ワールドカップ・南アフリカ大会が近づくなか、ワールドカップにつきものとなった観戦希望客と旅行会社とのトラブルがまた起こっているようだ。
報道によると、WEBサイト上で営業していたToer Afrikaという南アを専門とする旅行会社が、ワールドカップの観戦チケット購入者を対象に、交通・宿泊を手配するとして金を集めたまま連絡がとれなくなってしまった。被害者約20人、被害総額約1000万円。おそらく、まだ気づいていない潜在被害者も多いのではないか。
サッカー日本代表が初めてワールドカップ決勝大会に出場したフランス大会では多くの日本人サポーターがチケットトラブルに巻き込まれ、ワールドカップは観戦するファンにとっても厳しい世界だということを思い知らされた。ぼくが知るところでは、ぼくが初めて観戦した1990年のイタリア大会でも、日本人ツアー客と旅行代理店(もちろん日本の大手)との間で、観戦チケットのカテゴリーを巡ってトラブルが起きていた。
醒めたもの言いになるが、結局、ワールドカップやオリンピックなどの世界的なビッグイベントの場合、需要と供給が極端にアンバランスなうえに、あらゆる利権がからんでくるので、うまく収集がつくわけがないのである。こういう意味では、前回2006年のドイツ・ワールドカップは非常にうまくいった数少ない例と言えるだろう。
ドイツ大会でトラブルが少なかった要因は……。日々進化していたインターネット技術に加え、1998年フランス大会や2002年日韓大会でのチケットトラブルの教訓を活かすことで、スムーズな配券を実現した。ヨーロッパの中心に位置する立地や交通網が整備されていることから、遠い日本からでも旅行会社に頼らずに観戦することが可能だった。大規模なファンフェスタを展開することで、スタジアムに入れなかったダフ屋頼みの観戦客をうまく収容できた。さらに、サッカー大国ドイツらしい、運営、雰囲気作り、一般市民のメンタリティがベースにあったことは言うまでもない。
しかし、2010年の舞台は南アフリカである。何も起こらないわけがなかった。その手始めが、今回のToer Afrikaのトラブルか。ただし、このToer Afrikaに関しては、JFA(日本サッカー協会)にも責められるべき点があるのではと、ぼくは思っている。
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