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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



日本が2018年FIFAワールドカップを招致するか否かは、2016年東京オリンピック・パラリンピックの招致の行方にかかっているようだ。

2016年の東京オリンピック・パラリンピックが決まった場合に、東京・晴海につくられる予定の、8万人以上収容できるオリンピック・メインスタジアムがなければ、ワールドカップを招致する条件を満たせないためらしい。日本サッカー協会の犬飼会長のコメントとして報道されている。

FIFAが提示するワールドカップ開催のガイドラインを守ることは大切なことかもしれないが、あまりに従順すぎるのではないか。

だいいち、開幕戦と決勝戦をおこなうスタジアムのキャパが8万人以上という根拠がよくわからない。観客が多ければ盛り上がるというものでもないだろう。ビッグイベントにありがちだが、サッカーにあまり興味のない人ばかりが見ているよりも、たとえ少ない人数でも熱のあるファンが集まったスタジアムのほうが、きっと雰囲気はよくなり、盛り上がることだろう。テレビを通じてでも、そういう雰囲気は伝わってくるものだ。

ワールドカップにつきもののチケット問題でも、8万人収容のスタジアムがあるからといって、開幕戦や決勝戦のチケットの争奪戦が和らぐとは思えない。

それに、ワールドカップを見たい人のほとんどが、テレビで観戦するのである。大きなスタジアムにこだわるよりも、テレビ中継しやすいスタジアムという視点があってもいいのではないか。

それでも多くの観衆をスタジアムに集めなければならないのであれば、2002年のワールドカップのときに幻に終わった「バーチャルスタジアム」に、もう一度チャレンジするのはどうか。実現すれば、日本だけでなく、世界中のスタジアムで開幕戦や決勝戦を見ることができるようになる。

要するに、FIFAの言うなりになる必要はないのではないか。「ルールなんて変えるためにある」ぐらいの気持ちで向かうべきだと思う。

いろいろと考えることはあるのだが、実を言えば、サッカーファンとしては、ワールドカップの開催地に立候補するかどうかが、オリンピックの招致にかかっていることが、なによりもシャクなのである。

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全日本卓球選手権大会・最終日(その2)
2009/1/18 東京体育館


全日本卓球選手権大会、女子シングルスの決勝は、3連覇を狙う平野と元中国代表の王輝の対戦となった。フルセットにもつれ込む大接戦となったが、驚異の粘りをみせた平野が制し、大会3連覇を果たした。決勝戦にふさわしい見どころの多い試合だった。

平野は、王輝のカットボールのリータンに対して、攻め急ぐことなく、じっくりとラリーに応じた。ときに、延々と続くラリーのなかで、タイミングをはかりスマッシュを決める。平野のプレーの幅の広さと対応力が光っていた。準決勝で王輝に敗れた福原とは対照的だった。

一方の王輝は、ひたすら持ち味のカットボールで応戦する。まるでロボットのように正確なリターンが繰り返される。しかし、王輝のテクニックとともに、ベンチワークも冴えていた。

第4セットの序盤、平野に3対5とリードされたときだった。王輝が、明らかに、ラリーに根負けした表情を見せたとき、すかさず、王輝のコーチがタイムを取った。このセットを落とせば、もう後がないわけだから、タイムは当然の選択だったが、それが見事に功を奏す。王輝は、タイムアウト後、8点を連取して、このセットを奪い、セットカウント2対2にした。

そして、最終の第7セットにドラマがあった。まず、王輝がいきなり5対1とリードする。その5点のなかには、エッジボールが2つもあり、誰もが王輝に流れが向いたと思った。しかし、そこでコートチェンジをすると、今度は平野が勢いを取り戻し6対6の同点とする。平野の脅威の粘りに会場がどよめく。その後も、長く、しかも多彩なショットが繰り出されるラリーが続き、対戦している2人の選手のみならず、観客も我慢比べの様相を呈す。

さいごは、平野が9対8でリードのプレー中に、促進ルールが適用される。既定の回数内に決着をつけなければならないために、カットマンの王輝に少し動揺があったのかもしれない。いったん、9対9の同点になったものの、平野が2点連取して、勝負を決めた。

1時間以上の熱戦のなかに、卓球のさまざまな魅力が詰め込まれていた女子シングルスの決勝だった。



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全日本卓球選手権大会・最終日(その1)
2009/1/18 東京体育館


全日本卓球選手権大会の最終日は、女子シングルスの準々決勝以降と男子シングルスの準決勝、決勝が行われた。ぼくは女子のシングルスの行方に注目していた。

昨年、日本に帰化した、元中国代表の王輝が、全日本社会人卓球選手権に続いて、全日本選手権も制するのか。3連覇を狙う平野、初優勝を目指す福原、あるいはジュニアで敵なしの石川が立ちはだかるのか。

まず、準々決勝で、福原と石川が対戦。すでに、混合ダブルス、女子ダブルスでの優勝を逃した福原に残されたタイトルは女子のシングルスのみ。そのうえ、福原は、これまで、この大会でベスト4入りしたことがない。福原にとって大きな関門である。

しかし、試合は福原が、パワフルなショットを連発して、石川を圧倒した。第4セット、9対8とリードしたところで、サーブミスで同点にされても、動揺することなく勝ち切って、初のベスト4入りとなった。この試合、福原には相当なプレッシャーがあったのだろう。試合後、コーチのもとに戻ってきたときには、ほっとしたような満面の笑顔ながら、疲れきってコーチにしなだれかかっていくようなしぐさを見せた。

この結果、準決勝で、福原と王輝が対戦することになった。そして、この対戦は、セットカウント4対0で、王輝が完勝。もともとカットマンが苦手と思われる福原は、王輝の術中にまんまとはまったかたちになった。しつこくカットボールを返してくる王輝に対して、強引にスマッシュを決めようとするが、ことごとくネットにかかるか、アウトボールになってしまう。

福原は、今大会を目標に中国でトレーニングをしてきたという。その成果は、ベスト4を決めた準決勝までの勝ち上がりのなかに少しだけ見えたかもしれない。しかし、王輝との試合内容は、その成果をすべて打ち消してしまうような惨敗だった。日本のエースとしての気迫さえ感じられなかったのが残念だった。



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全国高校サッカー選手権大会
決勝:広島皆実 3対2 鹿児島城西
2009/1/12 東京・国立競技場

今大会の得点王を手中にし、歴代最多得点を狙う鹿児島城西の大迫(勇)を、期待をもって、初めて見た。

この大会、準決勝までの5試合で、鹿児島城西は27得点11失点と、良く言えば攻撃的(攻撃重視)であり、悪く言えば大味な試合ぶりで勝ち進んできた。そのなかで、大迫(勇)は、9ゴールを挙げていた。

決勝でも、その得点感覚の良さは垣間見られた。前半18分、左サイドからの低いクロスにダイビングヘッドで合わせ、ポストぎりぎりに外れる惜しいシュートを放った。このプレーで、自らに流れを呼びこみ、2分後の先制点に結びつけた。その後も、前半は、左右からのクロスに合わせる動きで、広島皆実のゴールを脅かした。

しかし、後半になると、自分ひとりで強引に突破しようとする動きが多くなった。大迫(勇)に対して、2人、3人で集中して守る広島皆実の守備網を破れない。後半20分すぎに、広島皆実に3対2と突き放されると、よけいに大迫(勇)の孤独なプレーが多くなったように見えた。そして、大迫(勇)は、孤独なプレーでゴールを決めるほどの力を持っていなかった。

結局、決勝戦でも1得点をあげ、最多得点の記録をつくるにはつくった。しかし、決勝戦を見る限りでは、大迫(勇)に期待しすぎていたように思った。多くの得点を挙げてきたとはいっても、味方がいて、相手がいての、結果にすぎない。

プレースタイルは違うが、昨年の大会で活躍した流通経済大柏の大前元紀(現清水エスパルス)のようなインパクトを期待していただけに、少しがっかりしながら、スタンドを後にしたのである。


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全国高校サッカー選手権大会
決勝:広島皆実 3対2 鹿児島城西
2009/1/12 東京・国立競技場

前半すばらしいサッカーを展開した広島皆実が、得点王、大迫(勇)を擁する鹿児島城西を破って、初優勝を飾った。

今大会のここまでの勝ち上がり方から見て、決勝戦は、鹿児島城西が攻め、広島皆実がそれを受ける展開になると予想していたが、むしろ逆の様相を呈した。

広島皆実は、序盤から、両サイドをパス、ドリブルで突破し、鋭いクロスからゴールを狙う。特に、前線の9番金島、10番谷本、11番玉田の鋭い動きは相手にとって脅威だった。また、最終ラインからトップへの、サイドからサイドへの長いパスも正確で、ダイナミックな攻撃をしかける基点になっていた。

守備でも、バランスのいいポジショニングと、鋭い出足でパスをインターセプトし、早いタイミングで、鹿児島城西のチャンスの芽をつんでしまう。2失点はしたものの、鹿児島城西の大迫(勇)がボールを持つと数人で囲み込んで、シュートを阻む。これまで、1試合平均5点以上(5試合で27得点)挙げてきた鹿児島城西を2点に抑えたのだから、堅守に間違いはなかった。

決勝までで、広島皆実の試合を見たのは1回戦の帝京戦だけだった。その試合と比べ、パスワークの精度、効果的なサイドチェンジの仕掛け、そして、局面局面でのパスとドリブルの選択が、数段上達しているように見えた。大会を通じて、自信を持ち、成長したのだろうか。(もちろん、帝京が強かったこともあるだろう。)

前半の広島皆実は、個々の高い技術とスピード、判断力がうまくかみあって、すばらしいサッカーを展開した。後半になると、運動量が減り、プレーの精度も落ちてしまい、鹿児島に追いつめられる場面が多くなったのが、残念だった。

しかし、広島皆実としての初優勝、そして、かつてサッカーどころと言われた広島に41年ぶりの優勝をもたらしたことは、なによりも称賛されるべきことである。



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全日本総合バスケットボール選手権大会
準々決勝:日立 76対55 リンク栃木
2009/1/4 代々木第一体育館

日立の五十嵐と栃木の田臥のマッチアップは、今シーズンの日本バスケットボール界の一番の話題である。しかし、思うような結果にならないのがバスケットボールの難しいところだ。

試合は、第1ピリオドこそ17対15と栃木が2点リードしていたが、第2ピリオドに日立が逆転すると、徐々に点差が開き、結局76対55の21点差で日立が勝った。

注目の2人のうち、五十嵐は、そのスピードを生かしたドリブル、ペネトレイトなどでスタンドを沸かせる場面があったが、田臥の方はまったくいいところがなかった。

もっとも目立ったのは、日立の竹内だった。2m05cmの長身ながら、3点シュートを決め、華麗なステップでゴール下に侵入し得点を奪う。特に、第2ピリオドに日立がリードを広げたのは、竹内の活躍によるところが大きかった。コート上に、両チーム1人づついる外国籍選手よりも、高さ、スピード、テクニックで上回っていて、なんとも頼もしい限りだった。

一方の栃木では、フォワード川村の、派手目で攻撃的なプレーぶりが観客の目を引き付けた。もう少し安定感があるといいのだが、その不安定感というかムラッけのようなところも魅力ではある。

勝負の行方は、早々に見えてしまった試合だった。しかし、局面局面で、個々の選手のキャラクターが発揮された面白い試合だった。自分の得意なプレーを披露しようとする姿勢が随所に感じられた。

この日のコートサイドとアリーナ席のチケットは、前売りで完売していた。だから、自由席のスタンドも満員になるのではと思っていたが、それほどのことはなかった。代々木第一体育館のスタンド1階席は、7割ほど埋まっていたが、2階席はガラガラだった。

10年前、能代工業が9冠目を達成したときに東京体育館を約1万人の観客で満員にした田臥だったが、さすがにそこまでのパワーはなかったようだ。



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全日本総合バスケットボール選手権大会
準々決勝:富士通 77対76 日本航空
2009/1/4 代々木第一体育館

中断しているWリーグの2008年12月14日時点の成績で、3位の富士通(13勝9敗)と5位の日本航空(10勝12敗)の対戦は、準々決勝4試合のなかでは、もっとも力が接近している試合だった。

しかし、第1ピリオドで、矢野、船引(ま)、中畑がコンスタントに得点を重ね、富士通が23対8と大きくリードしてしまう。日本航空はスピードにのった攻めを仕掛けるも、気負いすぎてシュートがまったく決まらない。大会4連覇を狙う富士通の楽勝かと思ったが、日本航空のスピードが第2ピリオドから効果を発揮し始めた。

第2ピリオドから、日本航空はディフェンスをゾーンに切り替え、オフェンスではポスト使ったスクリーンプレーを執拗に繰り返す。すると、矢代、岩村、山田、高橋らのシュートが決まりだし、第3ピリオド終了時には、61対60と逆転してしまった。

3年前に、薮内(夏)を中心にしたチームで優勝を経験している日本航空だが、残っている選手で、この試合に出場していたのは岩村と矢代のみ。しかし、当時のヘッドコーチで、今は技術顧問になっているイム・ヨンボ氏が目指すバスケットボールは、しっかり根付いていた。

個々の選手の能力が必ずしも高くない日本航空が勝ち上がるためには、徹底的にコンビネーションを高めていく。それが、ゾーンディフェンスであり、オフェンスで執拗に繰り返されたスクリーンプレーだった。

第4ピリオド残り5分で、70対66と日本航空がリード。流れは、明らかに日本航空にあった。しかし、その流れを、富士通のキャプテン、三谷が断ち切った。終盤、3点シュートを2本連続決め、その間にオフェンスリバウンドを奪い、最後は蒲谷の3点シュートを誘発した。

最後は富士通に女王の貫録をみせつけられた日本航空だったが、この試合の経験は、今後に大きなプラスになることだろう。今は、富士通のアシスタントコーチを務めている薮内(夏)は、後輩たちの健闘をどう見ていたのだろうか。



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筋肉バトル!! スポーツマンNo1決定戦XXXⅧ
2009/1/3 TBSテレビ


恒例となった新春特番「最強の男は誰だ!筋肉バトル!! スポーツマンNo1決定戦XXXⅧ」を見た。18回目ということは、もう18年も続いているのか。面白い企画だとは思うが、マンネリ感は否めない。

特に今年は、参加したアスリートの顔ぶれが地味だったような気がした。北京オリンピックで活躍した日本人アスリートは、レスリングで銀メダルをとった松永だけ。そもそもプロレスラーが4人も出演していること自体、思うようなキャスティングができなかった証拠ではないか。1日で5、6種目にチャレンジしなくてはならず、出場するからには、それなりの結果を出さなければならない。メジャーな選手にとっては、おいしくない仕事だろう。

顔ぶれが地味だった以上に、参加者のパフォーマンスに対する驚きも少なかった。レギュラーメンバーの池谷や芸人ワッキーの活躍は素晴らしいが、どうにも競争相手が弱すぎた。右膝にテーピングをしながら、どうにか出場しているハンドボールの宮崎に連覇をゆるしてしまうのだから、レベルが低かったと言われても仕方がないだろう。

また、シドニー、アテネと夏季オリンピックの後には、オリンピックの会場近くで、オリンピック出場選手によるモンスターボックスを実施していたが、さすがに規制厳しい北京では、できなかったようだ。

トップアスリートの新たな魅力を引き出してきた「筋肉バトル!! スポーツマンNo1決定戦」だが、番組が始まったころと比べて、トップアスリートを取り巻く環境が大きく変わってきている。テレビ番組としてそろそろ潮時なのかもしれない。



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天皇杯サッカー
決勝:ガンバ大阪 1対0 柏レイソル
2009/1/1 NHK総合

準決勝に続き、延長後半で唯一の得点をあげたガンバ大阪が、柏レイソルを破って、天皇杯を獲得した。

最大の勝因は、ケガ人が多く、チーム状態が万全ではなかったにもかかわらず、ボールをキープし、じっくりと攻撃を組み立てるという自分たちの求めるサッカーを貫き通したことだろう。チーム全体で試合の流れを的確にとらえ、まさにチーム一丸となったサッカーを展開していた。延長を含む120分の間、攻守において、ほとんどイージーミスをしなかった集中力もさすがだった。

また、そのチームを構成する個々の選手の対応力もG大阪の方が上だった。G大阪は、ケガや体調不良で、いつ交代が必要になるかわからないために、戦術的な交代を仕掛けることができない状態にあった。そんななか、後半途中、選手交代をせずに、遠藤と橋本のポジションチェンジだけで、攻撃面を活性化させた。柏レイソルが、後半、フランサと李忠成を交代出場させて攻撃モードを高めたのとは対照的だった。

そして、唯一の交代出場となった播戸が決勝ゴールを決めた。ベンチワークもズバリ当たったわけだ。

苦しい戦いではあったが、G大阪の素晴らしさが十分に発揮された決勝戦だった。

Jリーグだけでなく、パシフィック選手権、アジアチャンピオンズリーグ、クラブワールドカップ、そしてこの天皇杯と、苦しみながらも、さまざまな大会、試合を戦ってきたことで成熟した選手とチームの姿があった。



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