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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



第36回JOAセッション
2013/12/8 明治大学 駿河台キャンパス

今年で設立35周年となるNPO法人 日本オリンピック・アカデミー(以下、JOA)のセッション(シンポジウム等で構成)に参加した。タイトルは「TOKYO 2020 Legacy~クーベルタンの理想と国立競技場からの展望」。近代オリンピックを創設したクーベルタン男爵の生誕150周年も記念している。

そもそも、JOAは、ギリシャに本部のある国際オリンピック・アカデミー(IOA)のもとにある日本国内の組織で、オリンピックやスポーツに関する研究・教育・事業を通して、社会一般に対し、オリンピックやスポーツの振興に寄与しようとする団体である。日本オリンピック委員会ととともに、日本国内でのオリンピック・ムーブメントを推進することを目的としている。

この日、第1部では、「TOKYO 2020 Legacy~国立競技場からの展望」というタイトルのシンポジウムがおこなわれた。1958年に建設され、1964年東京五輪のメイン会場だった国立競技場を通して、2020年東京大会のレガシーのあり方を考えるものだった。詳しい内容は、おそらくJOAとして公式に報告されると思うので割愛するが、特に、シンポジストの一人、南後由和氏のプレゼンテーションが、ぼくにとっては新鮮だった。

南後氏は、1979年生まれで、社会学、都市・建築論を専門とする明治大学の先生である。国立競技場を、同じく1964年東京五輪の会場だった代々木体育館(第1、第2および周辺の公園)との比較から、その特徴や問題点を導き出していた。結論は新しいものではないが、そのアプローチによって、理解しやすく、説得力のあるものになっていたように思う。1964年東京五輪、そしてスポーツ、オリンピックというものに対して、年齢的にも、専門とする分野的にも、やや引いた視点で冷静に見ることができた結果ともいえよう。

そして、南後氏がまとめとして披露した、2020年東京大会のレガシーを考えるうえでのコンセプト・ワードは、“Inspire the generation mix”“Uniting Generations”だった。「多世代交流」を志向するオリンピックをめざそうということである。そして、きしくも、もう一人のシンポジスト、ハンマー投げの王者、室伏広治氏がかかげている“TOKYO 2020 For Every Generation”と同じ意味だった。

2020年東京オリンピック・パラリンピックは、東京の子どもたちに夢を見せるだけではない、子どもからお年寄りまで、東京と東日本大震災の被災地を含む地方、さらにはアジア地域、全世界の人々(Generations)が交流する場とならなければならないことだけは間違いないようだ。

この日のセッションでは、約5時間にわたって様々な発表があった。最後の「第9回国際ピエール・ド・クーベルタン ユース・フォーラム参加報告」では、参加した高校2年生の加納君のしっかりした発言に感心させられ、引率の中塚先生の提案に、これからのオリンピック・ムーブメントの大きなヒントがあった。

とても有意義な今回のJOAセッションだっただけに、日本国内のオリンピック・ムーブメント推進の中心的な担い手である日本オリンピック委員会の方々の顔を、ほとんどみることができなったのが、ちょっと残念だった。


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