シャンソン化粧品対富士通(代々木第2体育館)
51対49で富士通が全日本選手権の初優勝を手にした。スコアが示すとおり、接戦にはなったが、試合内容は低調だった。
注目すべきポイントは多い対戦だった。
両チームを率いるヘッドコーチ。シャンソンは、イ・オクチャ。2年前まで富士通を指導していた。一方の富士通は中川文一。いうまでもなくシャンソンの黄金時代を築き、イ・オクチャと入れ替わりで富士通に移った。ともに相手チームは自分が育てたようなものだ。
イ・オクチャとリードガードの相澤優子は、2年前に富士通で決勝に進出したもののジャパンエナジーに敗れている。今年は、奇しくも、前に所属していたチームを相手に日本一に挑むことになった。
そして、ジャパンエナジーから富士通に移籍した矢野良子。昨年は準決勝で敗れたが、新しいチームで女王の座を狙う。
様々な思いがコート上のプレーに表れるはずの決勝戦だった。
しかし、決勝戦は、見どころのないままに、富士通の初優勝という結果だけを残して終わった。
2年前に決勝戦を経験しているにもかかわらず、緊張からなのか、富士通には、イージーミス、特にシュートミスが目立った。ゴール下やフリーとなった速攻でのミスはいただけなかった。2点シュートの成功率27%でも勝てたのは、要所要所を矢野良子が締めていたからだ。
一方のシャンソン。出だしはよかったが、第2ピリオド残り8分以上残したところで、相澤が3つ目のファールを犯し、ベンチに。永田、石川、三木らベテランががんばったが、第3ピリオド以降、富士通のゾーンディフェンスを崩せず、得点がとまってしまった。最後に、富士通のミスに乗じて追い上げたが、届かなかった。
富士通の初優勝を貶めるつもりはないが、もう少しハイレベルの決勝戦であって欲しかった。この日は、観客の数も、決勝戦としては、ここ数年でもっとも少なかったように思う。昨日の準決勝で、人気のあるジャパンエナジーと日本航空が敗退してしまったためだろう。だからこそ、決勝戦には、少ない観客数を見返すぐらいの内容が欲しかった。
アテネ五輪後、ジャパンエナジーは浜口、大山が引退し、今シーズン、矢野良子が富士通に移籍した。日本航空も、今シーズン前に、堀部が引退、畑岸が移籍。シャンソン化粧品の2mセンター、ハ・ウンジュはケガからの回復が遅れている。そして、各チームとも、これらの戦力ダウンを補うことができずにもがいている。だから、リーグ戦も混戦状態になっている。今大会も、そういった日本の女子バスケットボール界の現状を表したものとなった。しかし、ファンとしては、どんぐりの背比べではなく、ひとつ上のステージでの混戦を見たいものだ。
全日本選手権は終わったが、3月のプレーオフに向けて、リーグ戦(WJBL)は続く。各チームの奮起を期待したい。
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