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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



第1回ユースオリンピック競技大会・開会式
2010/8/14 シンガポール・マリーナベイ


14~18歳の若者限定の、夏季大会、冬季大会に続く、第3のオリンピックであるユースオリンピック競技大会が、今年、建国45周年を迎えたばかりのシンガポールで開催されている。

ユースオリンピックは、ジャック・ロゲIOC会長の肝いりの企画で、記念すべき第1回大会には、204の国と地域、約3600人の各国代表が集った。競技で競うだけでなく、「文化教育プログラム」が盛り込まれていて、参加選手たちは、原則、大会期間中、ずっとオリンピック選手村に滞在し、各国の選手と交流することが義務付けられている。

その第1回ユースオリンピックの開会式が、8月14日(土)の夜、シンガポールが誇る世界最大のフローティングステージ「マリーナベイ・フローティング・プラットフォーム」で約27000人の観客を集めて行われた。長さ120メートルの水上ステージに組まれた6基の大型LEDスクリーン。中央には、灯台を模した、聖火台。背景には、湾を挟んで高層ビルが建ち並ぶ。シンガポールの象徴的なポイントである。

舞台上のパフォーマンスは、選手と同じ世代の若者たちがさまざまなダンスなどを繰り広げる。セレモニーが始まって約20分。各国選手団の入場。国ごとに順番に、整然と入場するのではなく、ステージの両端からいっせいにステージ上に上がり、観客席前列の席に移動していく。長時間になりがちな開会式での選手の負担を減らすための計らいである。この大会の主役は若者であることをあらためて印象付ける。

その後のステージ上のパフォーマンスには、無数の花火や背後にそびえたつビルからのサーチライトが彩をそえ、そこに水が加わる。ステージの一部としてつくられた水辺は、大型スクリーンの映像が映り込んだり、光を反射したり、また噴水のような水の動きをつけたり、多彩な演出の元になった。火と水の競演。普通の競技場ではできない演出が観客をすっかり魅了する。

クライマックスの聖火リレーも、水上から登場だった。不死鳥をイメージしたボートから降りてきた聖火は、ステージ上に引き継がれ、最終走者、セーリングのダレン・チョイが聖火台へと水の中を走り抜けた。最後は、トーチから点火された聖火が、聖火台の回りを螺旋上に駆け上がり、天を突き刺すように燃え上がって、最高潮を迎えた。

現在のシンガポールの発展の象徴である湾岸エリアを舞台に、主役の若者たちにスポットライトをあてながら、建国45周年のシンガポールの歴史から将来への展望を表現した開会式は、大人のオリンピックに勝るとも劣らない「オリンピック」らしい華やかなものだった。

第1回ユースオリンピック大会が、ジャック・ロゲ会長の思いのとおり、若者たちの熱い戦いとともに、厚い友情をはぐくむ場となることを願う。


開会式はマリーナベイに浮かぶステージで。


日本の国旗の入場。


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