<スポーツ雑感+ 2022/6/5>
ヨコハマ・フットボール映画祭2022で「アディダス VS プーマ -運命を分けた兄弟-」を観た。靴づくりにこだわったアドルフ(弟)と商売に長けていたルドルフ(兄)の愛憎物語。兄弟でスポーツシューズ会社を設立し、業績を伸ばしながら、第2次世界大戦を経て、対立し、アディダス社とプーマ社に分かれ行く。おおまかな流れは知っていたが、戦争や女性問題をからめた映画を観て、あらためて思ったことを書き留めておきたい。
1954年スイスW杯の雨中の決勝戦で、アディダスの雨用スタッドを付けたスパイクを履いた西ドイツがハンガリーを破って優勝した。この大会前、西ドイツ・サッカー協会は、ルドルフが起こしたプーマにシューズの提供を申し入れていた。しかし、ルドルフが断ったために、アディダスが提供することになった。そして、決勝の日、アディダスのシューズの特長を活かす雨が降った。もし、プーマのシューズだったら、西ドイツは勝てたのか……。もし、プーマの西ドイツが優勝していたら……。スイスW杯前のルドルフの判断が、今の世界のスポーツ産業地図を決めたと言えるだろう。
そして、その後、躍進するアディダスは、アドルフの息子ホルストの代に、電通とISL社を設立し、FIFAやIOCなどと深い繋がりを築き、今のスポーツ・マーケティングの先駆けをつくった。職人気質のアドルフの息子とは思えない「商才」ではないか。この映画を観たからこその気づきである。
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