッカーの集大成ともいえるような華麗なパスコンビネーションから生れた。大きなサイドチェンジ、意表をつくヒールパス、絶妙なタイミングのスルーパス、そして低く鋭いクロスに、最後は交代出場の滝川(12番)が軽くあわせた。準決勝の多々良学園戦でも、ゴール前にスルスルと現れ、ヘッドで決勝点を奪った滝川。ピッチで戦うイレブンには心強い、まさにスーパーサブである。
その決勝点は、鹿実にとっては、とりわけ松沢総監督にとっては、なんとも悔いが残る失点だった。延長後半の半ば、DF西岡(5番)が左足で強烈なシュートを放ったまま倒れこんでしまった。足がつったのか、肉離れか。その西岡がピッチの外で治療をしている間に失点したからだ。
延長戦も残り時間5分。疲れきった両チームが繰り返す一進一退の攻防のなかで、なぜ一人少ないリスクを負ったのか。交代選手の準備が間に合わなかったのか。それとも、点を取るために、もう一度西岡の左足に期待したのか。
野洲のゴールの脇で治療している西岡を見ながら、これはやばいなと思っていた矢先に、野洲の決勝点が生まれた。結果論ではあるが、やはりすぐにでも交代選手を入れ、わずかでも数的不利な時間ができるのを防ぐべきだった。
スーパーサブの存在と監督の判断。ベンチの力が勝負を分けた試合だった。
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