<スポーツ雑感+ 2023/2/2>
昨日、東京五輪・パラ大会に関するAOKI前会長らの贈賄罪に関する公判を、初公判(昨年12月)に続いて傍聴した。初公判では傍聴のために抽選がおこなわれたが、今回は75席に対して30人程度の傍聴希望のため無抽選で東京地裁104号法廷に入ることができた。初公判時に、被告側が控訴事実を全面的に認めたので、関心が薄まったのだろう。この日は、論告・求刑と弁論がおこなわれた。
論告では、AOKI側が、東京大会のスポンサー契約等で有利になるように高橋被告(元電通顧問、元東京大会理事)に依頼し、便宜を図ってもらった見返りを渡したことに対し、東京大会を「私利私欲」のために利用し、公共性・公益性の高い大会の権威を失墜させた、非常に悪質な行為とした。
一方の弁護側は、AOKI側は、「私利私欲」を得ようとした高橋被告からスポンサー契約等の話を持ちかけられ、それを契機として「(個人としての利益を得る意図はなく)会社のために」東京大会を最大限に利用しようとしたものであり、ことの発端は高橋被告にあるものとし、情状酌量を求めた。
論告・求刑と弁論を聞いていて、民間のスポンサー企業が東京大会を、ビジネスチャンスとして最大限に利用しようとするのは当然で、それを「私利私欲のため」と強調する検察側の主張に、特に違和感を覚えた。この違和感の背景には、「私利」が、「被告人個人の利益」なのか、「一会社の利益」を指しているのかあいまいなこともある。
高い理想を掲げる、世界最大級のイベント「五輪大会」がもつ公共性・公益性と、民間企業が主となるスポーツビジネス(スポーツマーケティング)のバランスはどうあるべきなのか。あらためて考えるいい機会かもしれない。
判決は4月21日(金)10時から、同法廷でおこなわれる。
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