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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



東アジア選手権
日本 1対1 北朝鮮
2008/2/17 TBS

見ていて、なんともはがゆい試合だった。

序盤、北朝鮮の圧力に押され、その流れのなかで、チョン・テセに先制ゴールを許した。最終ラインとボランチ鈴木啓太の間でボールを持たれ、守備陣の前から強引に放ったシュートがゴール左隅に決まった。シュートのコースは違うものの、先日のタイ戦での失点に似ていると思った。気持のなかにぽっかりあいたスペースを攻められたような気がした。

その後、前半の30分過ぎから後半が終わるまで、ほとんど日本がボールを支配していた。しかし、なかなかシュートにいたらず、攻めきることができない。徹底的にひいて、カウンター狙いをしてくるアジアの格下との試合の典型のようだった。

たしかに難しい試合ではある。しかし、それに対する日本のサッカーに工夫がないのもたしかだろう。いつも同じように、ゆっくりと丁寧にパスを交換し、大勢の守備に囲まれたトップめがけてクロスをあげる。そして、はね返される。

一番の問題は、日本代表のサッカーが常に同じテンポだということではないか。

日本の得点は、交代出場した安田のクロスを前田が頭で決めたものだった。左の中盤に入った安田が、鋭い出足で守備をかわし、クロスを上げる。GKがはじいたボールをフリーになっていた前田が押し込んだ。この安田のクロスを上げる前のスピードの切り替えは、それまでの日本になかったものだった。だから、マークした守備が振り切られただけでなく、ゴール前の守備選手も安田の動きに気を取られた。

丁寧にパスをまわし、コンビネーションで相手をかわすことを考えるのもいいが、もっとスピードの変化を意識できないものか。選手が動くスピードやパスのスピードである。中田英がいなくなってから、味方の選手が追いつけるかどうかというきわどいスルーパスを見ることもなくなったような気がする。

味方にやさしいパスは、守備をする相手にとっても組みしやすいものだろう。日本代表のサッカーは、もっと味方に厳しくなる必要があるのではないか。



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会長杯ジャパントップ12卓球大会
2008/2/9 代々木第2体育館

1月の全日本選手権のベスト8の選手たちに、協会推薦選手を加えた、いわゆる日本のトップ12による卓球の大会である。12人を3人4組に分けての1次リーグをおこない、各組1位の4人でトーナメントを戦う。

注目を集めていたのは、福原愛である。1月の全日本選手権では、早稲田大の照井萌美と組んでダブルスで優勝したものの、シングルスではベスト16どまりだった。世界ランキングでは9位(2008年2月)と日本人最上位にいて、北京オリンピック代表に内定しているものの、日本国内の大会では、それにふさわしい結果を残すことができない。「国内よりも海外に行ったほうが緊張しない」という本人の弁が現実になってしまっている。この大会での活躍が期待された。

この日は、1次リーグでは、藤井優子、照井萌美を相手に、2試合ともセットカウント3対0で勝ち抜き、準決勝で、全日本選手権で敗れた樋浦令子と対戦した。福原の雪辱を期待したが、それはならなかった。

1セット目こそ、6-10とリードされたところから追いつき、ジュースに持ち込む粘りを見せた。しかし、結局12-14でこのセットを落とす。第2セット以降は、常にリードを奪われ、追いつきそうになると、ミスをしてしまう。ほとんど自作自演の完敗。福原の勝利を期待していた観客からは溜息がもれるばかりだった。

隣では、女王の平野早矢香と14歳の石川佳純がフルセットにおよぶ熱戦を展開していた。平野のここぞというときの集中力、石川のチャレンジ精神あふれた思い切りのよさ、そのどちらかでも福原にあればなぁという思いが巡った。

準決勝で福原と石川が敗退したため、観客の少なくなった決勝戦。静けさのなか、平野が、樋浦を4対0のストレートで下し、女王の風格を見せつけた。

全日本選手権に続いて、北京オリンピック日本代表を担う平野と福原の明暗が分かれた日となった。




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W杯南ア大会・アジア3次予選
日本代表 4対1 タイ代表
2008/2/6 埼玉スタジアム2002

2010年南アフリカW杯のアジア3次予選の初戦、岡田監督率いる日本代表が、運も味方につけて、無難に勝利した。

大久保、山瀬、内田らを起用した先発は、強化試合の結果をふまえた素直な選手起用だった。その日本は、立ち上がりから果敢に攻め込み、何度もコーナーキックを得るなど、多くのチャンスをつくったが、なかなかタイのゴールを割ることはできなかった。

それでも、前半半ば、日本は遠藤の見事なフリーキックで先制した。しかし、直後にこれまた美しいミドルシュートを決められ、前半は1対1で終わった。

前半の日本は圧倒的にボールを支配していたものの、ぎこちないパスワーク、精度の低いクロス、そして、引いた相手に対して寸詰まりになる攻撃が繰り返された。

後半になって、相手のクリアボールの跳ね返りを大久保が決めて2対1と引き離す。唯一、セットプレーからではない得点だったが、流れの中の得点と言えるものではなかった。その後、タイが1人退場になり、日本が中澤、巻のヘッドで追加点を奪い、とりあえず危なげなく初戦をものにした。

岡田監督の手堅い用兵と采配が無難な勝利を生んだ。結果が求められるW杯への第一歩を勝利で飾ったのだから、まずはいいスタートを切ったと言っていいだろう。

しかし、今後への課題も明らかになった。4点のうち3点がセットプレーからの得点だったこと。プレーを継続するなかで、判断やイメージを共有できないために、流れのなかで得点を奪うことができない。

また、日本の選手たちは、余裕をもってプレーしていたように見えたが、そのために、一つ一つの局面で考えすぎているようだった。その結果、日本のプレーからリズム、テンポがなくなり、流れ自体がとぎれてしまうのである。

大勝のわりには課題も目立った試合だった。しかし、あわてず、騒がず、確実に勝利を重ね、そこで得た自信を基に、徐々にチームをつくっていけばいいと思う。



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日本 0対0 チリ
日本 3対0 ボスニア・ヘルツェゴビナ
2008/1/26、1/30 国立競技場

再び岡田監督が率いることになった日本代表の強化試合(対チリ、対ボスニア・ヘルツェゴビナ)で、鹿島アントラーズの右サイドバックの内田篤人が代表デビューを飾った。

19歳と305日でのA代表デビューは、Jリーグ以降では、小野、市川、梅崎に次いで4番目の若さだそうだ。それだけに、新鮮さを見せつけて欲しかったのだが……。

チリ戦では、対面の選手に押され気味で、また回りのチームメイトの動きを見すぎていて、攻め上がるタイミングが遅れる場面が目立った。ちょっと考えすぎのように見えた。

2戦目のボスニア・ヘルツェゴビナ戦になると、思い切りの良さが表れるようになった。何度も右サイドを駆け上がりチャンスをつくった。しかし、まだ遠慮しているような場面もあった。

前半の半ば、右サイドでまったくのフリーでボールをもった。角度が浅い、まさに元日の天皇杯決勝戦で先制点を奪ったような状況だった。あのときのような豪快なシュートを期待したのだが、なんと中央に折り返して、インターセプトされてしまった。

これは残念なプレーだったが、この2試合を通して、内田がその存在感をアピールしたのは確かだろう。変化の少ない岡田日本代表に新鮮さをもたらす、貴重な新戦力だ。

この2試合の経験をベースに、本番となるタイ戦では、真の戦力となるような活躍を見せて欲しい。

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